【感想・ネタバレ】メイド イン 十四歳のレビュー

あらすじ

主な登場人物は、ナチュラルボーン優等生とステルスくんと、サニーとパンダ、それから兎屋に来るちょっと変わった大人たち。
性格も良くて、なんでもほどほどにできてしまう主人公。秘密だって、釣り堀「兎屋」に毎週来ていることと、『フーアーユー?』という小説が好きすぎることくらいなものだ。そんなある日、透明人間の転校生の案内係を頼まれてから、クラス内で微妙な立場がくずれてしまい……!?
ぐらつく日常を送るぼくらのためにYAの旗手が描く、あざやかな物語!

未来の自分は、いまの自分がしたことで作られていく。だれかをおとしめるという行為は、そういうことができる人間にみずからなっていくという行為でもあるのだ。それをするのかしないのかは、ある意味、一生を左右する重要な選択といっても過言ではないだろう。いずれ出会う新しい友人、意中の人、志を同じくする者たち――人生が進んで行く中で、どうしたって気づくときがくるはずだ。たとえば、ああ、こいつにはかなわない、と思ったときに。ああ、この人が自分なんかを好きになってくれるはずがない、と思ったときに。ああ、この差をどう埋めればいいのだろう、と思ったときに。 本文より


・著者紹介
石川宏千花
『ユリエルとグレン』で、第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。主な作品に『お面屋たまよし1~5』『死神うどんカフェ1号店1~6』(以上、講談社)『墓守りのレオ』(小学館)『拝啓パンクスノットデッドさま』(くもん出版)などがある。『少年Nの長い長い旅』(YA! ENTERTAINMENT)と対をなす物語『少年Nのいない世界』(タイガ)(共に講談社)を同時展開して話題となった。

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Posted by ブクログ

新年度中学生くらいの年齢にお勧めの本を探して。

中学二年生の吉留藍堂(よしどめ らんどう…伽藍堂の「らんどう」だー)は、自他共に認めるナチュラルボーン優等生。スマホには興味ないし、ワイワイ騒ぐ女子は苦手、勉強漬けは全く苦ではないし、<おっとり屋>と言われるほど悪い感情は浮かばないし、誰とでも同じ距離をもって接することができる。
唯一の秘密は毎週金曜日に「兎屋」という釣り堀にかっきり1時間通うこと。そこでの顔見知りのみなさんとちょっとした交流もある。最近の楽しみは、大好きな小説『ユーアーユー?』『サニーの黙示録』の個人的続編(二次創作?)を顔見知りさんから読ませてもらうこと。

そんな藍堂くんだから、先生からアメリカから転入してくる帰国子女のお世話を頼まれることになった。転校生の名前は浅窪沙斗(あさくぼ さと)くん。なにやら厄介な病気を抱えているらしい。
待ち合わせのバス停で浅窪くんをみた藍堂は驚いた。彼は顔も手も包帯で覆われていたのだ。「他の人には、ぼくの姿は見えないんだよ」そう言って浅窪くんは手首の包帯をちょっとずらして中身をみせた。…そこに見えたのは反対側の包帯の裏側、そう、手が見えない!
でもナチュラルボーン優等生の藍堂は気にしない。だってどんな表情をしているかはわからないけれど、浅窪くんはとてもいいやつだって思えるんだ。

しかし学校のみんなはそうはいかなかった。なにこいつ、透明人間?だったら俺の生活覗かれたり、物を盗まれたりするかもしれないじゃん!?
その雰囲気は、いままで「中立国」としてみんなと仲良く接して、いじられることさえなかった藍堂にも飛び火する。そう、みんなは藍堂に対してもあからさまに態度を変えてきたのだ…。

==
<おっり屋>であっても心のざわつきはある。そんな14歳の藍堂くんの日々に、彼の愛読書『サニーの黙示録』の物語が入ってくる。
釣り堀「兎屋」の大人たちや、「ゴマフアザラシのゴマちゃん先生」と呼ばれる学校の先生との関わり方もとても良い。
ということで前半大変面白くて!読んだことのない感じで!

その分後半に浅窪くんとのことがまあありがちな展開になってしまってちょいと残念だったなあ。あくまでも個人的にあまり…、ってことですが。
大人たちとの関わり、<おっとり屋>の藍堂くんが更に精神的に一歩進むことはとても良かったです。

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2023年02月11日

Posted by ブクログ

宝物のような物語。

美談でも、教育的な逃げもない。架空の物語だけど、ここまでリアルな心情にに寄り添ったヤング・アダルト小説があるだろうか。

クラスの中立国でナチュラル・ボーン優等生の吉留藍堂は、自然体で誰ともそれなりにうまくやれていた。可視化不全症候群の“見えない”転入生がやってきた時、クラスの調和が乱れ始める。

