【感想・ネタバレ】HOW FINANCE WORKS ハーバード・ビジネス・スクール ファイナンス講座のレビュー

あらすじ

amazon、Netflix、ティンバーランド、アップル、ナイキ、鴻海シャープ、ファイザー、バイオジェン、ハイネケン、デル、IBM、HP・・・
最先端企業の財務データからファイナンスの論理を学ぶ
2020年代の基礎ファイナンス教科書
ウォール街に多大な影響を与える人気教授による
ハーバード・ビジネス・スクール・オンライン講座初のテキスト化!
本書は、ハーバード・ビジネス・スクールのオンライン講義(MOOC)をもとに、つくられたファイナンスの教科書です。(https://online.hbs.edu/courses/leading-with-finance/)
ハーバード・ビジネス・スクールの人気教授が長年温めたアイデアをもとに書かれた企画ですが、本書はMBAのための分厚く難解な専門書ではありません。MBAのようなファイナンスのプロを目指す人のためのというよりは、入門者でもなんとか読める内容になっているところが特徴といえます。
アマゾン、ネットフリックス、アップル、ナイキなどをはじめ、読者が関心を持てる有名企業のファイナンスの事例が豊富になっているところが最大の魅力です(たいていの教科書の財務データは、架空の起業のものになっています)。各社の折々の意思決定の動きと、実際の財務データを検討し、そこから見えてくるファイナンスの論理を読み解いていきます。
関心をもって読み進めていくうちに、ファイナンスの基本的知識が身につく、というのが著者の狙いで、横開きに大小100点近いチャートやコラムがちりばめられ、本文は比較的シンプルなので、わかりやすく読み進められます。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第1章 財務分析入門
p.28 在庫回転率は、ある年に何回在庫を全て売るのかを測る。数字が高いほど、会社は製品を売りさばいてて在庫を効率的に管理しているのがわかる。

第2章 ファイナンスの思考法
p.50 ファイナンスの実務家は、経済的なリターンを計測する1番優れた方法はなにかと問題意識を抱いた。会計では純利益を重視するが、いくつかの重要な問題を無視するから、ファイナンスの専門家は純利益には欠陥があると考えた。この問題き答えを見つけようとしたファイナンスの専門家は、経済的にリターンの計測にはキャッシュの方が優れていると考えようになった。キャッシュには色々ある。利払前•税引き前•減価償却前利益、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの3つだ。そして、なぜフリーキャッシュフローが投資判断や評価決定において重要なのだろうか。
p.51 純利益のみで会社の業績を見る問題点としてさら現金と非現金費用を対象的に扱うことが挙げられる。第二に、純利益は金利支払額を差し引いているので、類似の運営をしていてと、資金調達方法が異なると比較するのが難しい。

p.54 営業キャッシュフローは、まず重要なことだが、運転資金のコストを考慮する。第二に、当期純利益から税金と金利支払額ふくむ。そして株式報酬などら減価償却外の非現金費用を最終計算に含む

p56. 運転式の影響を考えるシンプルな方法は、他の資産と同様、会社の日常業務遂行に必要な資金調達額はなるからと考えることができる。

第3章 ファイナンスを使うプレイヤーたち
p.89 ファイナンスでは、機関投資家をマネーマネージャー、アセットマネージャーなどいろんな名称で呼ぶが、広くはバイサイドと呼ぶ。ファンドには、投資信託、年金基金、政府系投資ファンドかどらいくつかの異なるタイプのものがある。

第4章 価値創出の本質
p.118 簿価は、株主が会社に投資した会計上の資本金額だ。市場価値は、金融市場が会社をいくらとら評価しているかを示すものだ。フェスブックの時間総額は5128億ドルだが、簿価ははるかに低い743億ドルでしかない。

p.126 資本コストとなる期待収益はどこから生じるのか。資本の提供者は、彼らが負うリスクはどの程度になるかを測り、そのリスクがどの程度になるかを測り、そのリスクを埋め合わせるだけのリターンを期待する。

p.133 資本コストや期待収益率を考える上で、CAPM(資本資産評価モデル)が有効である。株主がリスクに対して求める金額には2つの要素がある。ある株のリスク量、そしてそのリスクの価格だ、

第5章 価値評価のアート科学
p.154 数を買う、起業を買収する、住宅を買うら何をするにしても評価のプロセスは避けれない。提案された投資はもっともだと思えるか。いくら払うべきか。これらは基本的な質問だ。
p.155 評価でよく使われるマルチプルは、株価収益率だ。これは会社の株価を、一株あたりの利益で割った数字だ。言い換えれば、会社の株主資本の価値を純利益で割った数字だ。
p.157 マルチプルには多くの欠陥がある。マルチプルがよく使われる特徴である比較可能性、市場に基づく論理であるということが、同時に混乱を陥れる。マルチプル分析でこちらの1ドルとあちらの1ドルが同じかどうかは明らかではない。(また市場からの評価が正しいとは限らない。)
※DCFとは
・DCFは、将来の大きなお金が今の価値でどれくらいになるかを計算して、投資が本当に価値があるかを判断するための方法です。
・ステップ
- 将来もらえるお金を予測する。
- 割引率を決める。
- そのお金を今の価値に直す。
- 今の価値を全部足す。
- 初期投資を引く。
- 残ったお金がDCFの結果(NPV)。

