【感想・ネタバレ】静波の家 ある連続殺人事件の記録のレビュー

あらすじ

なぜ人が人を殺すのか? 殺人を犯した一青年の育ちを追う人間記録。――中学の卒業式に、「ぼくのことを忘れないでほしい」と書き綴った少年が、6年後5人の男女を殺してしまう。家庭と教育の場で、その間、何が起きていたのか? 反抗と孤独、愛情と憎悪にゆれる少年の中で、いつ、何が間違ってしまったのか? 父よ、母よ、知ってほしい。いま、真剣に親と子の生き方が問われている!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 「静波は教育の失敗例です」。5人を殺戮した殺人鬼の母親のインタビューだ。

 随分前に読んだ本だが、この冷静な評論口調と死刑判決にVサインをする異様さに打ちのめされたものである。

 事件発生当日(昭和57年5月27日)、隣の大船でラジオから一報を聞いた。興奮したアナウンサーの声がずっと心に残っていた。

 藤沢市には、その前月に日大に入学した高校時代の友人を訪ねていた。おまけに口封じに共犯者を殺した尼崎市は、その後住んだ隣町だ。

 犯人は、とても美しい名前の藤間静波。

 母娘殺人事件の端緒は気のない男に住所や電話番号まで教えてしまった女心。

 のぼせ上がる純情な男。私にも似た経験が何度もあるくらいだから、モテる気持ちを味わいたいありふれた女心なのだろう。

 ところが母親に教育の失敗例と総括されることになる静波は、スルーすることができなかった。

 その一部始終は本書を読んでいただきたい。

 犯人の家族関係や裁判に全体の2/3が占めているように、事件と同じくらい興味をそそられる内容になっている。

 藤間静波は2007年(平成19年)12月7日、東京拘置所で死刑執行された。享年47歳。

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2019年06月09日

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