あらすじ
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膨大なデータが行き交う現代において情報を視覚化して理解を促すインフォグラフィックはその重要性を増しつつあります。
本書はインフォグラフィックの歴史をマップ、統計、図解、関係、コードといった観点から探求し、インフォグラフィックを本質的に理解する視点を提示するとともに、今後の視覚情報のあり方を考える機会を提供します。
図版資料も満載。
インフォグラフィックの歴史や基礎的な知識を学ぶ一冊としてデザイナー、編集者、プログラマなど情報の視覚化にかかわる人すべてにおすすめします。
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情報を視覚的に表現したものを総称してインフォグラフィックといいます。
人類は古代より情報を図や記号によって視覚化してきました。
とくにルネサンス以降の印刷技術の発展や産業革命以降のマスコミュニケーションの発達はインフォグラフィックの発展に大きな影響をあたえ、ダイアグラム、チャート、ピクトグラムといった近代的手法の確立を後押ししました。
こうしてインフォグラフィックスは交通、地図、ニュース、マニュアル,教育をはじめ,社会のあらゆる場面で活用されるようになっています。
そして21世紀、コンピュータの普及やネットワーク化によって私たちをとりまく情報量が飛躍的に増加しました。
人間の認識能力を超えた膨大な量のデータと人間の理解をとりもつインターフェイスととしてインフォグラフィックがその重要性を増すとともに、動的なデータ表現によってその表現方法も大きく革新されつつあります。
いまやインフォグラフィックの制作、運用、理解のためには表面的な処理方法の問題をこえて、情報と表現の関係を本質的に捉える必要があります。
そこで本書ではインフォグラフィックをマップ、統計、図解、関係、コードといったアプローチ別に考察し、インフォグラフィックにかんする基本的な考え方を提示します。
また、インフォグラフィックの形成史のなかで、データ視覚表現の「変化ドライブ(変化の要因)」を探り、今後の視覚情報のあり方を考える機会を提供します。
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Posted by ブクログ
インフォグラフの「伝えなきゃ!」という使命感をひしひしと感じた本。大航海時代や産業革命など社会環境が変化する中、言葉や教育、生活が違う者同士が接触することが増えていき、ムラ社会なら容易に伝えられた物事が伝わらなくなった。そういうことを背景に生まれたインフォグラフィック―地図、路線図、グラフ、アイソタイプ―は、いずれも「何かを伝える」ことを目的として作られた。この本で紹介されたインフォグラフたちは押し付けがましくなく肩肘張ってないデザインで、結果として余計伝わりやすくなっているのではという気がする。ロンドン地下鉄の路線図なんか特に。最初はリアルな地形を再現していた路線図は、極限まで情報をそぎ落として最低限必要な情報だけがはっきり伝わるようにシェイプアップしていったが、GoogleMapの登場で、またリアルな地図に戻っていくという話は大変面白かった。ほか気になった人物は、ベックマップを考案したハリー・ベック、ロンドン都市交通のCIを担い、デザイン産業協会を立ち上げたフランク・ピック、「博物誌」を編んだビュフォン、「百科全書」ディロン、ダランベール、近代グラフを発明したウィリアム・プレイフェア(生き方はグラフ的ではない)、ブリントンのグラフィック・メソッド、アイソタイプを発明したノイラート、ゲルト・アルンツ、マリー・ライデマイスター、wwwの時代を予言したバックミンスター・フラー、バイヤー「ワールド・ジオ=グラフィックス・アトラス」とCCAオーナーのペプケ、ピーター・サリヴァンのニュース図解。終章のビッグ・データ時代のデータビジュアライゼーションについては私はその価値があまりよく分からない、やはりインフォグラフは人との関係に存在し、さりげなく人の理解を助けるものであり、昨今の動的なグラフはまだ発展途上のような気がする。