【感想・ネタバレ】BECK 超合本版(6)のレビュー

あらすじ

【『BECK』26~30巻を収録した超合本!※内容はコミックス発売当時と同様です。】

レオン・サイクスが血眼で探す、“エディ・リーの未発表曲”。それは世界で唯一、コユキの頭の中にだけ刻まれている。この“特別な曲”が、蘭の力で閉ざされた世界最大の音楽の祭典「アヴァロン・フェス」出演への突破口となる!? 一方、遠距離ですれ違い続けるコユキと真帆の関係にもまた、新たな展開が…。

累計1500万部超の “音が聴こえる”「最強」音楽コミック、まとめ読みに最適な「超合本」で登場!!

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ラストへのばら撒き。

この五冊を読み終えて、改めて思ったのは、この作品は「音楽漫画」というジャンルに収まるものではない、ということだ。
確かに作中には、ギター、ライブ、バンド、成功と挫折といった音楽的モチーフが溢れている。だが読み進めるほどに、「ロックとは何か」「誰がロックなのか」という問いは、むしろ分からなくなっていく

登場人物たちはそれぞれロックであり、同時に誰もが決定的なロック像にはなりきらない。才能、覚悟、犠牲、継続、そのどれか一つで定義できるほど単純ではないからだ。もし“ロック”を分かりやすく括るなら、ブレずに立ち続けるマットが最も近いのかもしれない。しかしそれも、あくまで仮置きにすぎない。

物語の中心にいたはずの竜介は、終盤で「勝つこと」や「自分がステージに立つ未来」を明確に語らない。彼が選んだのは、音楽で何かを成し遂げることではなく、自分が中心にいなくなった後でも“場”が成立するかを賭ける行為だったように思える。その選択はロック的でありながら、同時にロックという言葉だけでは説明しきれない。

ギターの持ち替えや象徴的なイメージも、よくある音楽作品のように一直線で回収されることはない。楽器が運命を決めるわけでも、覚醒の証になるわけでもない。約束されたはずの出来事が、感動的に果たされる保証もない。そこには「物語としてのカタルシス」をあえて拒む姿勢がある。

だからこそ、この作品は音楽の成功譚ではなく、人生そのものを描いた劇場として立ち上がる。答えは提示されず、問いだけが残る。ロックとは何か。誰がそれを引き受けるのか。生き残った者は何を背負うのか。

読み終えた今、はっきり言えるのは、この物語は「理解した」と言った瞬間に取りこぼしてしまう作品だということだ。定義できないまま、保留したまま、考え続けさせる。その不完全さこそが、この作品の強度であり、ロックなのだと思う。

#タメになる

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2026年01月06日

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