【感想・ネタバレ】数学ガールの秘密ノート/確率の冒険のレビュー

あらすじ

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本書は、わかりにくく誤解されがちな「確率」を扱った数学物語です。「僕」と三人の数学ガールが「確率」に関する問題を対話しながら考えていくようすが描かれます。確率の基本から始まって、条件付き確率、集合と確率の関係などを一つ一つ学びます。単なる計算だけではなく、病気の検査における偽陽性・偽陰性の問題や、確率が誕生するきっかけとなった歴史的問題まで扱います。
確率は、保健や医療といった身近な分野から、製品の故障や機械学習といった科学技術の分野まで幅広く登場します。中高生はもちろんのこと、大学生から社会人まで幅広く楽しめる本書で、生涯を通じて役に立つ確率の基礎を固めましょう!

※本書は『数学ガールの秘密ノート/やさしい統計』(2016年刊行)の姉妹編です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 数学ガールの秘密ノート場合の数の本と並行して読み進めて、確率の冒険も読み終わりました。コインを投げて表・裏のどちらが出るか?というシンプルな試行についてよくよく考えると確率の難しさと面白さがわかってきます。あまり深く考えずにいるときの確率と、「全体は何か」をしっかり把握した状態での確率は全く違うものであるかのようです。

 条件付き確率を説明した章において全体(全事象)が何かをしっかり把握することの大事さを知った上で、終章で「未完のゲーム」に挑みます。

Aさん、Bさんがコインを繰り返し投げて表が出たらAさんに1点、裏が出たらBさんに1点が入ります。先に3点先取したほうが勝ちというルールにおいて、Aさんが1点、Bさんが1点を取得した段階でゲームを中断しました。このとき3点先取したときに得られる報酬があった場合、どのように分け合えばよいと考えられるでしょうか?

(これと似た問題をギャンブラーだったシュヴァリエ・ド・メレが考えたとされており、パスカルに相談したそうです。さらにパスカルはフェルマーに相談したともいわれ、確率の考え方が必要であるという進展につながっていったという経緯があるそうです。)

このシンプルな問いから、確率の奥深い世界にいざなわれます。日常生きている分には、1点ずつ取得しているのだから、報酬は半分ずつでよいだろうと結論づけることになると思います。しかし、これが例えばAさんが2点取得、Bさんが1点取得している場合はどう考えたらよいでしょうか?報酬を2:1でわけることは公平でしょうか?
あるいはAさんが100点先取、Bさんが80点先取で勝ちというルールだった場合はどうでしょうか?様々なルールや状況に応じて何が公平なのか示すことはとても難しくなっていきます。

ここでは少ない回数(2回先取で勝ち、3回先取で勝ち)から試行して、見出すことのできるパターンから一般的なルールを見つけ出します。漸化式を使った考え方でn回試行したときのAさん、Bさんが勝つ確率を見出していくのです。その中で「あと何回表が出たらAさんが勝つか(逆にあと何回裏が出たらBさんが勝つか)」を関数で表していくことになりますが、漸化式を適用するなかで「あと-1回表が出たらAさんが勝つ」といった現実的には起こりえない計算式も導かれてしまいます。ここでミルカさん、僕、テトラちゃんは「Aさんが勝ってもコインを投げ続けること」を「あと-1回表が出たらAさんが勝つ」ことと同義であることを見事に見出し、式を拡張して漸化式を完成させます。

この物語の面白いところはコインを投げるという現実の試行と数式の導出という論理的な世界における思考をいったりきたりするところにあります。数式は突然導き出せるものではなく、現実世界の試行の結果見出せるものであり、逆に現実世界での限りない回数の試行は論理的な世界における思考や数式によって表現することができるのです。

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2021年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

確率。
この時代、誤解されやすいPCR検査のことも暗に取り上げている。これを読めば、無差別なPCR検査にあまり意味がないこともわかる。無尽蔵の資金と人員があれば別なんだろうが。
条件付き確率にも触れている。

確率は身近でありながら、それだけ誤解しやすい分野なのだと改めて思う。

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2021年02月15日

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