あらすじ
母を亡くして約二十年。私にとって七十代の父はただ一人の肉親だ。だが私は父のことを何も知らない。そこで私は、父について書こうと決めた。母との馴れ初め、戦時中の体験、事業の成功と失敗。人たらしの父に振り回されつつ、見えてきた父という人、呼び起される記憶。そして私は目を背けてきた事実に向き合うーー。誰もが家族を思い浮かべずにはいられない、愛憎混じる、父と娘の本当の物語。(解説・中江有里)
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Posted by ブクログ
スーさんのお母様へ
そちらはどうですか?
きっと天国でハラハラしながらお2人を見守っていらっしゃることでしょうね。
どんなに振り回されても毒を吐いても、破天荒以外の父親なんて考えられない。
だって、元気な父親の姿はそれしか知らないんだもの。
お母様だってそうでしょう?
そりゃ、穏やかに暮らせることが何よりもの望みではあるけれども。
でも大丈夫。
スーさんはちゃんと破天荒なお父様を愛してます。
お父様もお母様を誰よりも愛してます。
だからもう少し、父と娘の時間を過ごさせてください。
お父様がそちらに行くときのスーさん話、たっくさん準備していきますから。
Posted by ブクログ
この苦しみに名前がついていないから余計苦しい、という現象がある。普遍的だけど個人の個の部分と切り離せなくて、結局は誰かからのラベリングでは解決できない。家族との関係でこういう苦しみ抱えている人はきっと少なくないと思う。
愛情をかけて育ててもらった、けれど。の先をスーさん、よくぞよくぞ書き切りましたね。これはお焚き上げだと思います。
はい私は互助会員です。
互助会員の皆さんからのメールもそうだけど。
私も負けへんで!と自分の頬っぺたピシャッとしたくなる。
スーさん、いつも励まされています!ありがとう!
最近37歳になったばかりの私は豊かな東京を実感として知らない世代。親も戦後生まれ。一回りしか違わないのに、スーさんの回想する子ども時代や青春時代とは隔世の感もあってビックリする。こんな時代、東京があったんだ、という視点からも面白かった。
Posted by ブクログ
出版当時も読んだのに、今とは感じ方が全く違う。再読してよかった。
ラジオもポッドキャストも著書も全て好き。父親が愛嬌があり特に女に好かれる、母親が若くして失くなり、商売での借金、実家をたたみ、父親の生活の面倒をみている…ここまでできることに尊敬の気持ちしか無い。親子喧嘩と言うには激しすぎるものを繰り返し、距離を測りながら、見捨てもしない。同性としてたまらなく魅力的なスーさんは、魅力的なご両親のもとで育っていた。いつもラジオで言っている、自尊感情が高くなるような育てられ方をした、20歳まできちっと育てたからその後は好きに生きていけ(上手くいかないなら親が子育て失敗したってことだから)など、親としてマネできないことも多数。まだ書けないこともあるんだろう。これからも著書を楽しみにしつつ、私はスーさんの、選んだ人生を正解にする、を実行したいと思う。
未読の方にはぜひ読んでみてほしい。
Posted by ブクログ
困りものの父親と一人っ子の私。
程度や種類、系統?は違っても同じ構図に親近感を持つ一方、父が生きてたらこんなにきちんと向き合って言いたいことを言って面倒も見れるかと言うと...スーさんの懐の深さを思う。
Posted by ブクログ
憎めないお父さんw
いや、自分ごとになったら嫌いになっちゃうのかなw
お父さんも娘さんも可愛くて素直にきててよかったです。
お母さんが生きていたら、二人の関係は違っていたのかな
Posted by ブクログ
