あらすじ
CWAヒストリカル・ダガー賞最終候補作!
舞台は19世紀末ロンドン。シャーロック・ホームズが活躍した時代――。
ウェストミンスター病院の解剖医助手レオ・スタンホープは、真面目に職務に励み、週に一度、娼婦・マリアの元へ通うことを楽しみにしながら、日々を送っていた。
レオは牧師の娘として生まれたが、15歳で家を出てからは男として生きてきたトランスジェンダーだった。トランスジェンダーは、露見すれば刑務所か精神病院送りと決まっていた。
そんなレオにマリアは普通に接してくれ、いつしかマリアと恋人になることをレオは夢見ていた。
ところが、やっとの思いで観劇デートを取りつけた約束の晩にマリアは現れず、翌日遺体で発見される。レオは警察に連行され、刑事からマリア殺しを白状するよう迫られる。否認したレオは留置場に入れられた。
突然、レオは釈放される。刑事によれば上からの命令だという。
マリアの葬儀に出向いたレオは、そこで産婆のマダム・モローと出会う。
モローはマリアが軍の将校の男とつき合っていたようだと話す。レオの真犯人探索が始まる。
2019年CWA(英国推理作家協会賞)ヒストリカル・ダガー賞、最終候補作。
ヴィクトリア朝ロンドンを流れる黒く濁ったテムズの悪臭さえ立ちのぼってくるような、ほの暗い歴史スリラー!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
東野圭吾的に読みやすいです。ストーリー展開は全く違いますよ!後半これでもかと真実が明かされていって、読みごたえありました。19世紀末ロンドンの猥雑で隠微な雰囲気が漂い、映像が眼に浮かぶよう。男性の心を持つ女性が主人公。そういう設定は初めてで、情景や深い心理描写を見るにつけ、素晴らしいと感じ入りました。当時実際にあったのではないかと思わせる事件、のめり込んで読むことができました。解説によると、レオシリーズ、次作もあるようです。読めるのを楽しみに待ちまあす。
Posted by ブクログ
裏表紙の内容紹介を読まずに本書を開いたので、まず主人公が実はトランスジェンダーと言うのが最初のミステリーに感じた。主人公のヘナチョコぶりと、相反する捜査への執念が読んでいてハラハラした。一気読みした。
Posted by ブクログ
やれやれ、この作家、よくもここまで難度の高い小説を書きあげたものだ。主人公は、体は女性だが心は男性というトランスジェンダー。現代であればありがちな設定なのだろうけれど、なんと舞台は19世紀1880年のロンドン。難度に難度を重ねるチャレンジングな設定。
今年読んだ『探偵コナン・ドイル』の設定が本書とほぼ同時期で、ホームズが登場し、切り裂きジャックが夜を掻き回していた時代であり場所である。同じ、ロンドンの夜は、本作でもかなり手強い暴力や殺意に満ちており、怪しい霧に包まれて真相がなかなか見えないところも、やはり同じである。
当時の警察権力の粗暴さが際立ち、その犠牲になる誤認逮捕など珍しくもないみたいな世界で、マイノリティである検視官助手の男装の主人公レオ・スタンホープの活躍が光る。活躍と言っても体は女性であり、家族とも切れた孤独な生活なので、腕力も財力もてんでない。街の薬品店の二階に格安で住まわせてもらっている様子、そこの父娘の生きるバイタリティが微笑ましかったりする中で、極悪な犯罪の連環がレオを襲う。
ハーフムーン街の娼婦の館を舞台にした連続殺人事件。その一人は、レオが通い詰める娼婦マリアで、彼は検視局で彼女の遺体と対面することになる。売春宿の女主人、オーナー、帳簿係に加え、謎のキツネ似の男、陸軍少佐など、宿を流れるマネーや色欲、暴力と愛憎の迷路がページと共に闇をより深くより濃く演出してゆく。
女性の体をもつが自分を男と認識する若者の一人称で描く難物のミステリーだが、筆力が素晴らしい。登場人物の誰もが活き活きと印象深い。当時のロンドンの雰囲気にマッチした薄暗い霧を纏う事件の本質は、裏のまた裏へと展開し、複雑に絡み合う人間模様を解いてゆく後段は見ごたえがいっぱいである。
謎だけではなく主人公レオの経験する、異質であるゆえの痛み、絶望感は並大抵のものではない。最後まで謎を秘めているかに見える女性キャラの深さもなかなかの味わい。シリーズ化された二作目三作目と原作は上梓されているとのこと。翻訳が楽みな期待のシリーズの登場である。
Posted by ブクログ
ミステリーだけではなくて、トランスジェンダーについて、考えさせられる、少し趣の違う作品!!
英国のビクトリア時代のお話なので、BBC等のテレビドラマなどから、映像は、容易に、思い浮かび、さらっと読める!
謎の追及は、現代ならば、簡単な答!
続編、続々編が、楽しみ!!
Posted by ブクログ
18世紀のロンドンでトランスジェンダーの主人公が巻き込まれた犯罪を解決していく。
今みたいにトランスジェンダーなんて言葉もない時代に男として生きる女の子。
前半は結構冗長さを感じたけど後半の畳み掛けは良かった。
ロージーとレオの芽生えたはずの連帯感と2人が落ち着くことを許せない結末が切なかったです
2025.8.30
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Posted by ブクログ
トランスジェンダーを題材にしており、自身の性に葛藤しているシーンは表現もよくできていて面白かったと感じました。
しかし元々海外文庫の作品のため、翻訳の影響か読みにくいところがいくつかありました。(自分の理解力かもしれませんが)