【感想・ネタバレ】ヤクザと過激派が棲む街のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月22日

今や高齢化の段階も過ぎて無人化に差し掛かりつつある寄場。かつてそこで戦争とまで言われるほど激しい労働運動が繰り広げられていたことはなかなか想像しにくくなっている。
かたや騒動の末に寄場の支配権を確立したヤクザ側も、暴対法によって勢力が弱まり、構成員は減少の一途らしい。
本書は山谷争議団の元メンバーや...続きを読むヤクザ側の関係者、ドヤの経営者らに当時の状況を聞き取った貴重な記録。現代ではすっかり存在感が失われてしまった左右の突破者達の、メディアにもあまり取り上げられない往時の争闘の生々しさが伝わるノンフィクションである。
争議団関係者の生き様をみると、今なら「生きづらさ」の一言で片付けられそうな葛藤を抱えて生きていた人達だったと思われるが、いま、彼らの跡を継ぐ人たちは支援する側、される側のどちらにいるのだろうかと気になった。

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Posted by ブクログ 2022年05月15日

左右営利を問わず社会から排斥された私的暴力主義者達が激突した最後の祭場が山谷なのだろう。
船戸=豊浦 的な表現なら山谷ドヤ街は隔離区にして収容所となる。
議会主義の軍門に下った日本共産党に距離を置き、内ゲバに傾斜しゆく新左翼諸党派とつかず離れずでありながらヤクザ右翼との苛烈な闘争に突き進む山谷争議団...続きを読むとアナキズム系の東アジア反日武装戦線の距離の近さに驚くが妙に納得もした。
シマを死守る古い極道と祖国の否定と破壊に行き着いたウルトラ過激派が、バブルの狂乱にむけて走りだした表社会に居場所を失い、妥協を知らぬ原理原則主義者たるがゆえに追い込まれ追詰められた山谷ドヤ街で存続を賭け死闘する。
ゆえあらば暴動を起こすドヤに渦巻く叛逆のエネルギーに革命の幻影を視て酩酊する暴力主義者と暴力を資本にドヤから資金を吸い上げ業界でノシ上がる夢を追う暴力主義者の微妙にすれ違いながら繰り返す悲喜劇は、すべてを清潔に漂白しゆくマジョリティの欲望に圧殺されるまでの刹那に咲いた徒花か。
温和で整った令和の御代にボンヤリと生きてる私ですが、ある日覚醒めたらボロボロで不潔な黒旗が街々に翻り既存の何もかもが覆る、そんな朝を夢想することだってあるのです。

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Posted by ブクログ 2022年03月06日

1980年代末、父親の手伝いでよく山谷周辺を車で通っていて、昼間の歩道で酔いつぶれている労働者を見かけたことはあったが、暴動や騒乱に会うことは無かった。単に昼間だったからなのか、すでにバブルが到来し、ドヤ街が変わりつつあった(金町一家が勝利をおさめた)頃だったのかは定かではない。1980代まで新左翼...続きを読むが活動し、山谷でヤクザ相手に攻防戦を繰り広げていたことは記憶にない。1985年に大学に入って右翼や左翼に関心を持って、「テロルの決算」、「全学連と全共闘」などは読んでいたはずだが、そこまでは関心が無かったということか。ヤクザの道理(面子を潰されたら殺人までも辞さない)が新左翼の道理(労働者を守るために、資本者層に加担し、利益を挙げる暴力集団を排除する)に勝てなかった。新左翼がヤクザの道理を理解していなかったのがこの騒動の総括。

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Posted by ブクログ 2021年06月21日

金町戦争。
その近くで働いていたこともあるのだが、そんな死人が出るような抗争があったなんて、知りもしなかった。

ヤクザと過激派。
外から見てりゃ同じような暴力装置だが、中に入れば思想が違う。
国営暴力団も。

なんつか。

その、二人がなくなったという事件はさらっと。
読み方のせいか、あまり何も残...続きを読むらなかった。

ただ、日本で、ついこの間、こういうことが起きていて、報道もちゃんとされてないことの意味は考えないといけないんじゃないか。

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Posted by ブクログ 2021年06月03日

80年代の山谷で起きた新左翼とヤクザの抗争が、当時の関係者の証言を交えて、詳細に描かれている。映画とか小説とかの世界かと思うような非現実的な出来事満載なため、読んでいてクラクラしてくる。アウトローな世界が好きな方にはおすすめの一冊。

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