あらすじ
日本で働く研究者の数は約84万人といわれるが、そのうちの約6割を占めているのが企業に勤務する企業研究者である。数の上では、大学などアカデミアで働く研究者を凌いでいるものの、企業秘密などを扱う関係からその実態はあまり知られていない。本書は、米国の大手製薬会社で研究者として活躍した著者が、自らの体験をもとに、企業研究者に求められる資質やキャリア形成にあたって注意すべき点などをアドバイスする。これから企業に就職しようとしている理系学生やすでに企業研究者として勤務し、これからの人生設計を考える人たちに参考になるマインドセットをふんだんに盛り込んだ、ありそうでなかった人生指南書
第1部:企業内研究者への道
第1章 企業で働く研究者の仕事
第2章 学士・修士で卒業するか、博士号を取るか?
第3章 企業で研究するか、大学で研究するか?
第4章 企業内研究者になるとしたら、どの業種・企業・職種を選ぶか―鎌谷流就活指南
第5章 企業内研究者に求められるスキル・経験と心構え
第6章 企業研究者としての人生設計
第2部:ある企業研究者の履歴書
第7章 大学院に進学し、海外に飛び出す
第8章 博士号を取得し、企業内研究者を志す
第9章 企業内研究者になって、僕がやったこと 国内製薬会社研究所編
第10章 企業内研究者になって、僕がやったこと 米製薬会社米国研究所編
第11章 企業内研究者になって、僕がやったこと 米製薬会社英国研究所編
第12章 研究への想い、化学への想い
第3部:企業内研究者インタビュー
企業内研究者インタビュー その1
木本絵美さん
ファイザー株式会社(米国コネチカット州) 主任研究員
企業内研究者インタビュー その2
中鉢知子さん
ノヴァン株式会社(米国ノースカロライナ州) バイスプレジデント
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
企業研究者というあまり馴染みのない言葉を使っているが、理系の学校を出て、大学や公立の機関ではなく企業の研究所で働く研究者を指している。最初の総論部分で紹介しているデータは、様々な業種での企業研究者を含んでいるが、第二部は、著者が有機合成研究者として製薬会社で働いた経験が語られている。結果として日本、アメリカ、イギリスで働いて、それぞれの経験を次の仕事に生かしていくのを読むのが楽しいのだが、それぞれの文化を比較している部分も面白い。第三部は、海外で働く女性研究者へのインタビューとなっていて、全体を通して、日本の研究者がもっと海外で活躍してほしいというメッセージになっている。もっと若い時に読むべきだったかも。(と言っても、私の若い時には存在しなかった本です。)若くなくても元気が出てくる本だった。