あらすじ
人のこころを解きほぐし、生きる力を与えるおいしい食事を、そっと差し出したい――。
そう願った佐藤初女さんが主宰した青森・岩木山麓の「森のイスキア」には、悩みや迷いを抱えた人が数多く訪れ、心のこもった手料理を一緒に食べて、生きる力を取り戻していった。
「初女さんのようなおむすびをつくりたい」という多くの人々に請われて各地で講演やおむすび講習会を開き、食の大切さを伝えていた初女さんが、料理のし方や心遣いを丁寧にわかりやすく語り尽くしたエッセイ。
食材を「いのち」ととらえ、いのちがささやく物語に耳を澄ませた著者ならではの“発見”が詰まった一冊。
おむすび、かぼちゃの煮物、ほうれん草のおひたし、ポテトサラダ、煮豆、りんごのコンポートなど、料理の作り方も多数紹介。
〈解説〉若松英輔
〈目次〉
1章 おむすびに心を尽くして/2章 いのちをいただく料理/3章 お母さんの手が伝えるもの/4章 病む人の心に寄り添うとき/5章 料理をすることが祈ること
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Posted by ブクログ
森のイスキアには、悩みを抱えた人たちが集まってきます。
佐藤初女さんは、そんな人たちを優しく迎えます。
寝泊りもできて、心を込めておにぎりを握ったり、食材の良さを最大限に活かせる食事を出します。
写真に紹介されているある日の献立は、とても質素な、派手さはない料理。でも工程に食材の美味しさを引き出すための工夫がされていて、心を込めて作る。その気持ちが訪れる人に伝わるのかも知れません。
訪れた悩める人たちに、初女さんは、自分からのアクションはなく、その人が話したいと思った時にただただ、話を聞く。アドバイスも特にはしない。それなのに、訪れた人々は、解決の糸口を見つけたり、心を切り替えたりと、フラットな気持ちでイスキアを発つのです。
結局は、訪れた人たちは自分の力でその道を見つけているのだろうけれど、それを見えない力で支えるおむすび、食事。
祈りを込めて作った食事は、人の心に届くのだな、と感じました。