ポットキャストで大ファンのスーさん。トークも面白いけど、筆力もすごかった。自分の文章に溺れない俯瞰目線があり、読み手も情に流されそうになったところで、流れをバッサリ斬って下さる。かっこいい。「ありのままを書くつもりでいたのに、いつの間にか私は淋しさの漂ういいお話を紡いでいたような気がする」「父のために父を美化したかったのではない。私自身が『父がどんなであろうと、すべてこれで良かった』と自らの人生を肯定したいからだ」「父は空っぽになった場所を外で満たしたが、母は持て余す心をどうなだめたか。年月とともに変容していく関係を、二人はどう受け止めたのか」「私がずっと避けてきた、認めたくない事実。母はさみしかったということ。母は贅沢を知っていたが、無駄遣いを好む人ではなかった。正札がついたままの衣類は、そのまま彼女のさみしさだ」
Posted by ブクログ
著者が出ているラジオ番組を好きでよく聴いている。
ラジオでの楽しい感じとは違った私生活のシリアスなことが書かれている。
ドラマ化もされて、その時に著者がエッセイをよくドラマ化できた的なことを言っていたけど、この本の中で充分ドラマとして完成していると思った。
自分は読書が苦手な方だけどなぜかスラスラと読めた。
評判通り文章が上手いからなのかもしれない。
Posted by ブクログ
裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ったスーさん。しかし、人生はあざなえる縄の如し。
行く道には、様々の困難が襲いかかるが、彼女は運命に負けない。
いつしか、強くて心温かい女性へと、成長していった。
大人になった娘と父の関係は逆転。
お父様が、なんだか可愛らしい。
父への愛憎混じりの感情を抱えながらも、大きな心で見守る娘。
それも、自立した経済力あればこそ。
それに引き換え、ろくに親孝行も出来ないうちに、父を見送った私。
ジェーン・スーは、眩しいくらいに
かっこいい女性だ。
Posted by ブクログ
読み進めるうちに登場人物の見方がどんどん深まる。普通のエッセイかと思いきや、そうではない。話の展開が巧妙で、情景描写が細やかなのに重くない。涼やかで軽い文章なので読みやすかった。
こういう本はなんだか初めて、面白かった!
Posted by ブクログ
家族のことを書くってかなりの労力だと思う。
小説は読み終わると達成感や爽快感が生まれるが、エッセイは寂しさや名残惜しさが生まれる気がする。
もっとこの人の人生を覗いてみたいと思う。
日常アニメを観終わった時の感覚と似てる。
他のスーさんの作品も読んでみよう。
Posted by ブクログ
寝る前に読むと、すぐ眠くなってしまいましたが、読みやすくて面白かった。
先にドラマを見たのでその役者さんで脳内再生されましたが、ちょっと違うかな。
うちは逆に父親が早くに亡くなり母親がいるので全然違うんだけど、共感できるとこもあり。
Posted by ブクログ
奔放な性格で女性に「この男に何かしてあげたい」と思わせるような実父との日常を綴ったエッセイ。
中盤までは父親の自由気ままな生活を娘ならではの視点と巧みな表現でテンポ良く展開される。
後半の「小石川の家」の章で物語が遡り、父親の事業にスーさんが加わり、傾いた会社を立て直すよう尽力するのだが、業績は上向かず遂に事務所を兼ねた実家のビルから立ち退くことになる。
事業に加わったスーさんは亡くなった母親が事業も家庭もバランスをとっていた事に気付いたのだ。
父親も妻がいなければ、どうにもならない事は分かっていたが、娘に撤退を言い出されるまでは平然を装う。
辛かっただろうな...
前半の章は後日譚になるが、奔放な言動は寂しさとか不甲斐なさを隠すためだった、と思えてくる。
唸った一節
動作が遅い父親と共に行動しているときに周囲の人間からの圧を受けて...
「今日は父と一緒なので違う視点を持ち得ているが、ひとりなら視野狭窄気味に、ノロマだグズだと舌打ちしながら歩いていてもおかしくない。世間がジャストフィットするように作られているのが当然と勘違いし、テンポの異なる人々を態度で排斥する。忙しさにかまけ、不遜な態度には、さも理があるように振る舞う。思い当たる節がありまくりだ。」
愛と憎
ラジオリスナーです。“互助会員”と言った方が分かりやすいかな?
