【感想・ネタバレ】カール・シュミット ナチスと例外状況の政治学のレビュー

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Posted by ブクログ

ナチス登場まで、使える、切れ味の鋭い政治哲学的道具、概念が次々と紹介され、シュミットに惚れてしまう。しかし、ナチス登場後はかなりゲンナリする。あれ?あの鋭さはどこに、という感じだ。独創的な思想家であることは間違いない。浅い批判は容易だが、根本的な批判は難しい。新書という限られた紙数で全貌を描いてくれた著者に感謝する。

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2020年07月26日

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少し難しいが、興味深かった点がいくつか。まずカール・シュミットは当初ナチスを否定的に捉えていたこと。それからナチスを支持し始めてからも、その距離感は時に遠かったりしたこと。これを読む前はカール・シュミット=ナチスの代表的支持者というイメージがあったので、時系列で彼の思想を振り返ることができたのは面白かった。

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2021年05月12日

Posted by ブクログ

カール・シュミットという評価の難しい思想家を上手くまとめている。新書の分量なので詳細な内容の紹介までいかないが、その分ポイントを掴み、紆余曲折のあったシュミットの思想が一望できる。
これまで前期の切れ味鋭い理論しか知らなかったが、ワイマール共和国の政治状況やナチス政権樹立がシュミットの思想に大きく関連していたとは予想外だった。
また、ナチスに迎合していた以上にシュミットの考えがナチスに近かったというのも新たな知見。
この本の紹介でナチス以後のシュミットの著作を読んでみる気が出てきた。

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2021年04月13日

Posted by ブクログ

現在最も注目を集める思想家の一人、カール・シュミットに関する入門書。細かな伝記的事実の叙述は最小限に抑えながら、『政治的なものの概念』や『現代議会主義の精神史的地位』、『政治的ロマン主義』、『大地のノモス』といった代表的な著作の主軸を再構成している。巻末の文献目録も含めて、思想家の入門書に期待される要素を全て含んでいる良書。また「あとがき」にあるように、「私がいかにシュミットを読んできたかの報告」という基準から見れば、本書におけるシュミット解釈・評価を貫く一つの軸は、シュミットが『政治的ロマン主義』で批判した機会原因論者に自らがなっているという、レーヴィットから受け継がれたシュミット思想の問題の指摘であろう。この点は、本書でも言及されるように、なぜ現代、シュミットにインスピレーションを受けた様々なタイプの思想が登場してきているのかという点について示唆を与えてくれるとともに、シュミットの思想全体を体系立てて説明することの困難さも示している。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

『差別はいけないとみんな言うけれど』を読んでカール・シュミットの名前が気になっていた。
以下、気になる部分を抜き出す。

・政治の本質は、敵と味方の区別にある。
・主権者とは、例外的な状況において決断を下す者である。
・決断の内容、是非ではなく、決断をすること自体が重要視される。
・自由主義は非政治的だが、民主主義とは政治的なものである。
・ロマン主義は可能性の世界であり、現実的な決断はできない。
・芸術や経済などの中立的な領域に逃げて政治的な領域を避けようとする。

コロナの影響下で読むと、「例外的な状況」「決断」というワードが妙に現実味、リアルタイムな感じを持ってくる。
ナチのイデオローグとなり、後期の思想は読んでてもイマイチよくわからなかった。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

ナチス・ドイツや全体主義についての関心から、読んでみた。

といっても、シュミットは、大昔、大学で「政治学」の講義を受講したときに何冊か、課題図書として、読んだことがある。たしか、あれは学部生を対象とした「政治学」か「政治哲学の「入門」レベルの講座のはずだったのだが、やったのはホッブスとシュミットくらいだったかな?

今考えても、なんともマイナーな分野だったな〜。担当教官の専門領域の話を1年間聞いた感じ。たしか、先生はシュミットの主要著作を翻訳していた田中浩さんのはずだったけど、インターネットで調べるとわたしの在学中はいなかったよう。外部講師みたいな感じでの講義だったのか?

そんな記憶の彼方を探りつつ、このシュミットの入門書を読んでみると、あれ?私の政治的な思考の一部は、ホッブスとシュミットの問題意識からやってきていることがわかって、驚いた。やっぱ、その分野で学んだ最初のものって、なんだかの形で残っているんだなと思った。

さて、シュミットは、ナチの御用学者という悪名が高いわけだが、にもかかわらず、20世紀の偉大な政治哲学者として、認知されている。また、アガベンなどのポストモダーンな哲学でも、その思想を踏まえた議論がなされている。その辺のところの謎が知りたいわけなのだが、残念ながら、よく分からなかったかな?

この本では、シュミットの主要著作を当時の政治状況やシュミットの立場などの文脈を踏まえつつ、簡潔に紹介している。著者によると、論敵の問題点への切り込み、批判は鋭いが、代案という観点からは、今ひとつ、論理が明確でなかったり、自説を述べるときに自分が批判したものが紛れ込んでいたりするということ。

ポストモダーン的には、そうした論理一貫性を著者に求めても仕方がないのかもだが、シュミットはそういうタイプの思想家でもなさそうに。。。。モヤモヤする。

また、ナチスドイツとの関係も、たしかに一時は御用学者、ナチスの全体主義を理論化したのだが、徐々に、政治的なスタンスはナチスと離れていたとのことで、まあ戦犯というこにはならなかったが(そもそも学者であって、政治家ではなかったし)、その思想のコアな部分、つまり、ユニバーサルな原理原則より土地に根差した個別具体的な現実を重視する姿勢、そしてユニバーサルな思想はユダヤ人に関連されているという点において、ナチ思想の重要部分と同期しているわけで、この辺のところはあまり戦前戦後で変化していない。やっぱ、ナチズムにとても親和性の高い思想家であったと評価せざるを得ないと思う。(この問題は、シュミット同様、早々にナチに入党したハイデガーにも共通するもののように思う)

もう少し、シュミットが現代において、どうして重要なのか、そこのところをもう少し丁寧に説明してほしかったかな?

それにしても、この本は、2020年に出版されて、この類の本としては、結構、評判になった本だと思っていたが、どうしてだろう?

そこまでわかりやすい本でもないし。。。。

やっぱ、コロナがシュミットがいう「例外状況」だったという認識だったのかな〜。

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2021年06月28日

Posted by ブクログ

「政治的なものの概念」、「独裁」、「パルチザンの理論」等、シュミットの著作を何冊か読んできて、友-敵理論や例外状況における決断など、非日常を捉える分析に冴えているなあというイメージを持っていたが、なかなか全体像が掴みづらかった。

本書は、ワイマール期からナチス時代、戦後の逼塞した時代を通時的に辿り、シュミット思想の一貫しているところ、変化したところを、代表的な著作、論文に即して論じており、シュミット入門として適当な一冊と思われる。

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2020年06月29日

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