あらすじ
○インターネットを使った動画配信であるストリーミングは、ハリウッドの巨人ウォルト・ディズニーの参入により、戦国時代に突入した。本書はNHKとTBSで主にデジタルメディアの取材をしてきた放送記者が、ストーリンミングビジネスの最新動向を紹介。
○映像ビジネスは、映画館、地上波テレビ放送、ケーブルテレビ、衛星放送を利用した配信から、インターネットに移行しつつある。ネットでも数百万の同時アクセスをさばく技術進歩を背景に、インターネットこそが映像ビジネスの主戦場になってきている。
○ディズニーは19年3月、同業である21世紀フォックスを買収、ディズニーアニメに加え、スター・ウォーズやアベンジャーズシリーズなど世界的ヒット映画の映像資産を多数所有する世界最大のメディア企業になった。その勢いそのまま、スポーツ(ESPNプラス)に続き、映画とテレビ番組のネット配信ビジネス・ディズニープラスをスタートさせ、牙城ネットフリックスへの挑戦を始めた。
○ディズニーだけではない。ワーナー・メディア、NBCユニバーサル、バイアコムも相次いで、ネット動画配信への参入を宣言した。欧米メディアは、この新旧勢力の対決を“ストリーミングウォー”の時代到来と伝えている。
○対するネットフリックスなどIT企業は、更なるビジネスの拡大に走る。ネットフリックスは、イギリス、スペイン、フランスにコンテンツ製作スタジオを新設し、海外での事業展開を強化。また昨年の「全裸監督」の大ヒットを契機に日本をアジアの最重点拠点と位置付け、日本のオペレーションの拡充を進めている。アップルもネット配信アップルTVプラスを11月から世界100カ国で開始した。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
【アメリカメディアのダイナミズムには驚かされるばかりだ。その新旧メディアの競争の中から、新しいコンテンツやメディアビジネスの方程式が生まれてくる。そして瞬く間に、世界を制覇してしまうのだ】(文中より引用)
ストリーミングという大波に乗り、瞬く間にメディア界の王者となったネットフリックス。それに対抗する巨人・ディズニーなどの動きを追いながら、世界のメディア業界に起こっている変化に迫った作品です。著者は、NHKやTBSでの勤務経験もある大原通郎。
ここ5年間の進展が手際よくまとめられているのですが、「わずか5年の間にここまでの変化があったのか!」と改めて驚かされる一冊。誰もが触れるメディアのあまり知られない実情を把握することができる便利な作品でした。
ローカルニュースの取り組みは温故知新を地で行く例かと☆5つ
世界に遅れた日本が分かる
日本でも動画配信サービスを手掛けているネットフリックスとディズニーを軸に、アメリカメディアの最新事情が描かれている。両社が発展してきたプロセスも面白いが、何より驚かされるのはアメリカではメディアの再編が進むとともに、サービスが充実してきていることだ。今になってテレビの放送をインターネットでも見られる同時配信で騒いでいる日本がいかに遅れているかが分かる。アメリカはおろか、韓国にもエンターテインメントで後れを取っている日本のエンタメ界の未来を考えるためには必見の書といえる。
Posted by ブクログ
内容はわかりやすくて面白かった。米国のメディアの旧勢力について知れたのは良かった。TBS出身のせいか、めちゃめちゃ反トランプで、トランプを批判することが多い。その点賛否あるかも
Posted by ブクログ
タイトルには「メディア」とあるが内容的にはいわゆるマスコミ(ニュース)よりもエンタメ(映画)が中心。特に映画が好きな人は新型コロナで大きく変わった業界勢力図を知る上で基礎をひと通り押さえられると思う。今後の映画鑑賞体験にも深く関わってくる動向を知れる一冊。ニュース方面の章ではローカルニュースが生き残りの道になっているという話も興味深い。
Posted by ブクログ
著者はニューヨーク特派員など海外ニュース記者を務めた経歴の持ち主で、TBS退職後は海外のメディア動向の調査・執筆を続けているそうです。
一昨年まではメディア関連の会合にも出席していて、トランプからみは反トランプが強すぎな感もありましたが、わかりやすくアメリカメディアの勢力図などがわかりやすく書かれてたと思います。
TVerを巻き返し策の1つとして上げていますが、個人的にテレビ広告収入が下がった分を補填できるかというと、youtubeや他動画サイトより広告費用が高いと成り立つはずもなく、結構厳しいものがあるのではないかと思いました。
Posted by ブクログ
コロナ禍の映像ストリーミング、エンタメコンテンツの現在地図を描いた一冊。とんでもないスケールの金額での投資・買収が動く米国市場にビビり、全然知らなかったアジア圏の動き、国際市場でまったく無い日本の存在感などなど、まるっと総括されていて良かった。何のコンテツを出すか、とんなサービスを提供するか?が戦略上かなり重要なファクターだと思うけど、この勢力図の変遷をみると「誰と作るか」もかなり大事なんだなと思ったりも。保身に走らず、未来にチャレンジをする判断をできる長がいないのか、それとも投資家や金融機関が阻害してるのか?いろいろ考え込んでしまうのだった。