この本を読むまでは、明るくバカ話をしているスーさんの一面しか知りませんでした
が、家族の事で悩んだりするもう一つの顔を知ることができました。
しかしお父さん自由な人だねぇ。それこそ娘に絶縁されても文句は言えないくらいの。
それでも放っておけないのは、お父さん本人の魅力もあるが、スーさんの家族愛が強
いからか。いや、愛と憎か。
ともあれ、親の介護疲れで双方ダウンなんてことがないよう、どうかご自愛ください。
Posted by ブクログ
ジェーン・スーさん、初読み。
名前は知っていたものの、ラジオも聞いたことなく、予備知識なしで読んだ。
我が家とはスケールが違うけど、父の自由奔放さ、商売を興して失くす様、母の扱い、なんか近しいものを感じた。
お金はすっからかんなのに人たらしな、憎めないじぃさん、そんな父を引き受けなきゃならない、、今後の私のよりどころとなる本だった。
Posted by ブクログ
Netflixで吉田羊さんと國村隼さんでドラマ化したものを見て、原作を読みたくなった
先に映像を見たからか文章を読んでいてもジェーン・スーさんと國村隼さんでイメージされてなんというか贅沢だった(笑)
やっぱりお父様の世代がそうだからかしっかりと先の戦争のことも書いてあり、経験者から聞いたないようをそのまま文章にしているから、内容が生々しくて悲惨で、数回読むことを休んだ。それぐらい経験者が語った言葉は重くて苦しかった
ジェーン・スーさんのエッセイは2冊めなんだけど、やっぱり文体のリズムがすごく心地よくてすいすい読めるし、エッセイでありながらも文芸的な情景描写もあってとても好き。ほかのエッセイも読もう
Posted by ブクログ
父とまっこうから向き合う冷静な娘の姿が見てとれる。
家庭には色々な形があるし、どう思うかも、家族との関係性・状況・感情さまざま。
娘もいないし、ダメ父になりたくはないが、子供は幸せにする そう信じてるし、だけれどストーリーとして向き合う姿勢に共感したものあり。
Posted by ブクログ
とんでもない父親の提案に爆笑してお金を出したり、病気の母の言葉が面白くて書き溜めていたり、「面白い」で包み込める主人公の度量の大きさが本当に素敵だった。
昨今、「毒親」に関する話は聞く機会が多々あるが、感謝すべき部分を認識して、大人対大人として対峙する「普通」の関係をつくることは子供の力量も大きいと思えた。お互い健康なうちに、たくさんの「面白い」を見つけて良い関係を続けていきたい。
Posted by ブクログ
毒親といえば、だいたいは母親と相場が決まっている。これは、世間一般ウケはしなさそうな父親と娘の話。私は年老いていく両親に優しくできない。いつも後悔するのに。親の老いを受け入れられないんだと思う。「もっとできていた」、といつまで経っても諦められない。そして、私も老いていく。
Posted by ブクログ
「ぶたに失礼だから、真ん中を食べなさい」と怒られた。「美味しいところをあげるよ」とは言えないらしい。
(二人にしかわからないこと)
この文章だけで、読む価値があったと言える。娘がいる父親であることを感謝した。
Posted by ブクログ
自分の親も老いてきて、親の死と向き合う心の準備もしていくべきかだけど、まずは軽い感じのものからと思って手に取ったエッセイ。著者は奇しくも同年生まれのジェーン・スーさん。東京生まれ東京育ち。これまで存在を知りませんでしたが、音楽プロデューサーやコラムニスト、ラジオのパーソナリティとしても活躍されていて人気があるようです。
さて、本書のタイトルから想像していたのとは違い、著者の父親(70代後半)は死にません。老いてきたようですがまだまだお元気な様子。昔は貴金属業を営んでブイブイ言わせいたが、事業が失敗して小石川の家業も実家も失った父親のために引っ越し代として100万円を渡す交換条件として父親のことをエッセイとして書くこととなり、そのエッセイをまとめたのが本書。著者の母親が20年前に亡くなっていることや、父親との確執なども含めて、70代後半の父親と50目前の(未婚の)一人娘がどのように接し、互いを認識し、過去と現在、未来に向けて動いていくのか。他人の例を参考に、自分の親との今後の向かい合い方を考え直すきっかけにしたいものだ。
Posted by ブクログ
吉田羊さんと國村隼さんのドラマから入った作品。
ドラマが思いの外、面白く御両人による演技が自然体で素晴らしく役柄にとってもマッチしていた。
そこで原作である本書を読み始めたのだけど‥‥
やっぱり原作も面白かった。ドラマ同様に自然体で読み進められる作品であった。
Posted by ブクログ
2021/3/14 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2022/11/25〜11/27
ドラマ化もされた、スーさんの家族を書き綴ったエッセイ。お父上は相当癖のある方のようで、エピソードたっぷり。自分の父親や母親のことをかけと言われても、なかなかこんなエピソードは無いなぁ(あるいは、それを魅力的に描き綴る筆力がない)。
