あらすじ
★指揮者 大友直人、初の著書!
小澤征爾に胸ぐらをつかまれ、バーンスタインに日本のオケを嘲笑された若き日のこと。
世界に背を向け、日本で活動し続けた理由、クラシックは興行であるという原点に立ち返る意味を自問自答し続けた日々を、余すことなく書ききった。
音楽とは何かクラシックとはなにか、指揮者とはなにかを突き詰めた渾身の書下ろし。
「なにが、世界だ! なにが、芸術だ!
いまこの目の前の観客に感動を与えられなくて、なんの公演なのだろう。
興行としての原点を忘れたから、クラシックは魅力を失ったのではないか……。」
■第一章 「音楽家を目指す」
と宣言する
■第二章 「世界」がなんだ!
主戦場は日本と決める
■第三章 躍る沖縄市民
琉球で考えたこと
■第四章 子どもたちを育てる
■第五章 クラシックだけじゃない
音楽の魅力
■第六章 これからのクラシック
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大友直人による日本のクラシック音楽界における課題について本質をとらえた書であり、うなずくことが多かったです。
海外オーケストラに有るが、日本のオーケストラに無いもの。日本のオーケストラの閉鎖性、サウンドの個性の無さ、聴衆の意識の問題など。愛好家の高齢化に進み本当にこのままでは衰退してしまいます。聴衆をしっかり育てていくことも重要ですね。
ほんのちょっとですが「交響曲宇宙戦艦ヤマト」についても取りあげられていました。
片山杜秀氏との対談も興味深い内容でした。
Posted by ブクログ
実際に現場で活動している指揮者として、これからの日本のクラシック音楽を巡る状況はどうなっていってしまうのだろうという危機感は、「日本のクラシック音楽の聴衆の間に、極端なオタク的感性を持つ人が増えてしまいました。自分の好き嫌いがはっきりしていて、嫌いなものは認めない。排他的な感性を持つ人を増やしてしまったといえるでしょう。」という文章に集約されている。
クラシック音楽=高尚なもの、という思い込みから、単なる自分の好みを「クラシック音楽ヘの深い造詣」と勘違いし、作曲家や演奏家に対する排他的な態度を取ってしまう聴衆。こういう手合いは、自分たちがクラシック音楽をどんどん狭隘な世界に世界に落とし込んでいるということに気づいていないのだ。
Posted by ブクログ
1か月ほど前に読んだ。2月に大友先生の指揮で五千人の第九に参加する予定だったが、コロナで中止になった。自伝のような内容だが、芯のある人ということがわかって、親しみが湧いた。
Posted by ブクログ
私は10代なので、大好きなクラシックのために何ができるか考えさせられました。
オーケストラのマネジメントなどの裏でお仕事をする人になりたいとぼんやり考えていましたが、強くなりたいと意識することが出来ました。
Posted by ブクログ
日本のクラシック音楽を牽引してきた指揮者の一人として綴った国内クラシック音楽の今昔、将来。考えさせられるものごありました。
クラシック音楽も興行のいちジャンルとするならば、そもそもどこの国で生まれた音楽なのかにとらわれすぎるのがクラシック音楽業界の根本的な問題なのではないかと思う。日本で活躍する海外のクラシックミュージシャンが少ないかもしれないけど、日本で活躍する海外のポピュラーミュージシャンだって皆無。これをガラパゴスと言うのか、ナショナリティと言うのかだけだと思う。
Posted by ブクログ
著者は、日本のクラシック音楽業界に、かなり危機感を持っておられる。国の予算が社会保障ばかりに向いてしまっているものなあ。文化、芸術にも予算を向けて欲しい。
Posted by ブクログ
日本のクラッシック界の価値と位置付けと問題が見えてくる。その中で諦めずに「変わることで変わらぬ価値を守ること」を考え提唱し続けている熱意がすごい。
最後の対談が、今起こっていることの全貌が見えやすくて良かったです。