あらすじ
アフリカのある国に派遣された陸上自衛隊PKO部隊の七人が現地の武装勢力に襲われ、一人が死亡。帰国後、さらにもう一人が自殺する。現地でいったい何が起きていたのか? 自衛隊のメンタルヘルス官・神谷啓介と自衛隊病院の精神科医・相沢倫子は真相を探るが、残された五人の証言はすべて食い違い、さらに防衛省の上層部からも圧力がかかる……。
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Posted by ブクログ
章ごとに主人公が入れ替わり、視点も移り変わっていく。そして真実に近づいていく。
しかし、真実とは何か、真実とは所詮は概念なのではないか。だとしたら真実を知ることや晒すことにいったい何の意味があるのか、を考えさせられた作品。
個人的には、かつて小泉純一郎が「どこか武装地域でどこか非武装地域か、私に聞かれても分かるわけがない。」と開き直った答弁をしていたことを思い出した。
そんな地域に送り込まれた自衛隊と、自衛隊を送り込んだ地域はあくまで戦地ではないと言い張る防衛省のスタンスの対比が見事に描かれていた。
Posted by ブクログ
「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019」に出ていたので。
そりゃ、読むでしょ。
稀代のミステリー作家宮部みゆきに「ミステリーファンには本年必読の一冊だ。」と勧められてしまっては。
国際派遣された自衛隊の小隊が現地の武装勢力に襲われて、
一人が死亡、帰国後一人が自殺をする。
現地で死亡した隊員の両親に頼まれ、自衛隊のメンタルヘルス官が真相を探る。
自衛隊の国際派遣に対する問題提起としてはなかなか読み応えのある作品だったし、
「藪の中」を思わせる複数の視点での描写も良かったが、
海外ミステリードラマで軍事行動下での犯罪についてはいろいろ見てしまったのもあって、
ストーリー展開としてはあまり驚くものはなかった。
しかも運悪く終盤で登場した「眠れない一族」という本は読んだことがあったので、
「謎解き」の一部がわかってしまった。
残念。
というわけで、
宮部みゆき先生、あなたの書くミステリーほどではありませんでした。