あらすじ
つまり、誰も私を助けてくれない。
これが今、12歳の女子中学生である私の生活。
痴漢と対峙するのは、いつもひとりだ。
6年間、山手線で毎日のように繰り返された痴漢行為。
止まらない暴力、無理解な大人たちが、12歳の少女・クミの絶望を加速させる―
痴漢被害者による実体験を基にした私小説。
フランスで刊行され現地で議論を巻き起こした作品が、ついに邦訳。
この被害は、「よくあること」でも「大げさ」でもない。
私たちの日常に潜むグロテスクな事実から目を背けないために、
被害者が語る 絶望と、怒りと、救済の物語。
【目次】
はじめに エマニュエル・アルノー
プロローグ
第一章 6月の朝、山手線で
第二章 母
第三章 私は誰かの敵?
第四章 夜道
第五章 ユリ
第六章 「じゃあ、15分」
第七章 救済の計画
第八章 痴漢の手首をつかんで、それから
解説 医学博士 ガダ・アテム
解説 精神保健福祉士 社会福祉士 斉藤章佳
おわりに 佐々木くみ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
何年も前に読んで本だけど、いまだに気持ち悪さが鮮明に思い出せる本。
くみさんが駅員に痴漢されました。って話すシーンが一番嫌い。
声に出して説明するとなんでもないような、ちょっとしたことに感じられる、この現象はなんなの?
私もストーカーが居た時に何をされたかを説明する時に同じような現象が起きて悔しかった。
最低で最悪な本だけど、たくさんの人に読んで欲しい本。
まじで気持ち悪くて、ストレスめちゃくちゃ溜まる本だけど、とても良い本。
Posted by ブクログ
"生まれて初めて自分が性的なターゲットになっていることがわかった途端、言いようのない恐怖が私を襲った。"
"痴漢問題は、痴漢加害者本人の問題なのだ。"
ほんの一瞬の出来事でも、そのときの出来事は何年経っても鮮明に思い出せる程、痴漢は被害者にとって一生のトラウマとなる。
痴漢に対して世間ではまだまだ誤解があり、被害者が泣き寝入りするしかない現状が日本社会には媚びっている。
加害者が反省していようが、立派な社会人で家庭も持っていようが、関係ない。
ほんの出来心で、少し触っただけとか言い訳にすらならない。痴漢は立派な犯罪。被害者が感じた恐怖と不快感は一生付き纏うのだから。
Posted by ブクログ
何度も誰かが繰り返したことをもう一度伝えます。この本に書いてあることは全て“日常”で、“普通にあること”です。そんな国が平和なわけはない。フラッシュバックが起こる可能性があります。それくらいリアル。
Posted by ブクログ
日本で日々繰り返し起きている「痴漢」の真実を、読んだ人は受け止められるだろうか?
性犯罪と聞いてどんなイメージが沸き起こるか。多くの人がイメージするそれより、痴漢は軽いイメージになることは間違いないだろう。
スカートの上からお尻を触られる、手がちょっと胸に触れる、素足を撫でられる…女性の中でもこんな想像で止まっている人がいるのだから、痴漢の被害者になることの少ない男性の想像はもっと拙いはずだ。
12歳の少女・クミが6年間にわたって受けてきた電車内での痴漢は、そんなぬるい想像を激しく砕く。下着の中に手を入れられ、時には二人同時に前後から痴漢をされる。“世界一安全な国”では日々こんな卑劣な犯罪が行われているのだ。
同時にこの本ではセカンドレイプや、大人、つまり親の痴漢被害者への理解の度合いについても語られている。「痴漢された」と目をそらして告白する娘を、あるいは息子でも、親は受け入れ、どんな被害であろうと抱きしめる必要がある。親にとっては悲しい事実かもしれないが、被害者たちは悲しみより恐怖に支配されているのだから。
痴漢は、被害者のせいではない。服装など関係ない。年齢も関係ない。環境も関係ない。被害者にまつわるあらゆる客観的意見も、まったくもって関係ない。全ては加害者本人の問題である、とこの本を読んだ多くの人の意識が変えられることを祈りたい。
Posted by ブクログ
余りにも日常的な犯罪行為である痴漢。だが日本では身近すぎるせいなのか、はたまた性被害を軽く見ているせいか、余りにも痴漢という犯罪行為を低く見積もりすぎている気がしている。その割には男性側は女性による痴漢冤罪を過剰に恐れていて、痴漢冤罪被害から身を守るための対処法だけがネットに溢れすぎている。
かく言う自分も痴漢冤罪被害を過剰に恐れた男性の一人であり、痴漢冤罪をかけられたらどう対処したらいいのか、とネットで調べていたことがある。
だが、実際は痴漢冤罪被害は少ない。それより遥かに痴漢被害のほうが多いのだ。
そんな痴漢の被害に遭った著者が過去の体験を”小説”というかたちで記したのが本書である。
12歳の女子中学生の身に起きた痴漢被害の様子が、グロテスクなリアルさで記されている。
自分よりはるかに歳を重ねている一見普通に見える男性たちが少女に性欲をむき出して痴漢行為を犯す。自分は男性で痴漢被害に遭ったこともなく、当然痴漢行為をしたこもない。だが、読んでいるだけで気持ち悪くなる性欲剥き出しの男性のリアルがある。
それは当然で、想像力だけではなく、著者の実体験がベースに記されているからだ。
特に後半は著者の怒りが文章から滲むような語りになる。
そこには痴漢被害を甘く見ている日本社会、そして痴漢被害者へ向けられる「自分の脇が甘いからだ」という心無い言葉にもあるように感じる。
もちろん被害者は脇が甘いなんて理由で痴漢被害に遭っていいわけがない。
すべては痴漢という下劣な犯罪行為を犯す加害者側にある。
痴漢を被害者の視点で語られた作品は目にしたことがなかった。それもあって本書を読んで、自分のなかの痴漢という犯罪行為をもう一度改めて考える機会になった。
Posted by ブクログ
これがフランスで出版された時、フランスの人々はどういった印象を受けたのだろう。日本で育った成人女性である私は、もう完全に麻痺してしまっていて想像することすらままならない。
私には"クミ"を可哀想がることすらできない。あぁ、あるよねって態度をとって陳腐なものにすることで、自分は傷ついて居ませんよと自分に思い込ませることしかできない。
Posted by ブクログ
著者が過去に被害にあっていた痴漢についての本
大好きな母親からセカンドレイプを受けてしまうけどそれは痴漢についての認知の違いによるものだった。という所から知識がない事の怖さと、しっかり話し合って認識を擦り合わせることの大切さを知った。
自分は痴漢にあったことがないしそれはもう昔の話だと思っていたけど、今も苦しんでいる人がいることを知って身体的というより心の傷としてずっと残ってしまうんだなって思った。性被害者に間違っても『あなたも悪い所あったんじゃない?』と言わないようにする。
痴漢(chikan)がtenpuraとかと同じ感じで英語にした時、日本特有(?)なものというのも初めて知った、、恥ずかしい