あらすじ
子ども達が引き起こす事件には、妄想から生まれたとしか思えないものも少なくない。現実との関わりから逃げたところで育まれた想像力は、他人の存在を認めた上で自分も存在するという相対的な考え方に欠けてしまったようだ。「他人への思いやりの心」を持った強い人間になることを目指して仏教は、「思い通りにならないことが、ありがたい」――そう言える大人になるための提言をしている。
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Posted by ブクログ
これは、お坊さんが少年少女のために分かりやすく仏教を説いた本。
高校3年の時に読んで、おもしろくてずっと借りっぱなしだった。
納得させられる素晴らしいお話ばかりだが、中でも”ほとけさまのことば”という部分が好きだった。これは金沢のあるお寺の坊守さん(住職の奥さん)が書かれたものらしい。『おまえはおまえでちょうどいい』というその文章に、当時どれだけ救われ、癒され、温められたか。
お前はお前でちょうどよい
顔も身体も名前も姓も それはお前にちょうどよい
貧も富も親も子も 息子の嫁もその孫も
それはお前にちょうどよい
幸も不幸も喜びも 悲しみさえもちょうどよい
歩いたお前の人生は 悪くもなければ良くもない
お前にとってちょうどよい
地獄へ行こうと 極楽へ行こうと
行ったところがちょうどよい
うぬぼれる要もなく 卑下する要もない
上もなければ下もない
死ぬ日月さえもちょうどよい
ほとけ様と二人づれの人生 ちょうどよくないはずがない
これで良かったと戴けた時
億念の信が生まれます
すばらしいでしょ。
それから、仏教の根本的立場ともいえるお釈迦様の教え、”中道”-この理念がまた本当にすばらしくて。
簡単に言うと、”両極端を離れることによって得られる、かたよっていない中正の道”ということ。
現在のめぐは、この考えのもと生きてます。
こんな話も。
思い通りにならないことがありがたいという思想-結婚式でこんなスピーチをした人がいたそうな。号泣もんですよ。
『ご結婚おめでとうございます。結婚というものは、良いもんですよ。人として生まれて、やっぱり結婚しなきゃいかん。結婚は良いもんである。どうして良いかというと、自分の思い通りにならない人がいつもそばにいてくれて、そして人間になっていくからです。』
”どうして良いかというと、自分の思い通りにならない人がいつもそばにいてくれて、そして人間になっていくからです。”
今でもたまにこの本を手に取ると、ゆっくり、ゆっくり、体中をきれいな血が循環してくれる気がする。つま先から頭のてっぺんまで、大地や天を感じて、そしてすがすがしい優しい空気が通り抜けていくような気がする。
青春時代に偶然見つけた、これからもずっと大切にしたい本です。