あらすじ
新世界はAI+5G+クラウドの3角形(トライアングル)で激変する
理学修士+38歳ベンチャー投資家にして元グーグル+京大特任准教授がわかりやすく描く
これから必須の「テクノロジー基礎教養」
米国での金融機関勤務、グーグルを経て、現在は起業家の支援と投資を行う著者は、「テクノロジー」と「投資(ビジネス)」の両面に精通している、日本でも稀有な人材と言えるでしょう。
その山本氏が、「近未来に主流となるテクノロジー」という視点から、専門家向けではなく、平易な言葉で書き下ろした1冊です。
これからの企業・世界はテクノロジーが主役の座を占めます。つまり、テクノロジーによって土台が築かれ、その上ですべての企業が活動するような状態が加速する、まったく新しい世界が出現します。
●近未来の企業・世界はどのような形となるのか
●テクノロジーの根本を理解するカギ「トライアングル」とは?
●FAANG+M(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル、マイクロソフト)はなぜ強いのか?
●世界を変える、近未来の7つのメガトレンドとは?
●これから基幹となる、主流を占めるテクノロジーとは?
これらの大枠を2時間で知ることのできる、まさに近未来のテクノロジーを知るための格好の入門書です。
ちなみに筆者が言う7つのメガトレンドとは下記のとおりです。
企業や世界は、このような形に必ず変化していくと主張しています。
メガテクノロジーが引き起こす7つの大変化
データがすべての価値の源泉となる
あらゆる企業がサービス業になる
すべてのデバイスが「箱」になる
大企業の優位性が失われる
収益はどこから得てもOKで、業界の壁が消える
職種という概念がなくなる
従来の経済理論が進化した新理論が誕生する
あなたは、これらが持つ本当の意味を理解していますか?
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Posted by ブクログ
●→引用
●初期のiPhoneはバッテリーの残量がすぐ減る、防水機能がないなど、携帯電話そのものの機能としては競合先のメーカーより劣っていた。しかし、顧客が選んだのはiPhoneだった。オープンソースで開発が進むアプリケーションソフトが顧客にとって魅力的だったからだ。一度選んでしまうと、いくら競合先のメーカーが「iPhoneなんてだめですよ」といっても、顧客は聞く耳を持たない。アップルは、顧客が欲しいものを知っていた。だからこそ、携帯電話としての機能を犠牲にしても、顧客が望むものを最優先で提供した。だから、顧客に受け入れられたのである。重要なのは、顧客がいまどのような状態にあって、これから何をしたいのかを正確に、素早く、そして徹底的に熟知することだ。そして、その顧客の考えていること、欲求をもっとも知ることができるのがデータにほかならない。これからの時代に顧客に提供する価値の源泉は、ハードウェアでもソフトウェアでもない。データに基づくサービスやリコメンデーションである。
●同じソフトウェアをインストールしたとしても、新規にアカウントを登録してから使い始めるケースと、すでに自分用にカスタマイズされ、サービスが利用できる状態になっているケースを比較すると、圧倒的に後者の方が強い。顧客の心理を考えれば当然だ。
●これまでのハードウェアビジネスの王道は、品質が高く、長持ちするものを安く売るという考え方だった。顧客の手元に商品としてのハードウェアを安定的に届けることが主な目的で、その機能を維持するための、または少々の改善を行うためのメンテナンスは補助的な目的だった。日本の企業は、長くこのビジネスモデルで世界を席巻してきた。しかし、インターネットの登場とともに、ハードウェアはソフトウェアによって機能を高めることができるようになった。もっともわかりやすいのは、パソコンにマイクロソフトオフィスを新たにインストールするようなケースだろう。ワード、エクセル、パワーポイントなどが扱えるパソコンとそうでないパソコンでは、付加価値がまったく違う。このように、ハードウェアの付加価値は販売したあとからでも付加できる形になった。結果的に、両者の役割は逆転する。顧客に届けるハードウェアは補助的な目的となり、届けたときから継続的にソフトウェアの機能を高めるサービスが主たる目的となった。顧客から見れば、ハードウェアの購入が最終ゴールではなく、ハードウェアを使ってサービスを利用するきっかけにすぎなくなった。販売者の立場にたてば、ハードウェアを顧客に売る行為は顧客を囲い込むスタート地点にすぎない。重要なのは、ソフトウェアを継続的にアップグレードし、付加価値を提供して利益を上げるという姿勢である。
●自動車メーカーは、自動車を製造・販売して終わりではなく、車を販売した顧客に対する快適な「モビリティーサービス」の提供が最大の使命となる。モビリティーサービスは自動車を人や物の移動のための手段ととらえ、移動の過程を円滑かつ快適にするためのサービスを意味する。
●生活が丸裸にされる点では恐ろしい時代だが、逆に言うと丸裸にされるようなデータをAIで解析すれば、生活のすべての局面で「おもてなし化」ができる。本当の意味でその人にあわせたものをリコメンドすることが可能となるので顧客満足度は高まり、さらに個人のニーズや気分が満たされる。質の高いサービスを受けることができれば、データを提供することに対するハードルも下がるのではないか。