【感想・ネタバレ】能から紐解く日本史のレビュー

あらすじ

能楽の窓からは、こんなに日本史の深秘が鮮明にみえるのだと驚愕した。
小鼓方の人間国宝が縦横無尽に語った名著である。
歴史家 磯田道史氏推薦!

能には古代からの日本人のDNAが隠れている!

七百年近く継承され、日本人とともにあり続けてきた「能」は、歴史のなかで融合し、大成し、時の為政者に翻弄されもしてきた。渡来人、記紀、権現思想、鎌倉仏教、戦国武将、江戸から明治、天皇と能……日本史のなかで捉えると、「能」への興味はより深まっていく。著者は小鼓を演奏しながら、能作者が伝えたかったこと、謡曲の詞章に込められた意味を感じ、読み取ろうとしてきた。
能の成り立ち、演目を解読しながら、能に隠された日本史の真実を探る。
そして、日本が日本であり続けるために。「能」の世界に誘われた読者が、「能」と出合ったことにより、生きた証について考え、何かアクションを起こしたくなるよう、思いを込めた一冊。

◎能の初心者にもわかりやすい演奏動画付き!
【本書の内容】
序章本書を楽しむための基本《能楽用語》
第一章能には歴史の秘密が隠れている
第二章歴史を動かしたもの──稲作、信仰、戦争
第三章能の謎の中心──翁と秦氏
特別章新作能『えきやく』

[本書に登場する演目]
翁・国栖・花筐・田村・白鬚・梅石橋・大江山・小鍛冶・船弁慶・猩々・養老・高砂・百万・道成寺・橋弁慶・鞍馬天狗・隅田川・桜川・鵺・岩船・融・海士・紅葉狩・砧・姨捨・夜討曽我・清経・経正・巴・金札・小袖曽我・現在七面・井筒・夕顔・芭蕉・菅丞相・卒都婆小町・葵上 ほか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

能楽の演目(フィクション)から日本史を掘り下げる意欲作。

印象的であったのが、世阿弥が活躍した時代の演目に見られる傾向。観客の好みを考慮し、当時一斉を風靡していた天台宗の思想を反映させた内容にしつつも、能作家の出身地である奈良で生まれた権現思想(神仏習合)を根底に潜ませているという、著者の分析が面白かった。

当時から、観客を楽しませる内容を意識しつつ、そこにアーティストとしての趣味や個性、思想を入れ込むバランス感覚が人気作品には必要であったのではと、今も昔も変わらない有り様に親近感が湧いた。

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2024年05月27日

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