あらすじ
江戸川乱歩が戦時統制下に筆を折っていたように、ミステリーは自由で民主的な社会でしか発展できない。探偵小説が一般に普及したのも大正デモクラシーの風潮と無縁ではなく、そんな新しい時代に書かれたプロレタリア文学運動の理論家・平林初之輔と、農民文学の旗手・佐左木俊郎のミステリーは、長い時を経ても決して色褪せることのない輝きを放っている!
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Posted by ブクログ
・指と指輪
高価な宝石を持つ男は、その宝石に相応しい女の指を求め、ひたすら街を彷徨っていた。
電車やカフェーなど、美しい指を探し求める猟犬の様な男。しかし、なかなか美しい指に出会うことができない。
指に固執するフェティシズム一点突破の掌編。最後の返しも取ってつけた様な薄味の探偵趣味だが、身体パーツへのフェチは谷崎潤一郎の系譜でもあり、モダニズム文学の流行と作者の接近が窺える。