【感想・ネタバレ】わかめとなみとむげんのものがたりのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「なみ」という無愛想な男と、「わかめ」という可哀想な女の子が輪廻転生を繰り返して永遠に殺し合い、愛し合うお話。

絵柄の違い、インクの違い、紙質の違い、コマとコマの間、ページをめくるという行為…漫画本だからこそできる様々な表現を駆使して、平行宇宙の物語を紡いでいく。紙で漫画を読む楽しみと装丁の意義がこれでもかと詰め込まれている。
コマの中に描かれた世界だけではなく、紙面全体が、本の装丁が、そしてこの本を読んでいる私という存在が、全て組み合わさって1つの作品を形作る。

繰り返し繰り返し打ち寄せる波。海底に根を張り、波に揺られるだけの海藻。
「なみ」という青年。「わかめ」という少女。
無限に繰り返す循環の中で問いかけられた、「自分」の存在について。

それを描いた「漫画」という概念さえ物語の構成要素になっていた。
香港で生きる人々を描き続ける作家が、民主化運動で激動する2019年の香港でこの作品を作った。
読者の下方と上方に何層にも渡るメタ構造が出現する。

とんでもない作品を読んでしまった。しばらく興奮で打ち震えていた。

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2023年08月30日

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