あらすじ
カラヤン、バーンスタインが逝き、
アバド、クレーメルが新しい道を開拓。
そしてドゥダメル、クルレンツィス登場。
古楽運動にアメリカの没落を重ね合わせ、
マーラー・ブームを佐村河内事件の淵源と喝破する。
博覧強記の思想史家・片山杜秀と
演奏史の語り部・山崎浩太郎が
激動の平成時代をクラシック音楽という視点から語り尽くす!
片山──平成という時代に特徴的なことといえば、やはり壮大なまがいものにこそ感動するというところじゃないでしょうか。
山崎──昭和まではクラシックをめぐる言説が男目線中心だったのが、女性の力が増したからこそ、テノール歌手の魅力が堂々と語られるようになった。
片山──森繁久彌と吉田秀和は同い年。これ重要(笑)。
山崎──宇野功芳の存在は、ある意味で司馬遼太郎と似てると思うんです。
※本書はTOKYO FMグループの衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで
2018年8月19日に放送したウィークエンド・スペシャル「夏休み自由研究~平成音楽史」を
採録したものに大幅な加筆をほどこし、同年9月12日におこなった座談会の内容を
「コラム」として追加して編集したものです。
ミュージックバードはJCSAT-2B(スペースディーバ)から日本全国に向けて放送する
高音質“音楽専門”有料放送です。
クラシック、ジャズの専門チャンネルのほか、スタンダードパックでは音楽ジャンル別に
50チャンネルから楽しめます。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://musicbird.jp/
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
昭和が終わり平成が始まる1989年を象徴する音楽として取り上げられたのが、
カルロス・クライバー:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団:ニューイヤー・コンサート。
このCDは発売されてすぐに買いました。
このあとカラヤン(1989.7)とバーンスタイン(1990.10)が相次いで亡くなっています。
天安門事件が6月、ベルリンの壁崩壊が11月、
ビロード革命でチェコが民主化され、1990年「プラハの春」音楽祭でクーベリックが凱旋帰国しスメタナの《わが祖国》を力強く演奏します。
平成の始めは、クラシック界も世界情勢も変化し始めた時代だったのですね。
クーベリック、ショルティ、クライバー、アバド、アーノンクール、その他巨匠たちが次々と亡くなってしまいました。
そして、現在のクラシック界を盛り上げている指揮者とオーケストラとして、
ドゥダメル:シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ、
クルレンツィス:ムジカエテルナ、
ロト:レ・シエクル、
などを挙げていました。(確かに私も最近よく聴くようになった指揮者とオケです)
いろいろと好き勝手に語り合って、平成の30年はどうだったかのまとめが、
「マーラーに始まり、佐村河内を経て、またマーラーに戻って来る」だった。(これが平成音楽史の結論か!?)
佐村河内守(新垣隆)の交響曲第1番《HIROSHIMA》は、当時いろんな著名人が素晴らしいと推していたのだが、いいと思わなかった。
本書で、マーラー的な曲と言っているので、聴き直してみたら確かにマーラーの雰囲気がある。だから好きになれなかったのだな。
マーラーは山田一雄が世界最高。ブルックナーは朝比奈。という感性の人達の思いつくままの雑談で面白く読めました。
Posted by ブクログ
小澤評に大笑い。
オペラなんか得意そうじゃないのに国立歌劇場の音楽監督に平気でなっちゃう、とか、言ってはいけないことを平気で言っちゃってます。
つか、あれって、ニューイヤーの商業的成功はさておき、誰も幸せにならない大失敗プロジェクトじゃなかったんですかねぇ。
五族協和の体現者、ってのも、虚構でしかなくて結局は何の実りもない、って皮肉ですわな。