【感想・ネタバレ】スイス時計の謎のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

何度目かの再読。
うっすら記憶のある中読んだ。概ね忘れてたけど。
4作の短編・中編集。
あとがきで作者の言う通り本格ミステリ揃い踏み。
どの話も面白かった。
ダイイングメッセージの「あるYの悲劇」、死体の首が消える「女彫刻家の首」、倒叙ものの「シャイロックの密室」、そしてゴリゴリのロジックで攻めてくる表題作。
特に好きなのは次の2作。
「あるYの悲劇」は途中でダイイングメッセージの意味は分かるんだけど、被害者の口走った言葉がわからず、終盤にアリスと一緒にびっくりすること請け合い。そしてそこかしこに伏線のような、話の要素が散りばめられてて面白い。

そして表題作。
1つずつ疑う要素を消して言って、最後に残ったのが犯人、的な。考えたら辿り着けるかもと思ったけど、3回くらい犯人当て部分読み返してやっと理解した。

ミステリーの中でも超合理的な犯人でないと追い詰められないロジック。
だからこその舞台設定、そしてそこに付け加えられたアリスの過去話。不条理な出来事から逃避するために、合理的なロジックの世界で繭を作ったアリス少年。20年近く経ってもまだ傷が癒えないアリス。この話は、表は超合理的にロジックで犯人を攻め立てる火村の話で、裏は容疑者達と再会して不条理な出来事を未だ消化してないアリスの話のように感じた。
最後、ちょっと救われて良かった。
そして美少女騒動はきっと後ほど火村に問い詰められたのだと思う(笑)

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2022年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結構前に出ているのに本なのにどうして読んでいなかったのか、と思いつつ開いて、納得。
あるYの悲劇、女彫刻家の首の二作品を他のアンソロジーで買い求めていたために手元に置いていなかったんだ。
でも、作家アリスファンとしては、本格ミステリとして以外のところでもスイス時計の謎は必読だった。

アリスの創作の原点についてはシリーズの中で何度か言及されているけれど、初出のダリの繭に続いてこの作品はとても重要な触れられ方をしてると思う。
アリス良かったね。泣きそうだよ。

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2019年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集……というか、短編+中編くらいの感じかな?
4作収録

以下抜粋して雑感

『あるYの悲劇』
とてもシンプルな「Y」というダイイングメッセージに解をつけて、それをちゃんと納得できるものにするのすごいなー
一方言葉の方のダイイングメッセージ「やまもと」、これについては検索してもそれらしいものが出てこないのだけど、本当に存在するのかしら?
「山崎 やまもと 読み方」あたりで調べてもいっこうに見つからないぞ!(笑

『スイス時計の謎』
作中やあとがきでも書かれているように、たったこれだけの条件で犯人当てが成立するなんて!という感動すら覚える
推理を知ったうえで思い返してみると「そりゃそうなるよな」ってなもんなのだけど、読んでいる途中ではもうそんな考えなんて微塵も浮かばないんだから参っちゃいますよホント
すごい、きれい、うつくしい、大好きです
読後感を、アリスが過去に思いを寄せていた女性とその後の行方、でまとめてくれているので、なんとも言えないしんみりした気持ちになれるのも良い

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2024年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第7弾
「あるYの悲劇」こんなことあるのか、と思うほど偶然の怖さを痛感する。犯人には同情の仕様がない。Yの血文字に被害者の執念を感じる。 「女彫刻家の首」描写が恐ろしいけど、首のない事情と動機が救えない。死んで償うは出来ないけど、天罰が下るにしても死は逃げ。 「シャイロックの密室」動機に同情はできるけど、トリックとかその後がひどい。火村先生も楽ちんだったのでは。 「スイス時計の謎」短編なのにそうは思えない濃密さ。追い詰め方が論理的過ぎて、周りが悔しそうでいたたまれなかった。読み応え満載。

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2022年10月09日

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ネタバレ

「あるYの悲劇」
インディーズバンドのメンバーが殺されて、壁に残ったYの字は誰を指しているのか、というダイイングメッセージを中心にした話。名前の読みの意外性と、きっかけの意外性が結構面白かったなー。ロックとエラリー・クイーンという作者の好きを詰め込んだ一作だなと笑

「女彫刻家の首」
ある女性彫刻家の首なし死体が見つかって、首がないことに犯人のどんな意図があったのか、と言うのを推理する話。これは割と途中で、ああ、そういうことか!とトリックを見抜けたのですが、火村せんせの気づきのきっかけはさすがだななどと感心するのでした。

「シャイロックの密室」
ある金貸しが、貸した金を苦に自殺してしまった人の家族に復讐されて死ぬところから始まる密室ネタ。お手製の木の閂で閉まる扉に閂がかけられて完全なる密室の中での自殺を装わせたにもかかわらず、犯人が残したわずかな痕跡から推理するというもの。簡単な道具で密室を作り上げるその発想がいいですよね。いやまあ、拳銃は簡単には手に入りませんけど…。

