あらすじ
なぜ、これほどまでに、<いま>と似ているのか。
貧困は拡大し、人命は軽視される…。すべての源は五輪イヤーにあった!
東京五輪が開催され、高度成長の象徴としてノスタルジックに語られる1964年。しかし、その実態はどうだったのか。膨大な記録映像と史資料を読み解き、見えてきたのは、首都の「闇」。すなわち、いまも残る、この国の欠陥だった――。
労働者搾取、格差社会、性差別、猟奇犯罪、東京一極集中、一党支配、対米依存、汚職・隠蔽、そして疫病の蔓延――。
日本中を震撼させたNHKスペシャル「東京ブラックホールⅡ 破壊と創造の1964年」が、待望の書籍化!
1964年、膨張を続ける首都・東京。その実相がこの本であらわになる。
■都民1000万の糞尿は東京湾沖合に流される
■赤痢、チフス、コレラが流行する疫病都市だった
■生活苦にあえぐ労働者は、みずからの血を売った
■五輪マネーをめぐって汚職が激増。都庁は「腐敗の巣窟」だった
■ヤクザの襲名披露で、自民党副総裁が祝辞を述べた
■少年犯罪は戦後のピークに。中流家庭の子弟が凶悪事件を起こす
■米軍機墜落事故が続発。ベトナム戦争は東京ではじまった
■六本木・赤坂ではスパイが暗躍し、カネと情報が交換された
■五輪閉幕後、戦後最悪の不況が訪れた
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いだてんを熱心に見ていて、64年東京オリンピック開催に向けてあの人この人奮闘していたという話にこんな裏話がわんさかあったとは。突貫工事も目につくところだけ、街自体は貧困、公害は放置、ひどい住宅事情というのがよくわかった。これが経済成長ではなく社会保障に比重を置いていたらまた戦後の日本も変わっていたのかもしれない。
にしてもアメリカと日本がこんなにきな臭くズブズブだったとは。ただただ残念な気持ちだが、歴史から目を背けないという上で非常に面白い読み物であった。
Posted by ブクログ
いろんなジャンルの歴史を別々に追うと、同時代性が分からなくなるのだけど、1964で切り取られた切り口で見れて、いろいろ分かってなかったなと理解が深まった気がする。特に自分が生まれる前の時代は、実感がないので、こうした本で知れることが多いと思った。
Posted by ブクログ
戦後急速な復興を果たし、高度成長時代の活気あふれた時代と語られることの多い1964年の東京オリンピック前後。しかしその内実は、少年犯罪の激増、ヤクザと一体となった政治腐敗、人命軽視な経済振興、公害天国、環境破壊、近代都市とは思えない糞尿にまみれた河川や海など、国民の暮らしを犠牲にした酷い時代であったとのこと。岸信介のアメリカからの賄賂とアメリカ追従。大野伴睦の右翼とのコネクション。実質的な核保有能力維持のための原子力発電推進。
Posted by ブクログ
1964年は、高度成長の中、前向きな明るい側面だけが伝えられるが、その裏では、このような現実があったことを初めて認識。光の裏には必ず影がある。両面を見ないと世の中の現実はわからない。