【感想・ネタバレ】緑と楯 ハイスクール・デイズのレビュー

あらすじ

卒業まで関わりたくなかったはずの人間が、いつのまにか、毎日会いたい人になるなんて! 未来浅草高校に通う兼古緑(かねこみどり)と荻原楯(おぎはらたて)。学年や男女の垣根を超えて多くのファンを持つ楯と、緑は高校二年で同じクラスになるが、楯に対していけすかない印象を持つ。それは、彼の周りには常に誰かがいて、愛されるのが当然のような存在だから。彼を見ていると自分の劣等感を刺激するので、なるべく距離を置くようにしていた。そして持ち上がりで三年になったのだが、ある日、長期病欠していた楯の家に担任の使いで訪れることになり、いやいやながら向かった緑なのだが――。未来東京に生きる二人の男子高校生の、じれったいほど凸凹で、照れくさくなるほどピュアな恋の軌跡。

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Posted by ブクログ

ピュア全開。
人を好きになるって、こんな幸せなのねーってことを思いだしました。

何より文章が気持ちいい。
歌人でもある作者さんならではなのでしょう。
無駄がなく、選び抜かれた言葉たちで紡がれた物語。

そして、やっぱり、楯、という人物、魅力ありすぎ。楯に再会するために、またこの本を読んでしまいそうです。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

大変申し訳ない話なのだが、作家さんを知らずに、この本を購入した。理由は…個人的には毎度お馴染みとなるジャケ買い。表紙が見て分かる人には分かる人気漫画家さんのイラストだったからだ。この漫画家さんが好きで、他にもジャケ買いで小説を買ったりしている。

なのでビジュアルばかりに気を取られ(なんか歌詞っぽくなった)、内容や作家さんについては失礼ながら特に気にしていなかった。

でも、それを後悔する日がついに来ようとは…。

物語は、誰にもに愛されずに育った少年・緑が、誰からにでも愛されて育った少年・楯に恋をするお話。

一言で言ってしまえば、BL小説。

けれど、その一言で語っていいのか、私には躊躇われる作品だった。

“物心付いつたときから腐っていた”と公言している私でも、だ。

とにかく色んなことがぶっ飛んでいる。ほとんど現代劇なのに、設定は2050年の近未来。なぜか道具たちだけがSFチックで、人の感覚はそれほど変わっていない。そして機械の名前が独特過ぎる。たった30年後で、そんな言葉の連ねになるのか?といった不思議さに溢れている。

ちなみにこのSFチックな物達は、なんら物語に影響を与えていない。近未来である意味は特に感じられなかった。それが逆に凄い。

そして、主人公・緑の性格よ。陰キャなのか、ヤバいやつなのか、判断に難しい感性をお持ちでいらっしゃる。設定のぶっ飛び✕主人公のぶっ飛びで、とんでもない世界観に満たされていた。

愛されたことのない少年が愛することを知って、世界が一転したのだ。

その恋とか愛とかの華やかさが、ぶっ飛んだ表現なのである。

正直、ずっとぶっ飛んでいるので途中で胃もたれを起こした。最後まで読むか諦めるか、悩むほどだった。

でも腐女子のプライドがそれを許さなかった。

そして程なく、それが序章だったと気づかされる。ぶっ飛んだ世界がまたも一転し、華やいだ文章は急に途切れた。

あー、あのぶっ飛び具合は、落差だったのか。

そう感じたとき、同仕様もなく面白い作品だと思った。

読後に知ったことだが、作者は歌人だった。独特な表現は歌だったのだ。

私も、後半の主人公と同じ経験をしている。なので逆になぜそこまで落ちるのか理解できなかったが、たぶん私はもう、その時には家族を諦めていたのだろう。主人公みたいに決まってる結果に抗う気持ちなど一切なかった。

挟まれる子どもほど、辛いものはないんだろうな、と経験から思う。

私はそこから逃れて楽になる方を選んだに過ぎない。よくドラマや小説で『喧嘩しててもいいから一緒にいてほしい』と懇願する子どもを見るが、あれは本当なのだろうか。どこかにそんな考えの人がいるのだろうか。今のところ会ったことはない。