自分は変わっていないのに、周りが変わってしまう恐さ。いや、変わっていないのかもしれないけれど、様々な要因が作用し合ってあの恐ろしい事態を引き起こしてしまった。

自分は後悔ばかりしている、とクラスで話した藍堂。クラスの一員として発言した彼の一言は多くのクラスメイトに届いたはず。

「おっとり屋」の彼は人からの悪意にも好意にも鈍感で、きっと昔仲の良かった優等生の子は逆に人の機微に敏感な子だったんだろうな。

果たして沙斗は本当に可視化不全症候群だったのかは分からない。自分さえやるべきことをやっていればいい、というのは通用しなくなってきた非常事態の時、自分ならどう行動するだろうか。

他の登場人物たちもそれぞれスピンオフが作れるんじゃないかというくらい深掘り出来そうなキャラクターばかりだった。
担任の先生も、気持ち分かるんだよなぁ…。

偏見がなく、一貫した態度を取り続けた藍堂は、ヒーローのようだった。

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2022年04月07日

Posted by ブクログ

パンダ出てくる時点で思わず呪術回戦想像してしまいました。裏表紙の二人は重要な複線になる小説の登場人物。主人公のまっすぐな性格が好感持てて、感情移入しながらどうなるんだろう?とワクワクしながら楽しく読めました。
本当は浅窪君にも物語があるはずなんだけど、今回その話はなし。
長さも装丁も小学校高学年以上にとても良いです。

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2021年03月03日

Posted by ブクログ

ナチュラルボーン優等生(優等生であることに何の抵抗も感じないってこと)の僕が過ごす透明人間(先天性可視化不全症候群)な転校生との日々。

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

特殊な病を持つ転校生のお世話係を頼まれた主人公。独特な感性(なんなら妄想癖といっても良い)の14才の気持ちが絶妙。表紙のイラストはちょっと違和感あったけど、読後に見ると印象がまるで違ってぴったりはまった。いい本を読めて気持ちが良い!

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2020年12月08日

Posted by ブクログ

見えているものが真実なのか、そこに疑問を持つことから、世界の見え方は変わってくる。主人公の素直な視点が、クラスの混乱に歯止めをかける。プラス方向の展開に、最後まで心地よく読めました。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

インパクトのある表紙が気になって読んでみたけど、中身もよかった。
ナチュラルボーン優等生の藍堂くん、すごく好感のもてる性格だな。周りを俯瞰的に見てて大人びてる。兎屋で相談したときは、あぁやっぱり中学生なんだなあと思ったりもしたけれど。
彼にとっての浅窪くんは、透明人間でもステルスくんでもなくて、ただの浅窪くん。そう心から思うのも意外と難しいと思う。人は無意識に比べて区別してしまうものだから。
友達になりたいと伝えたい浅窪くん、アメリカまで会いに行った藍堂くん。二人とも素敵だった。

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2022年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

蘭堂は、ナチュラルボーン優等生。ある日、体が透明な病気だという転校生のお世話係をすることになる。蘭堂の、きちんと真っ直ぐな生き方や、異質なものを排除しようとする、それも1人ではやらない弱い者達、「先生」と呼ばれる生き方をできる者。蘭堂と、包帯の外れた浅窪君との笑顔の姿を目に浮かべてしまった。面白かった。

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2021年03月22日

Posted by ブクログ

兎屋の人物が悩みを聞いてくれたり主人公が自分なりの考えで行動したりする所と人物一人一人が生き方や信念のようなものを持って貫き通した所に好感が持つことが出来てよかった。

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2021年02月21日

Posted by ブクログ

 いじめ、仲間外れを生む集団心理とそれにどう立ち向かうか。子供だけでなく大人にも当てはまる深い内容。
 主役の男子中学生が「ナチュラルボーン優等生」と宣言してるだけあって、品行方正すぎるが、彼のやさしさ、考え方は今の分断と相互不信の日本いや世界において必要だと思う。
 あと、いじめをなくすには、大人が子供目線でしっかり向き合うことも大切だと改めて感じた。

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2021年01月14日

Posted by ブクログ

進学高校の附属中学に通う藍堂は、自他共に認める秀才。生活面でも一目おかれていて、本人もそういうスタンスが良いと思っている。そんな藍堂のクラスに帰国子女の転校生がやって来る。先生からお世話係を頼まれた藍堂は、その転校生・浅窪が難病であることを教えられる。先天性可視化不全症候群という病気で、いわゆる透明人間なのだという。そのため、全身を包帯で巻いている。
あまりにインパクトのある転校生の登場で、藍堂の周囲に変化が起きる。

イジメをあつかった小説は多いけれど透明人間という設定はどうなんだ、と思いながら読み始めたが、なかなか良かった。藍堂の周辺の中学生たちもよく描き分けられているし、関わる大人たちも色々もがいている事がさらりと書かれている。透明人間という難病についても難はなくもないが、それなりに説明がありSFではない。
他にも、突っ込みどころは無くはないが、前向きなラストもいいなと感じた。

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2021年01月07日

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