あらすじ
ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。ライフル銃で80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。翌日、森の縁に建つ邸宅のキッチンで、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。数日後には、若い男性が心臓を撃ち抜かれて殺害された。被害者たちはいずれも他人に恨まれるタイプではなく、動機に結びつくような共通点もわからない。そして警察署に“仕置き人”と名乗る謎の人物から死亡告知が届く。犯人の目的は? 被害者たちの見えない繋がり(ミッシング・リンク)とは? 刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続狙撃殺人事件に挑む!/解説=北上次郎
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Posted by ブクログ
前作の、児童虐待と性暴力の話も胸が悪くなる話だったけれど、今回もまた勝るとも劣らない嫌な話。
本来なら人類のためになる技術であるはずの臓器移植を、私利私欲のために行うという、何と愚劣な話。
殺人を犯した犯人は、もちろん悪い。
何しろ殺された人たちには何の落ち度もないのだから。
では、犯人はなぜそれらの人を殺さねばならなかったのか。
ここが、この作品の肝なのだけど。
怪しい人が何人も出てくるのね。
プロファイルされた犯人像に近い人が何人も。
この人が怪しそうに書いているから、実はあの人が犯人なんじゃないか?と思わせておいての…?
と、脳内で翻弄され、裏切られ、肩透かしを食わされ、ミスリードされる。
で、被害者家族がまた、一筋縄ではいかないのよ。
どうして本当のことを言わないの?
何を隠しているの?
そしてなんとまあ、自分勝手な人であることよ。
臓器移植が悪いのではない。
それを悪用する人たちが悪いのだ。
ということだけは、強く意識していないと、ドナーになる勇気が持てない。
前回警察の裏をかいて逃げた奴のその後が一行ほどで語られたけど、今後まだ何かあるのかな?
そして、絶対彼女はオリヴァーと付き合うことになるよね。
Posted by ブクログ
オリヴァ―とピアシリーズの第7作。
犬と散歩中の老女がいきなり射殺される。
かなりの長距離から。
翌日には、祖母が孫の目の前で同じく射殺された。
「仕置き人」を名乗る者から死亡通知が届くが、
被害者の共通点は、犯人の狙いは。
ピアは恋人とバカンスに行くところだったのをあきらめて、
連続殺人を追うことにする。
オリヴァーは署長に事件分析官を押しつけられ、
チームはいらつくことになる。
三人目の被害者が心臓移植を受けたと分かった時点で、
移植関係の動機だと見当はついたが、
そこからが意外と長かった。
義母からの遺産管理の申し出を受けることにしたオリヴァーの生活が
今後どうなるのかも気になるが、
いきなり新年の抱負に新しい恋人のインカと別れる、
と来たのには驚いた。
ピアは妹以外の家族とは仲が良くないのが初めて描かれていたが、
最後にみんなには言わずに結婚した恋人と
披露パーティーをしていたのが良かった。
その妹は署長はつき合うのか?
Posted by ブクログ
オリバー&ピア、シリーズ、深い疵いらい2冊目を読んでみた(刊行順としても翻訳順としても無茶苦茶だが)
脳死と臓器移植の問題に切り込んでいくのが主題。金と名誉のために人の死の尊厳をおろそかにしていいのか?そういう結構重くて深いテーマを前面に出しつつ、無差別(と思われる)狙撃殺人事件を追うドイツ警察の捜査ミステリーを描く。
ちょっと長くて飽きてくるところと、登場人物の名前を覚えきれず誰が誰だか分からなくなりそうになる、という瑕疵もあるが、それ以外は非常に楽しめるし読みごたえもある小説。
ドイツ人っていい意味にも悪い意味にも真面目だなぁ。日本人の几帳面とはまた違う頑固な真面目さ。警察の側にも犯人の側にも悪役の側にもその真面目さがにじみ出る。そんなあたりも興味深い。