あらすじ
ネットやテレビを通して流される膨大な量のニュースや情報…。あふれる情報の中からフェイク(偽)ニュースや誤った情報に惑わされずに「事実」を読み取るにはどうすればよいのか。長年にわたってNHKの報道番組ディレクターとして報道にたずさわってきた著者が、報道のあり方やネット情報のしくみなどを論じながら情報の正しい読み取り方を伝える。
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Posted by ブクログ
本当に信じられるメディアとは。
著者は長くNHKの報道番組にディレクターとしてかかわってきた人で、阪神大震災や東日本大震災などの災害に対する報道や、日航機の墜落事故、昭和から平成への代替わりなど、大きな日本の節目に、どのようにテレビで伝えるのかを考えてきた人である。
インターネットが発達し、SNS等で個人的な情報発信が容易になった時代に、マスメディアはどのように生き残るのかについて述べた本と言ってもいい。フェイクニュースの影響や、テレビなどのマスメディアを信用しない人の心情について、その国による差や対策なども述べられている。決してテレビの将来に悲嘆的ではなく、あくまで現在の状況から冷静に分析をおこなっている印象。繰り返し述べられているが、「事実に基づく情報」を発信するために、確認をするテレビの姿勢がこの本でも表れていると感じた。
テレビであろうと、インターネットであろうと、そのメディアの特徴を知り、「事実に基づく情報」であるかどうかを常に探ることが、これからの時代には求められている。あまりに巧妙なフェイクニュースも増えるだろうし、利益や感情を優先した情報発信も増えるだろう。でも、たとえ焼け石に水としか思えなくても、googleやfacebookなどのプラットフォームである大企業や、各国の報道機関などが、事実確認をおこない、警鐘を鳴らしていき、受け取る人が常に批判的な姿勢をもって情報にアクセスすれば、悪い方向にはいかないと思いたい。