あらすじ
日本人は歯の取り扱い方法を間違えてきたらしい。歯磨きをしているのに、きちんと磨けていない人は多い。虫歯で神経を抜く治療を受けると、4~6割が失敗して再発しているのが現実だ。成人の8割が歯周病にかかっていて、歯を失ってしまう。定期検診、虫歯や歯周病の治療、矯正、入れ歯、インプラントなど、記者として取材し、自らの体験をまじえてお伝えする歯医者さん選び新常識。
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Posted by ブクログ
著者は歯科医ではなく、新聞記者。取材をきっかけに自身の歯科医との関わりを通じて発表したのが本書。
歯科業界におもねることなく、体験談を軸に語っているので信頼でき、とても分かりやすい良書です。
まず、本書は2020年に上梓されたので、あとがきにはこんな描写が。
2019年にトランプ大統領が来日した時、安倍総理とゴルフ場でのツーショット写真がアップされました。これを見た、知り合いの歯科技工士から連絡。「あの写真恥ずかしくないですかねぇ。トランプの歯は真っ白でピカピカ、安倍さんは着色して凹凸。日本の歯科レベルは、あんなものだって笑われますよ」
既に1970年から予防歯科に力を入れていた健康な歯大国、スウェーデンに対して、日本では未だにむし歯を削り、歯を抜きまくっていました。その背景には、口に手を加えるほど収入になるという保険制度の歪な仕組みがあるのに放置。
本書であらためて、良い歯医者とは「(極力)抜かない、削らない」が確認できました。
以下は私の備忘録。
・歯磨きは、歯ブラシとフロス、歯間ブラシを使えば1回10分はかかる(かけるべき)
・特にフッ素入り歯磨き剤を使った場合、すすぎは1回のみに留め、1〜2時間は飲食しないのが望ましい
・歯のかぶせ物の平均寿命は、金属ブリッジが7年、コンポジットレジンと金属クラウンが9年、金属インレーが10年
ちなみに、私の金属ブリッジは25年以上もっている!
・削った歯は元に戻らないので、再治療を重ねると歯の喪失へとつながる
・その傾向に歯止めをかけたのが2002年国際歯科連盟で採択されたMI(Minimal Intervention=最小侵襲)治療、日本でコンポジットレジンが使われ始めたのもこの頃
・根管治療には口内感染を防ぐためラバーダム使用が好ましいが、2010年代の調査では必ず使うと答えた歯医者は5%のみ
・さらに、根管治療には顕微鏡との合わせ技が望ましいが、設備投資や診療時間が長引く歯医者にとって診療報酬という負のインセンティブが働いている
・重度の歯周病とは、6mm以上の歯周ポケットがあることだが、治療には麻酔が必要(麻酔無しでは、奥の歯石は取り切れない)
・また、歯周ポケットを測定するプロービングは歯科衛生士の技量が問われる
・基本、予防には保険は使えないが、お口のお掃除を治療行為として扱っているのが現状
・スウェーデンでは、21歳以下の歯科治療は無料、歯のメンテナンスのために定期受診を義務付ける。「子供の歯は国の責任で守る。成人になったら自己責任」を徹底
・入れ歯治療の勉強のために自身の健康な歯を15本抜いた「むらおか歯科矯正歯科クリニック」は千葉県市川市
・歯科医師免許には更新制度がない
前歯が欠けて那覇市のある歯医者にかかったが、コンポジットレジンの仕上げに光の照射というプロセスがあるのを歯医者が知らなかったのには驚いた(2019年の12歳児むし歯本数調査では、沖縄が1.4本でワースト、ベストは新潟の0.3本)
・歯のブリッジが破損すれば新たに付け替えが提案されるが、中にはコンポジットレジンを使ったブリッジの手直しで対応してくれる良心的な歯科医師もいる(日本の医療制度の問題でもある)
・前歯まるまる1本の欠損でも、コンポジットレジンでブリッジを作る治療法がある
あらためて、日本がスウェーデンの様に予防医療に力を入れないのは、利権や天下り先確保が優先だからなのだろう。
国民が健康で長生きすれば、困るのは医療機関であり製薬会社だから。いくら保健医療費が嵩張ろうが彼らにとってはどこ吹く風なのでしょう、しらんけど。