あらすじ
敵将を泥酔させ討ち取った寡婦ユディト。
フランス王と離婚してイングランド王と再婚した「欧州の母」アリエノール。「カノッサ事件」を通して神聖ローマ皇帝に復讐を果たしたトスカナ女伯マティルダ。
彼女たちはなぜ戦い、どうやって歴史を動かしたのか。
25人のエピソードを解説。
書き下ろし世界史シリーズ新刊。
フランス救国の英雄ジャンヌ・ダルク、スペイン王国を成立させたイサベル女王など教科書に登場する著名人だけでなく、フランス王と離婚しイングランド王と再婚したことで英仏百年戦争の遠因をつくったアリエノール・ド・アキテーヌ、『ニーベルンゲンの歌』のモデルであり、フランク王国再統一の基盤をつくったブルンヒルド、「カノッサ事件」を通して神聖ローマ皇帝に復讐を果たしつつ教会改革を支えたトスカナ女伯マティルダといった、自身が戦うことで、あるいは、戦いに巻き込まれながらも独自の生き方を貫き、世界史に影響を与えた人物を取り上げる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトル通り、歴史上で活躍し名を残した女性たちのエピソード集。
この本に登場する多くは、女王(女帝)や王妃等、優れた身分の女性たちだ。彼女らには、いずれも「政略結婚」という生まれながらにして決められた"運命"があった。家系や政情により、自国を離れ言葉も文化もまったく異なる国に嫁ぐことも珍しくはなかったようだ。
ただし現実は、「お姫様と王子様はいつまでも幸せに暮らしました」というハッピーエンドにはならない。夫との関係悪化、権力や後継者争い、その先にある我が子との対立、国民からの批判……。そうした逆境の中でも強い芯を持ち、しなやかに生きた女性達。その胆力や優れた采配により、大きく歴史が動いた事例も少なくない。同性ゆえに、そうした女性には憧憬の念を抱く。
神話の世界に登場する、少しマイナー(?)な人物から、「クレオパトラ」「ジャンヌ・ダルク」など、昨今様々なゲームやアニメでアイコン化され、再解釈されているビッグネームのエピソードまで。本著は幅広く収録しているように感じた。
コンパクトな文庫であること、また著者が予備校講師ということもあり、要点をまとめて文章化しているので、歴史書というよりも参考書感覚で読みやすい。世界史に今一度触れ直すきっかけとしては良い本であると思う。