あらすじ
「死ぬ間際まで何かを書かずにはいられない、その辺が文豪の文豪たる所以なのかな」
―京極夏彦(小説家)
太宰治38歳、芥川龍之介35歳。
作家は早死にだ。
いや、志賀直哉は88歳、井伏鱒二は95歳まで生きた。
人生が様々なように、死も様々だ。
生物である限り絶対に避けようがない死。
人生最大の苦ではあるが、時には救済となることもある。
文学という手段で人生に取り組んだ文豪たちは、どんな死を迎えたのか。
迫りくる死の影は、作品に何らかの影響を与えたのか。
死の直前、彼らが見ていたのはどんな風景だったのだろう。
死に方を考えることは生き方を考えることだ。
本書では、小説を通して様々な人生を世に問うてきた文豪たちの人生を、死という消失点にむかって遠近法的に見ていく。
そうすることで、その作家の人生、そして作品をより深く多角的に省察しようとする試みである。
巻末に、京極夏彦氏との対談を掲載!
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Posted by ブクログ
文豪の死に様、生き様がたっぷり知れて興味深かった。戦前の文豪がアイドルのような注目された存在であることがわかった。それも生きにくさの原因だろうな‥自分の人生を切り売りしてヒット作を生み出さないといけないし、私生活についても周りからやんや言われる‥そんな中生み出した作品をちゃんと読んでみたい。
Posted by ブクログ
掲げられる文豪に関して、その死に様はおろかしっかり味読して思考を巡らせた著書もそうあるわけではないのだが
文壇ばかりでなくとも彼らの置かれた環境とその結末としての死から人物を掘り探ることは、書物そのものよりも関係性を覗くことに惹かれてしまう出歯亀的な興味を満たすものとして個人的に楽しかった。
Posted by ブクログ
大して期待していなかったのだが、これは拾い物だった!
タイトルは「死に様」だが、取り上げられている十人の文豪それぞれの死から逆照射した生き様が生き生きと描かれている。
最終章の対談の中で京極夏彦が述べているように、これはブンガク研究者ではとても掛けない内容であろう。
取り上げられているのは
樋口一葉 ・享年24/二葉亭四迷・享年45/森鴎外/享年60、有島武郎・享年45/芥川龍之介・享年35/梶井基次郎・享年31/小林多喜二・享年30/岡本かの子・享年49/林芙美子・享年47/永井荷風・享年79
永井荷風は天寿を全うしたかに見えるが、その実は孤独死だった。
ややもすれば軽すぎる語り口に見えるが、随所に見られる洞察力が凄い。
Posted by ブクログ
文豪と呼ばれる人達の人生と最期。思ってたイメージと違ったり、笑えるし、これ、本当に面白い!梶井基次郎なんて、まさにその通り!でも、昔の作家って、自分の人生や思いをすぐ小説や文章、手紙に遺しているから、こうやって後世にも残るんだなぁ。破天荒出し、あからさまに揉めるし、借金するし浮気するし、死んじゃうし…。岡本かの子の生き方は女として理想なのかもね。でもさ…やっぱりみんな…変人だよなぁ。続編、出て欲しいな、読んで良かった。
Posted by ブクログ
✩は3.5くらい。
著者の文章力、そして関西人らしい的確でキレのあるツッコミのおかげでとても面白かった。
文豪は、作品だけでなく各人のエピソードも、その時代柄か今とはあまりに色んなことが違いすぎる。そのため自分とは縁遠く感じることが多かったが、本著で文豪をこんなに身近に感じられたことは面白い体験だったと思う。
Posted by ブクログ
文豪と呼ばれる人々を全く知らない私にとって、どんな人物がいてどんな生き方をしてとゆうのがおおまかに把握できた本でした。
興味の湧いた人物への取っ掛かりができた気がします。
死ぬ年齢は様々、いつ死ぬかわからない人生、少し考える時間ができました。
Posted by ブクログ
タイトルと装丁が良かったので。
文豪と呼ばれる方たちの作品は今より若い頃に読んでいた。
よく読んでたな~と今更ながらに感心。
結構文体とか難しかったはずで、今読む気にならない(笑)
この中では有島武郎の本を何冊か読んでいたけれど、
こんな奴だったのかと。
門賀さんの解釈は本当に面白い。
樋口一葉も早く亡くなってるからよくわからないままだったけど、
想像と違ったし。
岡本かの子は興味深いから、なんか読みたい。
Posted by ブクログ
10名の作家の最期をテーマにしたエッセイ様とした文章で、著者の方が「一文豪一死因」と記しているように、様々な作家の生き様をユーモラスに描いています。
かなり今風の言葉で書かれていて、ネットスラングなども多く使われているので、好き嫌いが分かれますが、個人的には、よく調べられていて、まとまりもよく、最後まで楽しく読むことができました。
Posted by ブクログ
WEBで連載してた頃からこの記事を読んでいましたが、それらを大幅に加筆してまとめた一冊。
研究者ではないライターである著者の視点を通しての描き方に好き嫌いが分かれるかもしれませんが(それと、いまどきのネットで使う文章・言い回しが多いので、そこらへんのノリが受け入れられるかどうかも、読者を選ぶかと思う…)個人的には、各文豪の解釈について肯定・否定はそれぞれ読者側に委ねられてて自由ですし、各引用や参考文献もしっかりまとめられてて、読み物として面白かったです。
私は、この本の「森鴎外の死に様」の解釈なんかとても好きですね。
竹田昼さんの挿画も良かったです。