あらすじ
古文書に傾倒し、周囲から《解読師》と呼ばれる歴史学専修の院生・綱手。研究室で見つかった古文書の返却を任じられた綱手は、瀬戸内海の小さな島を訪れる。同行者のトラブルメーカー・相馬に振り回されつつ返却を済ませた綱手だが、連続殺人事件に遭遇してしまい……。
島に伝わる『白妙姫伝説』を模した殺人、白妙姫の生まれ変わりと信奉される少女、内容が欠けた謎の手記――。
綱手は古文書を読み解き、歴史の陰に隠された真実に光を当てる。
物憂げな《解読師》が紡ぐ、古文書ミステリ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
掃除の最中に見つかった、返却忘れの古文書を返すため
訪れた先での殺人。
小島での殺人なので、定番のように疑われてます。
何も起こらないのは、有権者(?)の所に
客として訪れているからでしょうか?
主人公はほぼ静で、同行している友人が動なので
色々と動いて何かつかんで…という感じです。
読みやすかったですが、最後何だか取ってつけた感が
なくてもよかったのでは? な気がします。
Posted by ブクログ
瀬戸内海の孤島で起こる連続殺人事件ということで、慣れ親しんだ雰囲気と(瀬戸内在住)どことなく横溝正史な雰囲気を味わいつつも、それでいて新鮮味のある話でありました。
古文書の解読師が主人公という点がユニークというのもそうだけど、彼自身が「探偵役」ではないというところ。
殺人事件自体は、彼の親友(悪友とも言えるか)が粗方解いてしまうので、主人公は直接犯人やトリックを解き明かしはしない。
彼が解き明かすのは、古文書から得られる情報、そして事件のもっと根深い部分。
歴史的背景だったり、精神面のことだったり、ただ事件を解決するだけの探偵が恐らくは積極的にフォローしない部分を彼が解き明かしていく。
そういう面が非常に新鮮でした。
だから、彼の親友が事件を解きだした時は「え、お前が探偵するんかい!」と思わずツッコミを入れてしまうほど。
主人公は性格が非常にネガティブだから、そもそも自ら事件に首を突っ込んでいかない。
そういう意味では、何にでも首を突っ込むトラブルメーカーな親友とバディ組んでいるというのはバランスが取れていました。
それでいて、最終的には色々な人たちたらしこんでますからね、主人公。
主人公が古文書から読み解いてくれたからこそ、希望の持てるラストにもなっていますし。
本当になかなかユニークな主人公で立ち位置でした。
白妙姫の伝説の話自体も瀬戸内感満載で興味深かったです。
(フィクションな歴史とは言え)歴史もミステリも味わえる贅沢な作品でありました。