あらすじ
信州の村にすむ小学五年生の少女・満希は、都会からの山村留学生、行人と気の合う友人へとなっていく。
やがてふたりは同じ高校に進んだが、満希は地元で農家を継ぐことになり、行人は遠くの医大への進学を希望していた。
卒業式前日、中学時代にふたりで訪れた村の図書館で、行人は山村留学を選んだ理由を初めて語り始める。「第21回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一の各氏)
ひとつひとつのエピソードが、時間のはなれた前後のエピソードと有機的につながっているからでしょう。そのつなげ方が、この作家はうまいのです。──斉藤 洋
よく磨かれた丁寧な言葉で紡がれた美しい物語でした。だから、言葉と言葉が響き合い読む人の心を震わせます。 ──富安陽子
「力のこもる指先の爪が白く変わっていく」。この表現に心底、ふるえた。─中略─
著者のそういう筆致は、もはや児童文学という枠を突き抜けていると思う。──鷲田清一
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
続きがとても気になる二人。
行人は、戻ってくるのかな?
満希は、農家を継ぐのかな?
あれこれ考えて、楽しい余韻がありました。
胸に秘めたものを抱えてやってきて、
満希たちと過ごしながら、
成長していく行人側の話も知りたい。
Posted by ブクログ
ものすごくよかった。
雪の降る季節に読みたかったなあ。
信州のある村で暮らす女の子と、
都会からやってきた山村留学生の男の子、
ふたりの高校卒業までのお話。
雪の情景と赤いいろ、
都会と田舎、
出ていく決意と出ていかない決意と、
対比の描き方がとても素晴らしかった。
どこかでずっとただよっているふたりの別れの空気と、
図書室でのふたりの時間が切ない。
変わるものと変わらないもの。
締めくくりは3月の雪。
とても綺麗な物語でした。
Posted by ブクログ
信州に暮らす5年生の満希の学校に山村留学として都会から行人が転校してきた。あることをきっかけに友だちになった2人は高3になりそれぞれの進路へと進む...。素敵すぎる2人の関係が美しい文章からあふれ出る。
Posted by ブクログ
山村に住む満希と山村留学で転校してきた行人。同じ高校にすすんだ2人の小学校から高校までの思い出をえがく物語。
都会から田舎に越してきて、自分の生きる場所を見つけた行人が成長していく中で、将来を決めていく姿がよかった。
Posted by ブクログ
「わたし、あした高校を卒業式する」
満希は行人との出会いから今までを振り返る。満希の住む村に山村留学生として行人がやってきたのは小学5年生の冬。唯一の同級生の行人との距離感に戸惑いながらも、惹かれていく満希の気持ちの揺れが美しい言葉で丁寧に表現されている。
行人もまた繊細で他者の気持ちがわかる、よくできた子。だからこそ抱えてしまう辛さも後からわかってくるのだが…。
自分の言動が相手にどう受け止められるのかを考えてしまうふたり、そんなふたりの関係が切なくて愛しい。
冬の雪がふんわりとふたりを包み、雪が溶け春に向かう気持ちの良い物語でした。