【感想・ネタバレ】宮沢賢治の真実―修羅を生きた詩人―(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

以前から気になっていた本だったので、文庫版になったのがありがたくてありがたくて即座に購入。
読むのに随分時間は掛かってしまったが。
何しろ内容量が多いし濃い。
現地にまで赴き、非常に細やかに宮沢賢治の詩や物語を読み解いているので、ドキュメンタリーを見ている気になった。
(事実、著者はテレビ業界人、ドキュメンタリー風なのもそのためか)
本当に圧倒的情報量と説得力。

恋の詩や短歌を残しているのに恋人の影が見えてこなかった点。
妹とし子への想い。
ある一つの不可解な詩の謎解きから、宮沢賢治の心の奥底へ潜り込む旅が始まる。
病弱だが頭がよく、賢治のよき理解者だったとし子のイメージが、この本を読んでがらりと変わった。
寧ろとし子のよき理解者が賢治だったのだろう。
彼女がずっと心にため込んでいたこと。
それが原因で病にまでなってしまったこととは。
そして、その彼女が抱えていたことは、賢治がずっと抱えてきたことでもあった。
さらっと詩を読むだけでは見えてこなかった二人の心情が、この本ではこんなに鮮やかに解き明かされている。

他にも『永訣の朝』や『銀河鉄道の夜』などに隠されていた想いも解き明かしている。
本当に圧巻の一言。
これまでの定説を覆す目から鱗の理論は一読の価値あり。

この本に書かれたことを踏まえて今一度イーハトーヴォを歩けば見える景色は変わる筈。
より近くに賢治の息遣いを感じられるようになるだろう。
賢治愛好家は是非読んでほしい。
ある意味ショッキングな内容ではあるが、それ以上に得るものが多い筈だ。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

「生命の伝道者としての賢治」、「農業に希望を託す賢治」…など著者はこれまで「四人の賢治像」をもっていたが、五人目の賢治と出会うことになる。

これまで看過してきた賢治の文語詩。そこには「凶」「猥」「呪」などの禍々しい気配を発する文字が並ぶ。
探偵のように、秘められた賢治の姿を探る。

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2020年04月10日

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