【感想・ネタバレ】なたぎり三人女のレビュー

あらすじ

ヒロコ・物書き41歳、ミユキ・ヘアメイクアップアーティスト44歳、マキコ・イラストレーター39歳。ある時は将来のために食堂経営を計画、ある時は体の衰えを気にしてダンベル体操、そしてある時は頑張る自分にブルガリの指輪をプレゼント…。迷いながらも人生を楽しむ、酸いも甘いもかみわけた大人の女三人の、ささやかだけど豊かな日常。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

3人の親友女性が心のままに生きる毎日をコミカルに描いた作品。

本書の続編『こんな感じ』を先に読んで、「そんな感じ」の3人の生活になぜか居心地の良いものを感じてしまい、1作目の本書も読んでみたくなりました。

彼女らが「心のままに」生きていると書きましたが、決して高尚な考えを持っているというわけではありません。ただ、嫌だなぁ〜と思うことは避けるというくらいのこと。でも、読んでいる者にしてみれば、それをできるのが羨ましいのだけど。

主役の三人女は、ヒロコ(物書き41歳)、ミユキ(ヘアメイクアップアーティスト44歳)、マキコ(イラストレーター39歳)で、独身の一人暮らし。仕事がらみで知り合い、意気投合? アラフォー独身女性同士だからこそ分かり合えたのかな。悩みや夢や、あんなことこんなことを他愛も無く語り合いながら毎日をやり過ごしている。なんてことない毎日が、力の抜け加減絶妙で快適そう。彼女たちは肩こりそうだけど、読んでいるこちらには肩のこらない楽しそうな暮らしに見えてしまう。心の赴くままに生きるって理想? という疑問も頭に過ぎるけど。
人間って不思議だ。心の赴くままに生きようたって心には何か引っかかるものが残るのだから。人が理想と思っても、本人たちには理想なんてとんでもないということもあるよね。彼女らもそう。意に沿わないことはしないようにしているのに、意に沿わないことが起こるし。

本書はそんな人生の小さな矛盾を面白おかしく描いたドタバタ劇だけど、考えさせられることは結構あるんじゃないかな。ただ正直なところ、本書の10年後を描いた2作目の「こんな感じ」の方が好き。本書の彼女らは、結構リッチでバブリーで、ストレス発散方法も若い感じがするからかな。
ミユキはアルファロメオ、ベンツなど3台の高級車を持っていて、コム・デ・ギャルソンやヘルムート・ラングなんかをふだんでも着ている。ヒロコが物書きで得る収入は、それまで働いていた会社の給料の倍はあるというし。クリスマスには三人でブルガリに行って指輪を買う話もあったし。誰だかは両親に家を建ててあげたという話もあったな。
一見庶民の私らとあまり変わらないと思い共感してしまう彼女らの毎日も、実は結構な収入に裏打ちされていたりするんだよね。しらけるってほどじゃないけど、会社に縛られず、家庭に縛られず、男に縛られず、やっぱりレベルが違うなぁ。理想の生き方、友情、仕事って? 結婚もだけど、彼女たちは結婚に関してはスッパリと切り捨てている感じ。恋人、男友達もかな。おひとり様同士がご近所さんで集まり、助け合いながらの老後暮らし。彼女らの将来を想像すると、そんな様子がチラチラと。少子高齢化の社会問題に対してのひとつの提案?

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2012年07月13日

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