あらすじ
激動の幕末維新を背景に大実業家・渋沢栄一(一八四〇‐一九三一)が疾風怒濤の青春を語る自伝。尊攘倒幕の志士→徳川家家臣→明治政府官僚→在野実業家と転身を重ねる著者の生き方は鋭い現実主義に貫かれた魅力をもち、維新変革をなしとげたエネルギーが生きいきと伝わってくる。実業家時代を概観した「維新以後における経済界の発達」併収。
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渋沢栄一の自伝的記録である雨夜譚。以前、城山三郎の雄気堂々を読んでいたこともあり内容がよく入ってきた。埼玉の深谷の農民が尊王攘夷を志すも敵方のはずの一橋家家臣に、、そのまま慶喜が将軍になり幕臣に、、そこからパリに行くも維新は終わっていて、、現在渋沢栄一について語られるところは彼の起業家としての部分ではあるが、その前半戦の幕末青春期の方がむしろ非常に面白かった。
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「雨夜譚」と「維新以後における経済界の発達」の2編。
特に前者は講演を筆記したもので、意外と読みやすい。
農民から身を起こし、志士、一橋家家臣、幕臣、静岡藩、大蔵省と転身し、銀行家となった経歴はすさまじい。
一橋家家臣時代に、藩札の発行を通じて通貨の本質が信用であることを見抜いていたこと(111頁)、また、種々の業界での株式会社設立に関わっているのも驚き。
上司に当たる大隈重信との関係も面白く感じた。
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渋沢栄一が話したことを聞きとったものである。話しとして面白いので、このまま大河ドラマのストーリーになっている。すべての足跡を説明しているのではなく、自分の青年期で、徳川から明治の移り変わりのなかでどのように行動したかを描いたものである。
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渋沢栄一の自伝。学生時代城山三郎のゆうき堂々を読んだ時のことを思い出しながら読んだ。渋沢は確かに経歴だけ見ると天候を繰り返しているようにも見えるが、この回顧談ではその時その時で彼が誠実に考え悩み決断していったことがうかがい知ることができる。
ちょくちょく面白いエピソードがあり、高崎藩襲撃計画とか、三島(みちつね)とけんかになりそうになった話とか、新政府における人間模様とか。ただいろいろ気を使っているのか、そんなに悪口や裏話がぽろぽろ出てくるわけではない。そんなところも彼の誠実さであり、結局は成功の背景なのかもしれないが。
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1. 概要
渋沢栄一が講演会で述べた生い立ちをまとめた本。本人談の貴重な内容となっている。
2. 感想
論語と算盤を読み、渋沢栄一についてもっとしりたくなったために手に取った本。
勉強不足から渋沢栄一という人物について知識がなくとても興味をひかれたのだ。
この本では、渋沢栄一が子供の時からどのような生き方をしてきて、幕末から明治までの激動の時代にどのような人生を送ったかを知ることができる。
1人の人間としてとても尊敬できる方だ。今まで知らなかったことが恥ずかしい。
さて、渋沢栄一という人物は、近代日本を語るうえで避けては通れない人物だろう。あらゆる大企業の発足に関係している。
読みながら感じた渋沢栄一という人物については、質実剛健で実直である反面、納得のできる意見には柔軟に耳を聞き入れるバランス感覚のとても優れた人であるということだ。また、歴史の行く末に対して先見の明を兼ね備えており、それに対する実行力もずば抜けている。マネジメントする上では、しがらみなどは無視して適材適所を貫く、自分より優れいている者を登用する見識の広さ。
内には「剛」と「柔」が共存し、時代や人を見抜く「目」があった人物ということがひしひしと伝わってきた。
幕末から明治に生きた人物としてもう少し注目されてもいい人物だ。
3. 総合評価
近代日本の発展、その中で活躍した人物の熱い思想や行動力、その時の感情などを知りたい人にはぜひおすすめしたい一冊だ。
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渋沢栄一の自伝的著作。渋沢栄一が自身の歴史を語り、弟子がそれを書いてまとめたものである。
明治時代の自伝としては福沢諭吉の福翁自伝が有名だが、それに劣らない面白さがある。
福沢諭吉が「封建制度下では、上の者は傲慢に、下の者は卑屈になる」とを批判していたが、渋沢栄一も同様の批判をしている。
渋沢栄一の自伝が面白いのはそんな封建主義的な時代に、近代的な理性を持った人間が、その中で葛藤して道を切り開いていくからだろう。
私は大河ドラマを見ていないが見たくなった。(その前に論語と算盤かな。。)
雨夜譚が扱っているのは渋沢栄一の出生から大蔵省退官まで。
併録されている「維新以後における経済界の発達」という維新後の渋沢栄一の仕事が語られているのも興味深い。