【感想・ネタバレ】サービスを制するものはビジネスを制するのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年09月23日

グロービス発行のサービスマネジメントに関する本。
教科書的に網羅的にわかりやすくまとまっており、非常に参考になる。仕事のヒントとして使えるように思う。

<特に残った点>
・利益が出るような仕組み構築はまず、魅せて十分な魅力を構築できてから行うべきという点。
・4P以外に人、物的証拠、プロセスなども...続きを読む駆使して伝えるべきであるという点
・標準化の重要性、人の重要性。ベースを作ることで初めて、改善に繋げられる、オペレーションが楽になりエクセレンスにつながるという話

<メモ>
・サービスの特性
無形性、同時性(生産消費同時)、消滅性、変動性
・サーバクションフレームワーク
サービスは提供企業側要因と同時に顧客側の要因がもたらす影響が大きい。サービスを提供する物的環境、その場に居合わせた他の顧客、サービス提供を支える見えない内部のシステム組織がサービスに影響しているというフレームワーク。
→相性の良い顧客を取り込めればより強固なサービスにつながる。顧客の共創という。
・サービスの価値=(カスタマーにとっての結果+サービス提供プロセスクオリティ)➗(売価+入手コスト)
・サービス成長のためのシナリオ
1模倣困難性の構築シナリオ。 立地、ノウハウ技術、内部管理情報システムなど。一番は人材の質、組織文化、ブランド
2コスト競争力の強化シナリオ。提供プロセスの効率化。
3規模化のシナリオ。どんな市場に横展開できるか。人的資源をどう拡張するか。
・無形性を特徴とするサービスは新規顧客販売労力が大きい。既存顧客の継続利用のメリットは非常に大きい。顧客ニーズを把握できており、顧客も利用法を心得てくれている。顧客離脱率を5%減らせば、利益25%から85%まで改善すると言われる。
・顧客満足で無理をしないために
1 誰を満足させるかを決める
2 何で頑張るかを決める
3 パフォーマンスを可視化する。見えないサービスを見えるようにする。高級レストランで食材や調理法に対する説明をしたり、ホテルでトイレットペーパー三角おりやグラスにカバーなど。
4 認知作用を使う。
・顧客満足の原動力 人材と組織
 顧客満足と従業員満足はミラーになっている。
・サービスプロフィットチェーン
1サービス企業の社内サービスの質が従業員満足に影響を与え、
2高い従業員満足が高い従業員ロイヤルティを生み
3高い従業員ロイヤルティが従業員の生産性を高め
4高い生産性がサービスの価値を高め
5高いサービス価値が高い顧客満足を生み
6高い顧客満足が顧客ロイヤルティを生み
7高い顧客ロイヤルティが企業の業績向上につながる

・成功企業は標準オペレーションがしっかりしているからこそ、イレギュラーな対応について考える余裕が現場に生まれる一方、そうでない企業では本来は定型的にこなせるはずの業務まで、いちいち自己判断しているので余裕が生まれない。イレギュラーを判断することさえ手間になっている

・多店舗展開できている企業は出店可否の判断基準が極めて明確。証券魅力度、リッチ魅力度に関し、既存の繁盛店を分析し、自社の店舗リッチ戦定時に重視する項目を特定している。

・人材育成のポイント
1価値観の共有 ビジョン、行動規範、自身の理想像をイメージしてもらう
2実践と自己観照 実技演習 OJT 自身のパフォーマンスを振り返ってもらい、できてない自分に気づいてもらう
3基本手順の習得
4他社との対話 他社と対話し、自分が目指したい理想像を再確認したり、自分の現状を客観視してもらう。

・非定型サービスでの従業員育成
1サービス現場の環境整備
 定型部分の標準化、自動化 
 現場への裁量権限の付与
 従業員間での事例共有
2育成上の工夫
 技の意図を読み取る訓練
 顧客視点でのフィードバック
 失敗から学ばせる

・統合のマネジメント
 統合を検討すべき領域は情報システムや人事経理といった内部制度の統合、坂路やサービスラインアップの整理、一番は企業文化。

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Posted by ブクログ 2014年09月28日

サービスを特定の産業・業界に属するものと捉えるのではなく、機能として捉え、殆どの企業にはサービスという機能が存在するという前提から、サービスを体系的に構築していくためのプロセスが非常に丁寧にまとめられている。
本書が素晴らしいのは、「優れたサービスは現場感覚に基づく優れた属人性により提供される」とい...続きを読むう世間の通念を覆し、属人性ではなく仕組みを構築することで再現性のあるものとしてサービスを説明している点にある。例えばよく言われる「現場の声が大事」という意見に対しては、その重要性は否定しないものの、「現場感覚なるものに振り回されると、従業員がみんな頑張っているのに報われない、生産性の低い企業になる(本書p4)」との考え方が示されている。

本書で具体的に書かれている「ビジネスモデルを設計する→品質の追求と訴求→安定化と生産性向上→持続的成長への試練」という4つのサービス拡大のプロセスでは、マーケティングにおけるターゲティングの重要性や、生産性向上のためのオペレーション改革のステップなど、サービスに限定されない汎用性がある議論が含まれており、その意味でも有用性が高い1冊。

【以下、個人メモ】
・サービスは目先の損益ベースで考えがちで、短期的な赤字を避けたがる傾向が強い。しかし、サービスであっても、製造業のような工場建設など投資ベースでの考え方が必要。例えば人材に対する投資、顧客への提供価値を実現するために必要なオペレーションの構築への投資など。宅急便創始者の小倉昌男氏による「サービスが先、利益は後」という言葉はこの点を突いている。
・サービスの価値を本質価値と表層価値に分けた場合に、本質価値の部分は標準化が可能な範囲。また、教育における講師など、その属人性が一定程度出てしまうサービスの場合、標準から極めて外れて優秀なサービスを提供するメンバーの存在はデメリットにもなり得る。そうしたメンバーのサービスが広がりすぎてしまうと顧客の事前期待が高まりすぎて、それ以外の平均的なメンバーに対する評価が事前期待とのギャップにより極めて低いものになり、顧客満足度を低下させてしまうため。
・サービス提供時の安定性を高めるための手段の代表例は、従業員のスキルとウィルの向上、分業化、集約化、顧客の絞り込み、標準化、モノへの置き換え、労働力の代替など。特に労働力の代替における顧客の力を活用する手段は、インプットの低下に繋がると同時に、そうしたプロセス自体を楽しむ顧客の満足度向上も期待できる。
・生産性(アウトプット÷インプット)を高めるためには、上記手法によるインプットの低下と単価やクロスセルによるアウトプットの上昇だけではなく、プロセスの最適化も必要。そのためには不定形のサービスにとっては一見難しい需給バランスの調整が不可欠。そのためには需要の平準化と供給のコントロールの2面で考える。

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