あらすじ
初の長編小説にして代表作、誕生!!
絵や文章での表現を志してきた永山は、38歳の誕生日、古い知人からメールを受け取る。若かりし頃「ハウス」と呼ばれる共同住居でともに暮らした仲野が、ある騒動の渦中にいるという。永山の脳裡に、ハウスで芸術家志望の男女と創作や議論に明け暮れた日々が甦る。当時、彼らとの作品展にも参加。そこでの永山の作品が編集者の目にとまり、手を加えて出版に至ったこともあった。一方で、ハウスの住人たちとはわだかまりが生じ、ある事件が起こった。忘れかけていた苦い過去と向き合っていく永山だったが――。
漫画家、イラストレーター、ミュージシャン、作家、芸人……。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待っていたものとは?
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Posted by ブクログ
過去作を読んでいても感じたが、著者の書く作品の主人公はいつも読んでいて痛々しく生きづらそう。読んでてちょっと疲れた。
芸術に関わる議論や人生観のようなものが多く語られるが、批評・反応をを目の当たりにしながら活動する芸人ならではの感受性が表れていそうなのかもしれない。
著者の投影が多く、フィクションでありながら私小説にも感じられる。
沖縄パートはどう読めばいいかわからなかった。
文庫版では大幅に加筆されているらしいのでそちらも読みたい。
Posted by ブクログ
芸人が書いた本という先入観みたいなのがあって避けていたが面白い本だった。
主人公視点では何か行き詰まった時に、過去を振り返りその事を思い出して感傷に浸っている。そして自分自身を傷つけて過去の傷と一体化しようとしているのではないかと思った。しかし耐えきれずに傷から逃げるように他者に癒しや傷のなすりつけをしている。
別の人の視点でも傷をつけている人やつけられている人の話があるがこれは作者の考えが強い気がする。
みんな一人一人自傷して、傷ついて他者に何かを求めている。自傷なんかせず他者に何も求めない。これが優しさなのではないかと読み終えて考えた。
Posted by ブクログ
沖縄編をどのようにとらえたらよいのか?
読みながらいろいろと考えていました。
それまでは、苦も無く読み進めていたのに沖縄編は正直いって冗長で飽きてきました。
ただ、最後の「私は人間が拙い」
ここまできて、作者の思いというかプロットというかわかるような気がしました。
序盤から中盤のハウス編や影島編は、沖縄編への「フリ」だったのかな?
そう思うと多少のカタルシスが得られました。
にしても、沖縄編は冗長に感じられました。
本文は、突如過去の記憶になったり、現在の記憶に戻ったり。過去の記憶でも戻るレンジが保育園の時期だったり、思春期だったり、小学生だったり、頻繁な記憶のスイッチバックを繰り返しており、ワチャワチャし過ぎて下手すると破綻しそうなところでしたが、ストレスなくすっごくうまくまとまっていました。
とても丁寧に書き進めていたのが伝わりました。
今の自分は「現在完了形」(うまく表現できませんが)で営まれている、っていうのをうまく表現できていると思いました。