あらすじ
政府が推進する政策である「産学連携」または「産学共同研究」。一見、順調に見えるが、残念ながら様々な課題がある。企業側はともかく、大学側や研究者にとって、その労力に見合う効果が生まれたとは言い難い。本書は、研究者と弁護士の二足の草鞋を履く著者が、実際に解決に奔走した事件をベースにその実態を暴く。
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Posted by ブクログ
ある大学教授から「搾取される研究者」の実態を知って欲しいと勧められて読んだのですが、副題の「産学協同研究の失敗学」がこの本の主旨を表しているように感じました。泣き寝入りするのでなく失敗を分析して立ち向かう山田剛志さんの姿勢に共感しました。
Posted by ブクログ
研究者志望には胸糞悪くなる話。技術とアイデアと金がない企業が、もっと金のない研究室をクソみたいな契約でアゴで使えるようにして若手研究員を破滅させたりするぞ! 契約書を見ない方が悪いな!
研究者という生き物の一番の魅力は漫然と性善説を信じられる点だ。先行研究の参照でもそうだし、共同研究でもそう。しかし、企業は生き馬の目を抜く戦場にいる。このギャップが搾取につながる。中村修二氏が日本国籍を捨てた理由がわかる。
大学のハラスメント委員会の話も出る。全然証拠とか集めてないの草。証言だけで印象で停職2ヶ月。
Posted by ブクログ
会社法を専門とする研究者(大学教授)であり、かつ弁護士業務も行っている著者による一冊。タイトルは刺激的だが、内容としてはむしろ副題になっている「産学共同研究の失敗学」が正確であろう。
20数年前の小泉政権時代頃から始まった大学法人化で加速した産学連携・産学共同研究。本書ではその産学共同研究に関連し、弁護士としての著者自身に相談のあった具体的案件をモデルとして、大きく3つに分かれる各章にまとめられています。何も知らない大学教員が産学共同研究において気を付けるべき注意点を指摘しつつ、現状の日本における産学共同研究のシステムの問題点に警鐘を鳴らしている。各章の最後にはまとめと提言もまとめられていてとても読みやすい。
産学共同研究の背景なども勉強になるので、これから産学共同研究を始める予定の、もしくは既に関わっている大学関係者には本書は大変参考になると思われる。