【感想・ネタバレ】さよなら、男社会のレビュー

あらすじ

ジェーン・スーさん推薦!
「個人的な経験を丁寧に解していくと、そこに社会が現れる。
読後、自分の話にじっくり耳を傾けてもらえたような充足感を得る人は多いだろう。
私もそのひとりだ」


僕らはいい加減、都合のいい妄想から目を覚まさなければならない。
圧倒的な非対称を生きる僕らは、どうしてその事実に気づけないのか。
真に女性と、他者とつながるために、乗り越えねばならない「男性性」の正体とは何か。

50歳となった著者が、自らの体験を出発点に「いかにして男はマッチョになるのか」「どうすれば男性性を脱ぎ去ることができるのか」を問う。
——これまでにない男性をめぐる当事者研究!



【目次】
はじめに
1章 どのようにあたかも自然と男は男になってきたのか
2章 恐怖と勇気が与え、奪い去ったもの
3章 切断の恐怖と悲しみと痛み
4章 猥談とノリ
5章 男性性と女性性
終わりに

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Posted by ブクログ

男性が「感じる」ことを拒否していることに気づかないと解決しないジェンダーの問題を深く書いてくださっているので、ここまで言語化してくれてありがたい気持ちです。

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2023年10月20日

Posted by ブクログ

日本で生まれた男性が、どのようにして男性性を身につけたのかという「参与観察」。
聞こえてくる声や暗黙のルール、それらに縛られていく筆者。
韓国ルーツという出自も影響しているかもしれないが
丁寧に観察していると、男性は想像以上に『男らしさ』を強いられているのだと分かる。

読みやすいだけに批判的に読まないとね。

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2022年08月27日

Posted by ブクログ

生きてる中で感じてきたモヤモヤを全て言葉にして表現されたような感覚だった。このモヤモヤの正体を文章にするとこんな感じか、これこそ感じていた違和感や苛立ちの正体だと。

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2022年04月07日

Posted by ブクログ

とてもスッキリした理屈。男性が女性を差別する根源を丁寧に掘り起こしていて、本当に納得。
ただ原因がそこにあるとすると、男性が自ら気付き解き放たないと。解決までの道のりは遠いなぁ。
でも女性が、もしくは気付いた一部の男性が『教えてあげて』得られる平等な社会じゃあ本物じゃないしなぁ。

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2021年12月03日

Posted by ブクログ

これ、すごくいい本。どうやって男性が男性になるのか、男性の洗礼も書いてあるし、そこから脱却することも書いてある。第4章からは読んでいて自分の中にあるミソジニーと向き合うことになるので私は辛かった。内省。

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2021年04月01日

Posted by ブクログ

「話が通じる」という安心感があった。
息子たちを育てていくうえで覚えておきたいこと、大事にしたいことがたくさん書いてあった。夫には今さら期待しない。これからの時代を生きる人には伝えていかなきゃと思った。

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"感覚的だと言われる話し方は「時系列に置き直して順序よく話すには膨大すぎて、端的にストーリーとして語ることができないくらいの感情と感覚がそこにある」ことを示唆しているのだと僕は理解している。そして結論が見えないと言われがちな「まとまらない話」というのは、散漫ではなく、「わかりやすい解釈を通じて話すことができない」ことを意味しているのだと思う。だから、何が必要かというと時間だ。耳を傾けるという滞空時間が必要なのだ。男たちはそれが冗長に感じて耐えられない。なぜだろうか。ひょっとしたら自分とは異なる存在のありありとした「他者性」を感じることを回避したいのではないだろうか。"(p.188)



"男性性は男性だけが備えているものではないし、女性の中にも男性性はある。女性性もまた男性のうちに存在する。ただ、ここでいう男性性が「逞しさ」だとか「論理的」を意味し、女性性は「細やかさ」「感情的」といった、社会の用意したステロタイプである必要はもう本当にない。"(p.158)

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

時間かけて読んだ。途中、男性性、女性性という言葉がたくさん出てきて、違和感ある時もあったが、その意味に最後には納得できた。自分をそのまま受け入れること、最近忘れていたなと感じた。

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2022年05月20日

Posted by ブクログ

著者が考える、「男性性(男とはこうあるべきみたいな考え方)」ってこうやって形成されてしまったんじゃないか。という考察には自分にも思い当たるふしが多すぎてクラクラする。気づいてない振りをしてきた、誤ったというかズレた価値観の上に自分自身を構築してしまったという事実。また、おそらく大多数の男性が同じように間違った男らしさをインプットされて社会を作ってきてしまったということを突きつけられ絶望する。
多くの男性がこの本に書かれている事に気付き変化して欲しいと思う。
また、女性も読んで男性の暴力性みたいなものの根っこを知る事で、自身の身を守ることに役立ててほしいと思います。まあ、男性のダメさ加減に呆れてしまうかもしれませんが・・。

