【感想・ネタバレ】深淵の怪物のレビュー

あらすじ

美術教師が殺害された事件を追う女刑事。彼女と事件を繋ぐのは、少女の写真をアップしているアングラサイトだった。事件の真相は彼女自身も抱える捻れた愛によることに気づき……。第39回小説推理新人賞奨励賞に選ばれた「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」を含む四編を収録した短篇集。謎が解かれた先の、人の感情の揺れを丁寧な筆致で描く期待のデビュー作!

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Posted by ブクログ


人の表の顔と裏の顔。
自分が知ってる人とは違う裏の一面…。
4つの短編集ですが、どれも闇深い物語でした。
自分が見ている部分がその人の全てじゃないのかもしれないと思える作品でした。

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2023年01月05日

Posted by ブクログ

「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」「人でなしの弟」「さかなの子」「メーデーメーデー」の4篇からなる短編集。これが作者のデビュー短編集というから驚き。恐るべき新人です。

「ベアトリーチェ・・・」は、娘の裸体画像を残して変死した美術教師の倒錯的な欲求と、事件を追う女性刑事の心に巣くう過去のトラウマが重層的に描かれぞくぞくする。ファム・ファタール、六条院、そして肖像と倒錯を際立たせる小道具が効いていてクセになりそう。

「人でなしの弟」は何者かに兄を殺された弟が知ることになる兄の真実の姿。両親の代わりに自分に愛情を注ぎ育ててくれた兄は人でなしだったのか・・・。これはすごい。ゾクゾクした。”濾過された愛情”を受けていた弟とその陰で踏みつけにされていた者たち。表と裏、善と悪、人の本質とはどちらにあるのか。正に深淵を覗くものは深淵から覗かれるのだ。

「さかなの子」は、父親を堤防で殺された不登校の中学生を親身になってフォローする教師目線で描かれる。父親は何故殺されたのか。殺したのは誰か。週刊誌の記者と名乗る男の登場で、徐々に明らかになる真実。
ラストで記者を名乗る男が畳み掛けるように吐き出す言葉。糾弾し、炙り出す人の醜さ。深淵の怪物を覗きながら、怪物に覗かれてこちらの心も丸裸にされてしまうような不安。これ、最高!大好物!

最後の「メーデーメーデー」はちょっといい話にもっていった感が残念過ぎる。最後まで不気味な怪物のまま振り切って欲しかった~

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2020年08月26日

Posted by ブクログ

人のいい中学美術教師の隠された欲望
何者かに殺された兄の裏の顔
身内の罪を隠すために教え子を裏切る教師

いい人の表面に隠された
どろどろとした欲望 凶暴性 偽善などが
思わぬところで暴露されてしまう
心に秘められた 欲望の怪物は
ぞっとするほどの暗さがありますね

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2020年08月06日

Posted by ブクログ

表題作は面白かった。
登場人物がそれぞれのトラウマを抱えて苦しんでいる様子が分かる。動機もアガサクリスティー的な未必の故意展開で納得。

二本目がセリフで説明している展開で、登場人物に動きが少ない。ミステリーというには謎が弱く、人間ドラマにしては説明的だった。

自分には合わなかったみたいで、途中脱落。

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2023年10月16日

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