【感想・ネタバレ】武器になる! 世界の時事問題~背景がわかればニュースがわかるのレビュー

あらすじ

この1冊をおさえておけばニュースがスッキリわかる!

2020年、世界のあちこちで勃発する事件やできごとは、
その国の <少し前の歴史>を知ることで一気に理解できる!

アメリカ大統領選挙、中国に端を発した新型コロナウィルス……。
遠くの国で起きたできごとが自分の生活に直結する、混迷の時代。
大きく変わる世界情勢を読み解くためのバイブルが登場!

◆トランプは再選なるか?
◆中国はどこへ向かうのか?
◆EU、中東、朝鮮半島は?
◆日米関係の今後と沖縄問題は?
この1冊で一生モノの国際教養を身につけられる!
その鍵は「少し前の歴史を知っておくこと」。

関西学院大学の学生たちに向けて熱く語った、池上先生の名講義。
このわかりやすさは池上先生ならでは!
世界のあちこちで起きている時事問題がすっきりわかる、
今こそ真の国際教養を身につけたいあなたへ最適の1冊。

【はじめにより】
経済が発展する中国ですが、二〇二〇年初頭の新型コロナウィルスによる肺炎は、
情報統制が行われた結果、対策が遅れ、感染者が拡大しました。
共産党の事実上の一党独裁の欠陥が、改めて明らかになりました。
その中国では、過去に何が起きたのか。
信じられない歴史があったにもかかわらず、共産党にとって都合の悪い情報は隠蔽されてきました。
情報が隠蔽されると、過去の失敗から学ぶことができないことがよくわかります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アメリカ、EU、戦後の日米関係、沖縄問題、中東問題、中国、朝鮮半島問題などが取り上げられているが、やはり複雑なのは「中国問題」。少し我流で纏めてみた。
○中国共産党という独裁体制
・中国には「共産党」の他に8つの政党があるが、いずの綱領にも「中国共産党の指導に従う」とある。そもそも共産党は憲法より上位位置する。従って、憲法違反かどうかを判断するのも「共産党」となる(三権分立の否定)。
・人口の6%にあたる「共産党員」が、行政や司法機関、企業や農村などあらゆる部門で指導的な役割を果たす(中国社会のエリート)。党員には不逮捕特権があり、警察も検察も手を出せない。入党(18歳以上)には党員2人の推薦の他、学業成績や家庭の政治的背景などの厳格な審査を経て、党による思想教育などを受ける必要がある。正式な党員になるには少なくとも1年以上を要する。
・毛沢東(1893-1976)が「百花斉放・百家争鳴」の方針を示す(1956)。しかし、共産党を批判すると「右派」のレッテルが貼られ、弾圧を受ける(反党・反社会主義の「毒草」)。
○大躍進政策(1958-61)から文革(1966-76)へ
・「大躍進政策」での「庭先での溶鉱炉建設」などの失敗。1958から61年にかけて、3000万人以上が餓死。毛沢東の権威が揺らぎ、国家主席の座を劉少奇に譲る(共産党主席の座にはとどまる)。劉少奇は、大躍進政策での飢饉は毛沢東による人災と非難。毛沢東が権力を再び手にいれるために始めたのが「文化大革命」。
・劉少奇と鄧小平の登場は、毛沢東の地位の相対的な低下を意味した。そこで、毛沢東は彼らを「実権派」(権力主義者)「走資派」(資本主義者)と決め付け、糾弾する。そのために展開した大衆運動を「文化大革命」と呼ぶ。
・「造反有理」のスローガンの下、「紅衛兵」(毛沢東によって動員された学生、工場労働者)は、権力者(役所幹部、官僚)に「腐敗分子」と書いた帽子をかぶせ「自己批判」を迫る(ジェット式)。「紅衛兵」は暴走(警察も止められない)、宗教施設や文化財を破壊。学校や職場も機能しなくなった(四旧打破)。
・文革での死者は1000万人とも。1968年、劉少奇は失脚、翌年死亡。鄧小平も地方に追いやられる。暴走と内部抗争を繰り返す「紅衛兵」は、農村に追いやられ、多くは重労働で病死。
○改革開放路線(1981-)から民主化運動へ
・毛沢東が死去(1976)すると、鄧小平は中央に復帰。「改革・開放政策」(1978年)で、資本主義を取り入れる。
・「改革・開放政策」を機に民主化運動が高まる。1981年に共産党主席となった胡耀邦は民主化要求を容認(共産党保守派はこれを認めず、辞任へ)。胡耀邦は1989年4月死去。追悼の声が高まり天安門広場に集まる。1989年5月のゴルバチョフ書記長の中国訪問を機会にし、民主化運動を世界のメディアに訴えようとした。
・民主化運動を容認する趙紫陽は、鄧小平が民主化運動を「動乱」と決めつけたと明言。戒厳令の布告や人民解放軍の投入で学生たちを排除する。
・共産党は、「六四情報」(天安門事件)を封印。死者は1万人以上ともいわれる(イギリス外交文書)。
・この事件以降、中国は徹底した「愛国教育」と「反日教育」へ。文革が60年代の世界に与えた影響は大きく、世界各地で社会運動や反政府運動が巻き起こった。記者も攻撃対象となり、文革の実像を報道できなかった。

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2021年10月31日

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