中江有里さんの解説も読み応えあり。
Posted by ブクログ
愛憎混じる、父と娘の本当の物語。父にお金も時間も惜しみなく投じる娘の真意の裏には、早逝した亡き母に何もしてあげられなかったことへの後悔もあるのだろうか。茶目っ気を添えて憎まれ口をたたく父の姿に気づけば情が湧き、専らのヒール役に仕立て上げる事もできなかった。眺める角度によってコミカルにもシリアスにも見える歪な父娘の関係、これも一つの家族のカタチなのだと腑に落ちた。
Posted by ブクログ
どうしても僕の経験や実感を思い浮かべてしまうけれど、親子関係とは何だろう、と考えてみようにも呆然とするばかりです。先月父親が亡くなりました。母親は車イスの生活なので、現在施設に入居しています。僕は、ずっと実家暮らしで、両親が不在の現在の生活に、戸惑うというか、戸惑うということにすら実感がないというか。我が家の親子関係など、とてもさっぱりしているのかなあ、と。
僕と父と。僕と母と。父と母と。父とは、もう話すことができないし、かと言って生前の父とは、あまり深い話をした記憶もなく。ああ、いまさらなのだけれど、僕がもっと話しかけること、そういうことに気づいていなかったということ。とはいえ僕は、それを悔やんでいるわけではないし。ただただ、照れくさかっただけなのです。どうしても、面と向かって話すことができませんでした。「父親と息子なんてそんなもの」誰かが言っていたことを鵜呑みにして、それでいいと思っていました。
僕の母は、僕に厳しかった。家族全員に厳しかった。母自身にも厳しかった。だからいつも少しだけ気を使っていた。親を親とも思わないような言動には特に厳しく、反抗期だから、だなんて、そんなの理由になどならなかった。真面目で筋が通らないことが大嫌いで、そういった意味では、僕にとって見習うことが多かったと思う。そして僕のことを誰よりも褒めてくれたのが母だった。施設に入居しまったことを悔いているだろうに、仕方がない、と言ってくれている。母の強さはこういうところだと思う。
父の死があまりに急すぎたし、葬儀の際の母の嘆きにも、僕はかなり堪えた。これから母は施設で一人きり、さぞや落ち込んでいるだろうと思いきや、葬儀のあと数日後に施設で面会すると、母は僕の予想を良い方に裏切ってくれた。しっかりしてる。現実を受け止めて、生きることを意識していた。強い人です。
本の感想を記す場所なのに、僕自身のことばかりを長々と…申し訳ありません。
『生きるとか死ぬとか父親とか』
以前ドラマで観ました。主人公の若い頃を松岡茉優が演じていた。僕はいま松岡茉優に夢中です。というわけで、この本を手に取るきっかけは松岡茉優でした。じつは松岡茉優が出演していたことを思い出したのは、つい最近のこと。放送当時の僕は松岡茉優の存在自体は知っていたものの、現在のように、これほどまでに彼女のことに夢中になってしまうなど、僕自身まったく思いもよらない事態です。
彼女が出演していたのは、
『はんぶんのおんどり』
の項でした。この物語の核心部分ではないかと僕は思っています。後々に至る出発点というか。親子という関係とは暗黙の領域というか、それは親子の数だけ存在する、他者には踏み込むことも理解することもできない領域ではなかろうか。安易に、分かるなどと共感を許さない機微というか。
親子関係という安易な共感を許さないという点についてのみ共感が許される。誰しも持っている、理解ができる、かといって他人には分からない。それが親子の関係性なのでしょう。
Posted by ブクログ
ジェーン・スーさん、予備知識なしに読んだけど後で補完したら日本人の方だった。この名前は芸名だそうで。
内容は自伝的エッセイ。父子のおもしろやりとりが綴られる。父の病や、肉親の死、戦時の記憶なんかを軸に描かれているが重さは全くない。さらっと読めた。
私は最初、父目線で追っていたけど、人間としても男性としても魅力あふれるご老体であっさり置いていかれた。クヨクヨしない、金離れの良い生き方。
むむむ。(何)
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ドラマが面白かったので原作本も読んでみた。親子といえど別人格の人間。イライラしたり理解できないこともあるし、些細なことで喧嘩することだってある。言ってはいけない言葉で傷つけることも。なのに喧嘩の数分後には冗談を言って笑い合ったりもする。家族って不思議。365日仲良しこよしの家族もいるかもしれないが、このくらいの距離感が父も娘も生きやすいのかも。
Posted by ブクログ
親子であっても別々の人間であり、よい距離感というものが必要であるとこの本を読んで再認識。親が生きているうちに色々な話を聞いておきたいという思いは自分自身も年々強くなってきておりとても共感した。
Posted by ブクログ
NHK理想的本棚にて、『父親が嫌いになった時に読む本』で紹介されていた。
父親も母親もそれぞれ男と女であり夫婦である。生きているうちに対話する時間をもって、親以外の一面について知っておきたいと思った。