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2021年08月16日

Posted by ブクログ

読むのにめちゃくちゃ時間がかかった。痛くって。
感想を書こうとすれば、引用しようとすれば、いろんな観点がありすぎて膨大な量になりそうだ。

語り口が厳しく痛い。でもそれは、著者自身が自らを断罪していて、血を流しているからのようにみえる。

序盤の語彙の強い社会への糾弾に怒りを一緒に募らせ、途中著者の歴史に置いてけぼりにされながらも、後半、厳しくも自省し未来を向く著者と苦しいながらも前を向く。なんとも私的な随筆。

男社会、男性性とは言うけれど、女性だからそれを持たないわけではなく、私も社会で働きながら、尊大さを発動させ、論理で丸めようとして、人の自由を奪うことで自由を獲得した気になると言う男性性を発揮している。

加えて、生きてきた中で蓄積された私の中の文化が、この社会構造を大いに受け入れて、ドラマや小説や恋愛で、男女の歪な支配関係を悦としてみることもある。侵されているなと、私もこの社会を助長している一員だなと思う。

男女と分けて生きる意味が、どこにあるのだろうか。女なら全ての男に欲情する、ということでもないのに。

#さよなら男社会 #尹雄大 #読書記録

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僕たちはいかに分断するかの知識に長けている。男性が女性を差別する。その理由は突き詰めると女性が女性であるからだ。同義反復以上の意味がないとすれば、性別が本質的に問題なのではなく、あなたの中の個人的な事情が差別を必要としている。その憎しみの物語の結末はあなたに何をもたらすのだろう。少なくとも幸福ではないはずだ。

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「要するに何が言いたいのか」とは「俺のわかるように話せ」にほかならず、今現に話していることを受け取らない、拒絶のメッセージでしかない。
どうして一方が当然と思っている理解の形にはまらないとコミュニケーションと呼ばれないのか。そのことについて男たちは考えたことがあるだろうか。考えずに済んでいるのは、やはり社会とは「(男)社会」であり、(男)の箇所が見えていないからだ。

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マイノリティは社会に参入し、他者と接する際に緊張感を大いに味わう。果たして自分が受け入れられるかどうかわからないからだ。そうなれば細やかな気遣いだってしようというものだ。
翻って考えれば、社会は常に自分を受け入れて当然と思わない限りは、あのような尊大さは身につけられないだろう。

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2021年07月23日

Posted by ブクログ

「男社会」と書かれているので、男性側の話であることはもちろんなのだが、これは女性も関係する話だなと。そもそも女と男がいるから、男社会も女社会も存在するので、男社会に女が一切関与してないなんてことない。また、男性性というのは身体的な性のことではなく、気持ちの性のことなので、女性にも大いに関係する。というより本書を読んでいると、女性のなかの男性性も無視できない問題だなと感じた。わたし自身も含めて、強くあろう、立派であろう、弱さや脆さは見せられないと強く思い込んでいるのは、本書の視点でいえば“男性性”だ。その視点が自身のなかに存在する限り、わたしは弱いと見える人を攻撃し、差別し続けるだろう。その傾向は年々弱まっているように思えるけれど、読んで共鳴してしまうくらいには、まだわたしには男性性が残っている。

男性が読むことはもちろん、わたしは女性にこそ読んでほしい内容だと感じた。フェミニストであり、フェミニズムを訴えるからこそ、自分の精神の中身については敏感であるべきだと思う。(〜べきと使うと強い感じがしてしまってよくない……)誰もが自分自身を振り返りながら歩を進める必要があるということ。

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2021年06月30日

Posted by ブクログ

男性性とは何か、どこから来たか。著者の個人的経験から語る。
男性「性」と書くことで、性別とは異なる、あくまで考え方の話であると区別している。


答えを出そうとするのではなく、常に問い続ける。

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

冒頭にもある通り、個人的経験から「男」の固定観念について掘り下げている。そのため、作者の世代での1つの像という程度に捉えるのがいいのかもしれない。
新たな男性像を探すものを期待していたが、感覚的には、フェミニズムに寄り添う男性の男性批判といったもの。

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2025年09月02日

Posted by ブクログ

この社会の基盤とか雰囲気をここまで深掘りして言語化できるのすごい。
私はこの人より女性とか男性とか今の社会が作り上げてきた雰囲気を考えてないし気づけてないなと思った。

世代が違うので昔はこんな世の中だったのかと思うと数十年でここまで変われるのは希望だと思う。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