※DCFとNPVの関係
DCFは、将来のお金を今の価値に直すための「計算方法」や「プロセス」。
NPVは、そのDCFを使って計算した「結果の数字」。

※IRRとNPVの違い
・IRR(内部収益率)とNPV(正味現在価値)は、どちらも投資の良し悪しを判断するための道具
・NPVは、投資したお金が将来どれくらい増えるかを、今の価値に直して計算したものです。例えば、100円を投資したら、1年後に120円になるかもしれないけど、その120円を「今の100円と比べてどれくらい価値があるか」を考えます。
・IRRは、その投資がどれくらいの「パーセント」で増えるかを教えてくれる数字です。つまり、その投資が「どれくらい上手くいったか」をパーセントで示すものです。

※IRRとWACC
・IRRがWACCを超えたら、その投資は良い投資だよ、という関係になっています。
・IRRは「どれくらい上手くいったか(成功度)」を示してくれる数字。
・WACCは「その成功を測る基準(合格ライン)」

第6章 資本配分
p.193 経営陣が最初に答えるべき質問は、投資するのに値する、正味現在価値(NPV)がプラスのプロジェクトがあるかどうかだ。価値を創り出すことは経営陣に課された仕事の中心だ。そして、それを、毎年毎年、資本コストをうわまり、成長しなくてはならない。

p.193 もし価値を創造するようなプロジェクトが見つかなかれば、つまりNPVがプラスとなるプロジェクトが見つからなければ、経営陣は配当や自社株買いで、キャッシュを株主に分配するべきだ。
参考:NPVの考え方 NPVとは未来の価値-現在の価値
「現在の価値に換算する」というのは、将来もらうお金が今どのくらいの価値があるかを計算することです。
例えば、今日は100円を持っていたらお菓子を買えるかもしれません。でも、もしその100円を5年後にもらうなら、そのときにはお菓子がもっと高くなっているかもしれません。だから、5年後の100円は、今の100円と同じ価値じゃないかもしれないんです。
そこで、「現在の価値に換算する」という考え方を使って、5年後の100円が今ならいくらの価値があるかを計算します。たとえば、5年後の100円は今の90円くらいの価値だと計算できるかもしれません。これを「現在の価値に換算する」と言います。

要するに、未来のお金が「今だったらどれくらいの価値があるのかな?」って考えることです。
例えば、割引率が5%で、最初に100万円を投資し、5年間で毎年20万円ずつ得られるとした場合、その未来の20万円を現在の価値に換算して、合計が最初の投資金額を上回るかどうかを確認します。これがNPVの考え方です。


p.198(コングリマリットを正当化する理由)第一は、資本コストの議論だ。「多角化を目指した買収をすれば、うちの資本コストを買収企業に適用できる。うちの資本コストは10%、買収先は15%なので、そのつち高い価値に再評価されるだろう。」しかしながら、使うべき資本コストは、その事業そのものだ。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良著との話を何かで目にして、ファイナンスの振り返り、実務への接続強化を目指すべく読書。
お金に関わるさまざまなステークホルダー関係性、インセンティブ、リアルの一端、全体感を学べる良著。

メモ
・銀行はスプレッドビジネス。短期資本を長期資本に変える、信用供与の部分が価値部分。資産と負債のミスマッチ、高いレバゆえミスが許されない。資産の質に疑念を持たれてしまうと、資金が逆回転して破綻につながる。
・価値を創出する方法
 資本コストに勝つこと
 長年にわたって資本コストに勝つこと
 成長を通じて利益を高いレートで再投資すること
・WACCを使う際の過ち
 一つの資本コストをすべての投資に利用する
 もっと債務を利用してWACCを下げる
 WACCを勝手に応用する(資本コストを対象資産で決まることを忘れる)
・バリュエーションのミス
 インセンティブを無視する(関係者インセンティブの存在)
 シナジー誇張し、統合コストを無視する
 資本集約度を過小評価する(成長に必要な設備投資を過小評価する)
・実務家は永続価値の全体に対する依存度を常に意識する。事業売却の部分を重要視する。
・資本配分の過ち
 意思決定を遅らせる(アクティビストリスクも)
 自社株買いで価値創出
 手っ取り早い買収を優先する
 楽だからという理由で自社株買い選好する
 現金再投資して大きな事業構築を好む
 短期投資株主を満足するため過剰現金分配する

・ファイナンスは本質的にプリンシパルエージェントの問題、所有と経営の分離といった近代資本主義の根深い問題を解決しようとするもの。

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2021年08月22日

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