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Posted by ブクログ
ひとりをたのしむ、というより、人との繋がり方について言及されているように感じた。
誰でもいつかは死ぬ。それを肌感で言語化して心に響くよう伝えることのできる作家だと思う。何度もこのシリーズを読み、泣いた。
この本で、東北一のバカ犬(これは伊集院氏しか使ってはいけないワードです)ノボくんが亡くなってしまった、その寂しさがとても伝わってくる。一人と一匹ではなく、本当に二人、と書くにふさわしいと感じる。
厳しくも少し優しいような今回の作品、伊集院氏は、私ごときが言えることではないが、優しく、こうありたいと思う理想の人間だと思う。
私は、とても好きです。
いつまでも、このシリーズを読めますように。
Posted by ブクログ
2021年、14冊目です。
伊集院静のこの「大人の流儀」シリーズは、最初から全部読んでいる。
今回が10冊目です。10年近い年月が経過していると思う。
この間、著者の価値観(これが、大人の流儀ということだが)に、
全くブレがない。今回のテーマは「ひとりをたのしむ」というものである。
一人も以外にいいものだよ!という軽い言葉と同類ではないだろ。
人には、必ず一人になる時が来る。誰かと(人以外の生き物も含め)離別が
必ず訪れる。だから、必ず”ひとり”になる。
こう考えたらいいよとか、こういう行動を進める(例えば、趣味を持つとか、
地域社会と繋がりを持つとか)というものとは全く異なる内容です。
”たのしむ”と書かれているが、”ひとりを生きる”ということだと感じます。
自分の価値観を持って、それにご機嫌を伺うような生き方をするのは、
大人ではないということか。
書かれていることは、私のような高齢になると、うなずきたくなる事ばかりですが、人生の経験を積まなければ、この境地に到達できないのが、口惜しい。
自信を失い、小さく震えながら生きている若者に、「君はまだ若い」と
声を掛けてあげたいが、とても沁みるとは思えない。