なんとも言えない読後感である。

この本の他の人の感想を見てみたが、内容がとっちらかってるとの投稿もチラホラあった。
だが、筆者も指摘するように、違和感を「感じる」対象は筆舌に尽くし難いので、シュッとした文章で整理することは出来ないのだろう。
1対1対応ではないと筆者も分かった上で、表現方法を手を変え品を変え、対象の本質に近づこうとしている。

男社会の構造的問題に近づこうと試みる良作であろう。

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2024年02月14日

Posted by ブクログ

この本を手に取った理由はとても個人的、かつ偏っていて、それは「男性キャラをマッチョ思考にしたくない」「男らしさ、のようなものからの解放を書くには」というものなんですが、私の目的からするとぴんとこない本でした。

男性は所属する小さな社会(親、学校、部活など)のありようを肯定することによって社会の一員として認められ、そこでは何もかもが精神論にすり替わっている。
できないのは努力が足りないから。
頑張ればできる。女々しい。
そうして「嫌だと思う」ことを排して脈々と繰り返されている。このあたりはまあ納得できるのですが、その根っこを、第二次大戦時に「死があまりにも近くにあった」からだとするのはどうなんだろうな、と違和感を覚えて、以降はパラ読みになってしまった。

現状を述べ、その原因と思われる要素を述べてゆくのは無難な書き方だけど、どうにも地に足が着いてないように私には思えた。

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

男性が『男社会』について研究し、言及しているのは、あまりないのではないか。そう『社会』ではない『男社会』だ。
何が違うのかは、本書を読んで頂くと、ニュアンスが伝わると思うのだが、
一般的に、男性が『社会』について語る時、それは大前提として『男社会』であるし(自覚の有無は一旦おいておくとして、しかし、無自覚が多いと思う)、フェミニズムについて語る時、それは圧倒的に力を持つもの立場から弱者を語っていると感じる。
けれども、その大前提がある限り、『社会』はずっと『男社会』なんだよな、とずっとずっと感じてきたので、まずは、こういう本を書いてくれる男性がいるのだな、と言うことに興味を惹かれ、手に取った。

こういう本を、男性が一人でも多く読んで、一人でも多く、考えるきっかけにしてくれたらなあと願う。おそらく、せっかく居心地よく住んでいる世界に異議を唱えられる、指摘されたくないことを指摘される不快感みたいなものはあるのだろうけど、冷静に読んでもらえたらなあと。
なぜなら、いくらフェミニストと言われる人たちが、必死に声をあげても、なかなか世の中は変わらないから。これは、性差だけではなく、昨今言われている、ダイバーシティと言うことは、全てそうだと思うのだ。人種差別も宗教もセクシュアリティも。
マイノリティの声は小さく弱い。だからと言って、声を上げることを辞めたら、無音だから、辞めてはいけないのだけど、マジョリティが本気になって、耳を傾け、声をあげる手助けをしてくれなくては、変わらないから。

そんな思いとは別に、男性には男性なりの、『男社会』で生きる辛さ、男性性を幼少期から求められていくことの辛さもあるのだな、と改めて気づかされた。と言うことは、やはり教育なのだとなると、これは、男性任せじゃなくて、やはり女性も母親として、息子にどう接していくのか、そこには責任があると感じた。

この本の内容を、それだけ評価していながら、評価3にしたのは、少し、著者の個人的なところの描写が多いので、そこをもう少し、数々のインタビューをしている著者ならではの切り口で、他の男性にも落とした形での説明に割いてもらえたら良かったのにな、と感じたからなのだが、
一方で、
著者の子供時代の親とのやり取りを読むにつけ、私は私で、親に「女の子だから」と言う理由で、言われ続けたことが、苦く思い返され、男女の差はあれ、辛さに共感してしまうのだ。男女関係なく、親には愛されたいし、強くありたいし、本当はありのままの自分を受け入れて欲しいのだな、と。

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2021年02月01日

Posted by ブクログ

男社会におけるホモソーシャルがどうやって形成されていくのか、男性性とはどのようにしてできあがってゆくのか、男性の視点からときほぐしていく本。「男性にとって生きやすい社会」と「女性にとって生きやすい社会」は両立させることのできる概念だと思うし、「性別に関わらず生きやすい社会」になるといいなあ。
思ったより著者の自分語りの比率が高かったのと、文章のクセが強かったので、もう少し読みやすくて客観的な本があったら読みたいなと思った。

【読んだ目的・理由】男性から見たフェミニズムが知りたくて
【入手経路】買った
【詳細評価】☆3.4
【一番好きな表現】男性が論理的なのではなく、これまで続いてきた男社会において、男性の間で通じる話法が「論理的」と評価されているだけで、女性はそれとは違う論理を展開しているかもしれないではないか。つまり何をもって「論理的」としているかと言えば、現行の男社会の作法が「それを論理的とする」と位置づけているからだ。(本文から引用)

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2020年12月10日

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