「スイス時計の謎」
これが圧倒的に面白くてすごかった。
アリスの同級生が殺される事件。殺されたのは当時スノッブな感じのグループを作っていたメンバーの一人で、そのメンバーでの同窓会の当日に殺された被害者。同窓会に参加するにあたって、みんな揃いの時計をしていくことにしてるんですが、現場からは被害者の時計がなくなっていて、これが事件解決の鍵になるんですよね。
最後の火村せんせの論理的な追い詰め方が超クールでかっこいいんですよ!その論理を、考え抜いてあるのがまたすごくて、そこが本当に面白かった。。
あと、そのメンバーのそれぞれの個性がまたよくてですね。犯人が追い詰められたあとの展開がまたとても熱かった。
ところで、そのメンバーとアリスは直接仲が良かったわけではないけど、高校時代のことを知っている人たちなので、自分の高校時代のことを思い出したりとかしてね。初恋の話とミステリを書き始めたきっかけが出てくるストーリーでもありました。非論理的な世界から逃れるために、超論理的な推理小説の世界に没入するっていうのはなかなか面白いなと。文章を書くことということについてちょっと考えたりしてました。
文調が明るいので、ちょっと意外な感じもしますけど、そういえば、人嫌いでしょう、みたいな指摘をされる話とかもあったなあ。

解説は太田忠司さんでしたね。太田さんも読んだことあるなー。なんだっけな…。

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2018年01月15日

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ネタバレ

インディーズバンドマンのギターリストの死。
女彫刻家の首を切られての死。
金貸しの密室殺人。
有栖川の優秀な同級生の死。
の4本。
インディーズバンドマンはダイイングメッセージを読み解く。↓これは簡単だった。
金貸しの密室に磁石はちょっと無理矢理勘がある。
あとは、着眼点はミステリーぽいといえば、ミステリーぽい。

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2022年12月12日

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ネタバレ

久しぶりに時間が取れたので一気読みできた~!うれしい!

「あるYの悲劇」
怪しい人はなんとなくわかったけど、Yの意味が分からなかったので、種明かしのときはおお~ってなった。
お父さんが書いたタイトルが衝撃的すぎてそれが一番記憶に残ってる(笑)
絶対話が合ったのにね……。

「女彫刻家の首」
これが一番好きなので、やっぱり私は余韻が残る終わり方が好きみたい。首を切った訳も納得。
最後の火村の悪態がとても心に残ってる。

「シャイロックの密室」
犯人視点だと火村の恐ろしさが分かるね。
ちょっと間抜けな展開にそんなのあり~!?ってなっちゃった。

「スイス時計の謎」
インテリたちが鼻についてしょうがないですね。
ロジックの展開は見事だけど、理解するのに一番時間がかかった。美少女って言われてたの笑った。
最後のアリスの言葉が印象的。よかったね…!

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2022年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(中編)国名シリーズ7火村&有栖シリーズ13
目次
あるYの悲劇 
女彫刻家の首
シャイロックの密室 
スイス時計の謎

あとがき
文庫版あとがき

解説 太田忠司
解説と、ものがたりのラストが、ありがとう、揃いなのが狙ってのことだと思うけど素敵。

作品の中の有栖川さんを救った小説という繭、原因になった初恋の君にも届いていたらしいことがわかって、スランプから脱せた、ありがとう。

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2022年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作家アリスシリーズの短編集の中でも、この作品は割と正統派のミステリだった。
4話入ってるけど、表題作の「スイス時計の謎」がほぼ半分を占める中編。
やっぱり当たり前のようにアリスにお誘いの電話を掛けてくる火村センセは謎。ほとんど精神安定剤なんじゃないか。

有栖川さんの短編はいつも質が高いとは思うんだけど、短編として成立させるべくミステリの不可欠要素を最優先で残して構成されていて、でも省略したであろう一見無駄な描写(アリスと火村の下らないやりとりとか)が物語に豊穣をもたらすのだから、つまり、長編読みたい!(笑)

・あるYの悲劇…Yと読めるダイイングメッセージが鍵となった話。書き順と書かれた場所からの類推は非常に論理的で気持ち良かった。
「山崎」で「ヤマモト」と読む名字は知らなかった。
冒頭で、アリスが街で目にしたティッシュ配りの若者から事件を思い出した訳だけど、その思い出す要因となったエピソード(犯行時間浜本がティッシュ配りのバイトをしてたのにアリバイを立証できなかった)が薄すぎて笑った。

・女彫刻家の首…首無し死体は大抵、首に何か犯人を仄めかす証拠が残ってるから持ち去られたと考えるのがセオリーで、凶器や死因を探られないためじゃなければ何なのか、ってところが見どころ。
あとがきにあるように、彫刻家でなければならない理由が弱いかも。
あと、被害者がイマイチどんな素材の彫刻作ってたのかよく分からなかったけど、住宅地にアトリエを構えるのは近所への気遣いが足りないかなぁと思った。

・シャイロックの密室…倒叙モノ。強力な磁石は扱いが難しそう(昔指を挟んで痛い思いをしたことがある)。
関係ないけど犯人の性別が最後まで分からなかった。

・スイス時計の謎…撲殺事件の現場に(火村に呼ばれて)駆けつけたアリスは、被害者が高校の同級生だったことに気付く。目立つ存在だった6人が卒業後も定期的に会っていて、被害者が殺されたのはそのプチ同窓会の催された日だった。
事件解決の糸口は、例によって火村の重箱の隅をつつくような細かすぎる推理なんだけど、容疑者でもある彼ら同級生とアリスとが再会することで絡んでくる高校時代のエピソードの方を面白く読んだ。
高校時代のアリスの想い人が恋文を渡したその日に自殺未遂を起こしたという話はここが初出じゃないけど、大人しくてパーソナルスペースの広い今のアリスの人格を形成した重要な挿話だと改めて思う。小説家になったアリスへの同級生の反応なんかもリアルだったし、アリスの小説家という仕事への思いも知れて、キャラ好きには楽しい作品だった。彼女が自分の小説を読んでたことが分かって、アリスの傷心もちょっとは癒やされたみたいで、良かった。

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2021年05月04日

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