そういえば、高校生の時。親の離婚が原因で荒れて、金髪にした生徒会長がいたな。

私も茶髪にしたり、真っ青にしたりしてたけど、許して貰えなかった。生徒会長にもなったけど。

その辺はキャラの問題らしい。何だそれ。

最後にこの話には、同性による性交渉シーンがあるので、面白そう!と思っても苦手な方はご注意を。

ただ「背中だけ汗をかく」など、表現が素晴らしく良いので、個人的には苦手を差し引いて読むことをオススメする。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

アンソロジー「短編宇宙」に収録の、二人が主人公の話が気に入ったので、読んでみた。
いやこれは参りました。
設定は近未来だけど、要は学園ラブコメというか青春グラフィティというか、家庭の事情とBL(そこに葛藤はないので、同棲であることが問題にならなくなった未来という時代設定と思われる)という要素は絡むものの、恋愛メインの割とシンプルな内容。
そういう話はあまり興味ないのに、これはグッときまくって、参りました。
文庫の帯には「宇宙一ピュアで切ない恋の軌跡」と陳腐なこと書いてるけど、いや、判る。そうかもしれない。

嬉しい楽しいの感情はハイテンション(あくまで内心)な一方、辛いことは淡々と状況だけを語り、でもその状況が本人にとってキツイことは確実に伝わり、ふとしたキッカケで泣き出して止まらなくなる主人公にグッとくる人は多いだろう。
ストレートに言葉にしない感情を、想像させるのがとてもうまい。

仮名遣いというか、普通は漢字で書くところち平仮名多用されてるのは何か意味あるのか、ちょっと不思議だけど。

あと、萩原の失神は結局何だったのか、明らかにされないのは気になるかな。

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2021年10月12日

Posted by ブクログ

雪舟えまさんの作品はいつも、愛がすごい。
愛しか書いてない。
日常と宇宙、肉体と宇宙のつながり方がcute。
歌集『たんぽるぽる』はマイ本棚に永久保存です。

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2021年01月18日

Posted by ブクログ

タイトルも描かれる想いも一直線で、さらっとしてるのにものすごい吸引力。
一気に読んでしまった。
この、ちょっと未来なのか並行世界なのかわからない描写が、なんとも言えず心地よい不安定感で好き。
すきっていいことばだなあ。

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2020年12月13日

Posted by ブクログ

雪舟えま先生の作品を読むのはこれが初めて。
不思議な文体に心地よさを感じました。

みどたて。
もっとふたりの世界に浸っていたいなぁ。
(続き?は電子書籍で読めるようですが、できれば紙の本も出版してほしい・・・!!)

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2021年05月01日

Posted by ブクログ

近未来の男子校生の青春BL。
緑の猪突猛進的な一途な恋を微笑ましいと思えなくてあまり好感が持てなかった。自らを否定をせずにただ受け入れて包み込んでくれるそんな相手をずっと待っていたのだろうか。
楯は誰も好きじゃなくて誰も嫌いじゃないのかと思うぐらい執着がなさそうな印象だったので緑を特別だと不思議がりながらも受け入れているのが意外だった。それでも緑の気持ちが離れたらすんなり楯は受け入れそうな気もする。
彼らと同じ年ごろに読んでいたらまた違った感想を持ちそうだなと思った。
全編通して独特のひらがな使いに慣れず読みにくかった。

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2025年02月04日

Posted by ブクログ

近未来を舞台とした不思議な恋愛物語。
全体的に宇宙空間のような、銀河でたゆたうような不思議な雰囲気に包まれています。
このお話は男性同士の恋愛ものなのですが、近未来だからかそこはさしたる葛藤はなく描かれています。
楯の方が飄々として掴みどころがなく、そこがまたいい意味で宇宙人のようで、物語に雰囲気にあっていました。
緑の家庭環境など重い問題もあるのですが、物語のふわふわゆらゆらしたイメージの包まれてウェットな重さはありません。
ただ、私にはどうしても合わなかった……。身を切るようなシリアスさが好きなので、この丸い雰囲気があいまいさのように見えて受け入れられませんでした。
男性同士の恋愛でも文学性のある物語は好きなのですが、今作にいたってはこの世界で男性同士の恋愛はどういう立ち位置になってるのかが分からず、自分の中で消化できませんでした。
(そういう説明がいらないくらい同性愛がフラットだとしたら、それはいい世の中だと思います)
ただ唯一無二な雰囲気がこの小説にはあります!
水面に写った満天の星を見てるようなそんな物語でした。

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2021年09月16日

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