【感想・ネタバレ】自由の限界 世界の知性21人が問う国家と民主主義のレビュー

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Posted by ブクログ

いわゆる世界の知性と言われる方々が、現代社会、国際情勢、各国のリーダー、国民などをどうみているのかをまとめたもの。新聞記者による取材がベースになっているが、一人称で語っているように編集してあり、読みやすい。アメリカや中国の姿勢、中東情勢など、日本の新聞、日本の記者が書いたような切り口や評価とは異なり、さまざまな視点が得られる。興味深いのは、彼らの日本人に対する印象で、「勤勉・規律・利他」という点が共通している。これは強みなんだろうと思うが、一方で「同質・保守」といった弱点の指摘されている。「世界の姿」というものをいろいろな角度で見せてくれる一冊。

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2021年09月20日

Posted by ブクログ

わたし程度でですら、ここ数年のウクライナと最近のイスラエル対ガザ(パレスチナ戦争)などで、どうしても世界中のことや世界中の人達が気になるようになってきました。

はじめに
第Ⅰ部「予言者」であることは難しい
エマニュエル・トッド
第Ⅱ部 それでも欧州に期待する
ジャック・アタリ
ブレンダン・シムズ
リチャード・バーク
スラヴォイ・ジジェク
マルクス・ガブリエル
第Ⅲ部「アラブの冬」と「帝国」の再興
ジャンピエール・フィリユ

タハール・ベンジェルーン
チュニジアのイスラム原理主義の狂信者は今回の実行犯だけではない。その背後に数千人が控えている。事件は偶然起きたのではなく、起こるべくして起きた。テロはこれで終わらない。

アミン・マアルーフ
第Ⅳ部 世界の軸はアジアに
マハティール・モハマド
主に日本に学ぶ、「ルック・イースト」構想をまとめた。日本は敗戦国だが、国民は懸命に働き、規律を守り、生産する商品の品質に責任を持った。我々は日本人の職業倫理を真似ようと努めた。
社会格差への配慮だ。貧富の差が非常に大きくなると、紛争につながるのは必至だ。
今、世界で欧米が退潮し、中国が台頭している。
欧米は製造業で競争力を失い、現実の経済とは言えない金融市場に依存し、巨万の富を稼ぐことへ転じて災いを招いた。欧米が復活するのは難しい。労働者の賃金は高く、就労時間は短く、社会保障が手厚いことが国際競争力を失った理由と言えるが、そうした水準を落とすことは困難だ。加えて、製造業で重要な技術を労働者は失っている。
マレーシア近代化を実現できた。成功の要因は三つ。国民を公平に扱う、良い統治。国家の安定。そしてビジネス環境を整えたことだ。
中国の台頭を拒むことはできない。日本はその現実を受け入れ、中国の発展から利益を引き出すことを考えるべきだ。
フランシス・フクヤマ氏は「歴史の終わり」を宣言したが、妥当ではない。歴史は終わらない。万物は流転する。世界人口が70億を超えただけでも、地球環境に限らず、様々な変化をもたらしている。二一世紀に入り、世界の軸はアジアに移りつつある。
中国は世界各地で活動している。孤立させることはできない。
日本はアジアの一部であり、アジアは世界の一部だ。日本はアジアに属することを自覚し、中国、韓国と競争しつつ、協調し、協力する手本を示してほしい。

プラープダー・ユン
トンチャイ・ウィニッチャクン
張倫
パラグ・カンナ
岩井克人
第Ⅴ部コロナ以後
ジャレド・ダイヤモンド
しかし、地球の最大の脅威は人類です。他の脅威は全て人間の作為です。人類が本気になれば、解決できるはずです。

ニーアル・ファーガソン
ネットワークには同類を集め、異類を隔て、分裂を際立たせ、増幅させる働きがあります。
全てがつながっている世界は理想郷に近い―確かに便利です。この主張は心地よく響きます。
果たしてそうでしょうか。
私見では、「理想郷」どころか、民主主義をむしろ損ねています。

ジョセフ・スティグリッツ
ティモシー・スナイダー
パオロ・ジョルダーノ
ユヴァル・ノア・ハラリ
真の敵はウイルスではなく、人間の心に宿る悪、つまり憎しみ・無知・強欲だと私は考えます。
私たちは心に宿る善、つまり共感・英知・利他で対処すべきです。弱者をいたわり、科学を信じ、情報を共有し、世界で協力する。
新しい職は創出されるでしょう。ただその職を得るには新技術の習得が必須で、大量の労働者の再訓練が必要になる。経済活動に無用とされる階層が出現しかねないのです。
人類が地球を支配できたのは、唯一ヒトが多数でも協力できる動物だからです。一対一ではチンパンジーにも負ける。千対千なら楽勝です。ピラミッド建造から月面着陸に到るまで人類の偉業は無数の人間の協力のたまものです。
人類は物事を決定する力を手放してはならない。歴史の流れを定めるのは私たち人間です。

