【感想・ネタバレ】深層地下4階のレビュー

あらすじ

それに寄生されたら最後、すべてを奪われる。
『ジュラシック・パーク』
『ミッション:インポッシブル』
の脚本家が放つ異色スリラー!

前科持ちのティーケイクは、いつも通り貸倉庫の夜勤シフトに入っていた。
ふと気づくと、壁の奥からかすかなブザー音が聞こえる。
発信源を突き止めるため、同僚のナオミとともに壁をぶち破ると、
そこにはブザー音と異常を知らせるランプが点滅する、存在しえない深層地下階の図面パネルがあった。
それは40年前、小さな町を全滅させるほどに進化した生体が極秘に封印されている場所だった……。

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Posted by ブクログ

SFな設定をエンタメ的なスピード感とフックのある演出で描いていくのだけれど、そのなかで印象的にしっかりと浮かび上がってくるのは、登場人物にたしかにある、あった、それぞれの解決していない人生だったりして。起こる“事件”の質や規模はだいぶ違うけれど、読み心地は犯罪小説のそれに近いような気がした。好き。思いがけず、これも“読みたかった”小説だった。

古本屋で読んだ裏表紙のあらすじを読んだときは、これは“午後ロー”みたいに読みたいな、なんて思っていたし、解説を読むと『ジュラシック・パーク』や『ミッション・インポッシブル』の脚本家が書いた小説で、なるほど、なんて思ったりもした。読み始めてみると、平日の午後になんとなくTVで観はじめる大作というより、平日の深夜にしっかり目にセレクトして観はじめる90分くらいのマイナー作、それも犯罪映画の感じだった。
というのは伝わりにくい気がするけれど、そんな映画が予想以上に素晴らしかったときには、これはわたしがみつけた傑作だ、的な勘違いと感動と喜びを感じる。この小説の読後にも同じものを感じていたのだった。傑作では。ちょっと無理して映画に喩えようとしているのかは謎である。

ハーパーBOOKSはあなどれない、というか信用できるレーベルになってきた。

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2025年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

帯や概要が気に入って購入したが、ハリウッドの大ヒット映画の脚本家のデビュー小説ということで一抹の不安があった(ヒドイNHK朝ドラをやっていた時期に読み始めたせいで名がある脚本家に対しても懐疑的になっていたせいもある)。
読み始めてみると、全く問題は無く、すぐに面白いと感じて安心した。

中身は良くも悪くもアメリカのアクション映画の脚本家らしいなと感じる。
翻訳が良いのもあると思う(訳者も初の翻訳。だが上手い!)が、映画(映像)をイメージできるような記述はさすが大ヒット映画を生み出した脚本家といったところだ。
多様なキャラクターの性質と各場面の広がりを、短く・素早く把握できる文章も前職から磨かれた強みのように感じる。
ただ、主人公らがなんか安っぽい感じがする(小説ならではの良さである内面描写が弱いのか??設定が単調だから??)のは大衆映画の悪いところが出ているように思う。
半分くらい読んだ時点で、「オチがハリウッド映画の「(全部)ドーン!」にならないといいが・・」と思いながら読み進めていた。
著者が60歳に近いからなのか老いる描写が上手い。有能だった者が老いて衰えていく哀愁も感じる。

オチはアメリカの大好きな核だったが「放り込んでボーン!」ではなく、設置から爆発までドキドキ感もあり良かった。ロベルトについては「爆弾を最下層まで持って行って退避せず爆発を見届ける」や「感染しながら起爆して自爆」するんじゃないかと思っていたから死ななくてよかった。
エピローグも大団円という感じで爽やかに終わっていてよかった。

不満点としては、
中盤以降気になったのが粘菌が意思や思考、記憶を持っているような描写。
終盤に文中で「そんなことはないが・・」と否定しているが、粘菌の行動は、粘菌自体の記憶や感染者の記憶が粘菌に受け継がれていないとあれほど上手くいかない(急に高いところへ登らなくなったり、人間を特別な宿主として探す・好むようなことは生存本能による無秩序な拡大だけではあり得ない)感じがする。この点については、思考しているように"見えた"理由がもう少し欲しかったと思う。

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2024年04月07日

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