あらすじ
多くの日本人にとって、もっともなじみのある和歌集といえば『百人一首』。
千年の時を超えて愛されてきた歌集を、現代を代表する歌人・水原紫苑が中世と現代を行き来し、一首ごとにやさしく丁寧にときほぐします。
初学者も大人も楽しめる100のストーリーで、短歌がぐっと親しいものになります。
●百人一首を選んだ、大歌人・藤原定家のプラン
●「恋の歌」が天皇の「使命」だった?
●「鹿」の妻は「紅葉」か「萩」か?
●桜の名歌にみる「生の哲学」
●いかにして小野小町は千年のアイコンとなった?
●『源氏物語』と「あはれ」の美学
●定家の西行に対する嫉妬心
●小野小町のスピリットが宿る俵万智
●赤染衛門と和泉式部、二人の友情
●定家の父が詠んだ「老いのエロス」
●かるた取りに使える「決まり字」
※本書は、講談社のPR誌『本』2018年1月号から2020年1月号まで連載した「百人一首うたものがたり」を元に大幅に加筆しました。
……など、テーマは盛りだくさん。
簡単でいて、読むだけで日本古典文学の神髄まで学べる一冊。
ことばの豊かな世界がここにあります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
一首ごとに歌が詠んでいる光景・情景とともに、詠み人の背景や、他の和歌も紹介されており、その一首に深み、奥深さが増している。
その詠み人の会心の一首というわけでもなく、定家の人間臭い思惑も入っていたのかと、純粋な珠玉集ではないのが、ちょっと悲しかったりもする。
でも、それを含めて、この百人一首は面白いのだと、教えてくれる本である。
Posted by ブクログ
それぞれの歌人の他の歌も掲載していて、とても勉強になった。その歌人にとって1番の歌が掲載されているのではないということも知ったし、それは選者である藤原定家の美意識であったり、嫉妬であったり、政治的なものであったりすると言うのが、とても興味深く、歴史も勉強しないといけないと思った。
Posted by ブクログ
講談社のPR誌『本』の連載に加筆したもの。見開き2頁に1首ずつ、コンパクトに紹介されていて、どこからでも目を通すことができる。歌の鑑賞だけではなく、定家がその歌を採った理由(場合によっては、もっと優れた作品があるのになぜをそれを採らなかったのか?)とかにも話が及んでいて、楽しく読めた。
ちなみに、各首の左下にはかるたの「決まり字」が書かれている。「むらさめの露もまだひぬまきの葉に」であれば「む」、「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと」であれば「わたのはらや」。こういった趣向も面白い。
Posted by ブクログ
講談社のpodcastで紹介されていたので手に取ってみました。歌人水原紫苑さんによる「百人一首入門書」です。
私も高校時代には百人一首をすべて暗記させられましたが、今、それから40年以上経ると本当に誰でも知っているような有名な数首しか憶えていません。
それではいかにも情けないので、ちょっとおさらいをしてみようと手に取ってみまたのですが、やはり歌を味わうのは難しいですね。現代語に訳して頭で理解しようとしてもまったく楽しくありません・・・。