【感想・ネタバレ】細野晴臣と彼らの時代のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2021年03月27日

つねにサムシング・エルスを求め、興味から次の興味へと音楽を追い続けた細野晴臣の冒険の書は、70年から現在に至るまでの日本のロック・ポップス史の年表であり、彼がその道中出会う様々な旅の仲間との小説のようだった。小説のように感じたのは、日本のロック・ポップスを作り上げてきた歴史上の人物たちの誰と誰が、い...続きを読むつ出会ってどういう音楽をやってという、ただそれだけでなく、簡潔な文章の中ながらその時の彼らの心情にまで踏み込んだ描写と、彼らが過ごした街の風景の描写があるからだろう。それを拾い上げて文にした著者の仕事もすごいが、細野晴臣という人が、常に不安と葛藤を抱えがちの人でありながら、同時にユーモアのある人であって、従って音楽や周囲の物事を批評的・分析的によく見ている人だったことが何より大きかったし、図録や写真がないことがむしろ小説のように想像力を喚起させてくれる。文中に出てくる楽曲はネットですぐ確認できるという体験もとても楽しかった。

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Posted by ブクログ 2021年02月28日

「細野晴臣」という人物になったかのように読み進めることもできれば、それを俯瞰的に観察できる本でもあった。

はっぴいえんど〜YMO期の読み応えがすごい。教授やユキヒロが当時のことを振り返って語る新事実もあって、こんなことを思っていたのか・・・とワクワクした。

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Posted by ブクログ 2021年01月30日

8年の取材・インタビューなどの歳月を経て綴られた日本の誇る偉大な音楽家、細野晴臣の決定版とも言える評伝。東京港区、まだ当時は下町の色濃い白金台での出生から、若く優秀なミュージシャンをバックにつけてアメリカンポップスの再解釈に挑む近年のソロ作品・ツアーまで。もちろんこの過程には、はっぴいえんど、YMO...続きを読む、ティン・パン・アレーなどの名グループでの活動も含まれるわけであり、それは日本のロック〜ポップスの音楽史を辿るにも等しい。

こうして評伝を読むと、知っているようで知らなかったはっぴいえんど末期のバンドの空気感や、大瀧詠一と細野晴臣の生涯のライバルとも言える好関係(その極点はYMOでの大ブレイクと『LONG VACATION』の大ヒットであろう)などを詳しく知れる点が面白い。そして細野晴臣という人間の歴史を辿るということは、大瀧詠一、松任谷正隆・荒井由美、矢野顕子、小坂忠、坂本龍一、高橋幸宏など、彼を巡る偉大な音楽家についても相当のページ数が割かれるわけで、彼らとの関係性をたどれるのも面白さの一つである。

個人的に非常に感銘を受けたのは細野晴臣が、自作曲について、自身の心情をそのまま歌うのが自身の作品観ではないということを名言する以下の発言であった。

「そのまま歌うのは日記や私小説であって、作品ではないと思うんです。自分の思いをいかにして作品にするか。それが曲作りですね。それが昔からポップスの伝統だったんですよ。だからそこには生々しさとか、そういったものは必要ないなと。(中略)パーソナルな曲は作ったその人でないと歌えない。自分の曲はほかの誰かでも歌うことのできる作品であってほしい。いまだに同じ思いですね」(本書p182より)

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