あとがきのようなもの
第二次大戦時に零戦操縦士だった原田要さんのお話

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ようもまあ、これだけ当代の脳ミソを集めたもんだ。筆者はブンヤさん。元々は新聞記事として書かれた文章を書籍の体裁にまとめたものらしい。でも、筆者も言うように「歴史を踏まえて現代を読み解いて」普遍性を持つ文章ばかり。特に、トランプ当選の前後両方のタイミングでの発言がある人もいて興味深い。2015〜2020年間の二大トピックと言えばトランプ大統領就任とブレグジット、末期は勿論コロナ禍だが、日本の少子高齢化問題に関する発言多し。当事者の我々が思うよりずっと世界の注目を浴びているらしい。あと、多くの人がフクヤマの『歴史の終わり』を引き合いに出すのが印象的だった。

本国では容赦ない論客とされて敵の多いエマニュエル・トッド氏が「日本と接する自分が本来の自分」とまで言うのって、要は日本の論壇や言論界がぬるま湯だってことよね。資本主義は支持するが保護主義論者であるトッド氏。そうすると現実的に同調するのはトランプ氏とフランス国内だと極右な皆様ってことに(涙)。対ドイツ感情がチラつくところがフランス人らしい。他の大国は歴史の中で国力の衰える時期を経験してきているが(中国だってある)、米国にはそれがない…だわな。

「『パクス・シニカ』はあり得ない」と断言するインド出身の国際政治学者、パラグ・カンナが気になる。幸い和訳が何冊かあるようなので、読んでみたい。

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2021年03月08日

Posted by ブクログ

世界情勢を思想家、歴史家へのインタビューから述べたもの。
グローバル経済の後のポピュリズムの台頭、中国など非民主国家の台頭など、民主主義の行く末を語る。
多くの知識人が共通して、日本の少子化に警鐘を鳴らしていたのが印象的。
大変面白い内容だった。

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2021年02月11日

Posted by ブクログ

各国が内向き志向のポピュリズムになりつつあった時に、コロナ禍によってその傾向が加速された印象。ただアメリカではバイデンが勝ち、イギリスではボリスジョンソンが「社会はあった」と言ったように、2010年代まで続いたネオリベと訣別できる転換点になるのではないかと期待している。

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2021年02月01日

Posted by ブクログ

インタビュー記事の寄せ集めなので、新聞への掲載向きであっても書籍向けではないかもしれないが、決して読むに値しないものではないので冷静に判断しよう。 取材者の選り好みのためか、似た意見を持つ人が集まった印象はある。 まず日本の少子高齢化に警鐘を鳴らす声が多く、中国についても一人っ子政策や男児偏重の歪みが今後大きくのしかかってくる人口構造を指摘されることが多い。 また、フクヤマ=歴史の終わりとハッチントン=文明の衝突がやたら引き合いに出される。
それぞれの国が思ってることや近代史や歴史の解釈についてザッピングするには悪くない内容。 

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

エマニュエル·トッド、マハティール元マレーシア首相、ジャレド·ダイアモンド、ジョセフ·スティグリッツノーベル経済学賞受賞者、ユヴァル·ノア·ハラリ等著名な知識人への国家感、世界の危機等に対するインタビュー記録。
21年1月発行だが、古いものでは2012年のインタビュー内容もあったり、新しい内容が全体的に少ない。激動する世界では1~2年の間で大きな変化があるので、最新動向に対しての各人の意見と言うより、インタビュー当時の世界の危機は何と考え、どうすべきかと言ういわば普遍的な考えを述べていると理解した方が良い。
いずれにしても、世界の知性の考えを知ると言う意味では、興味深く読めた。

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2021年08月03日

Posted by ブクログ

1冊に世界情勢のエッセンスが詰まった本。

ヨーロッパ政治、トランプ政権の罪、中東の紛争事情、東南アジア政治の背景と考察が勉強になる。

21人の専門家が色んな観点で問題をどう解決したらいいかヒントを示している。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

民主主義への限界が自由の限界と書かれている。
21人のホットな人々が欧米、中国、他のアジアの国を語っている。日本はアメリカなのかアジアなのか今一度考えさせるときになった。

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2021年03月03日

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