あらすじ
地方競馬の騎手、一色純也。中堅だが成績は三流だ。彼が所属する北関東競馬で、競走馬から禁止薬物が検出された。愉快犯? それとも競馬開催を妨害しようとする陰謀? 純也は恋人の競馬ジャーナリスト、沙耶香と調査を始める。薬物事件はその後も続き関係者が揺れる中、純也にかつてない好調の波が訪れ……。競馬に関する描写のリアルさと、ミステリーとしての切れ味に思わず息をのむ衝撃の作品。
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Posted by ブクログ
島田明宏さんの競馬ミステリー、3冊目。
今回は北関東の公営競馬場が舞台。
そこで起こる禁止薬物混入事件を、冴えない騎手の純也とその恋人で売れっ子競馬ジャーナリストの紗耶香が探っていくという物語。
昨年6月にはJRAでも156頭が競走除外になるということがあったし、同じようなことが起こり続けている岩手競馬をも思い起こされる、結構旬なネタ。
前作ほど陳腐な設定でもなく、裏表紙に書いてある『競馬に関する描写のリアルさ』というのはまあその通りで、普通にサクサク読み進む。
だけども同じく書いてある『ミステリーとしての切れ味』というのはどうかなぁ。
事件が起きてからものんびりしていて第2、第3の事件が起きても推理のほうはなかなか進まないし、あまりサスペンスなく進んでいって、紗耶香がああなってしまうのも話のテイストからはちょっと違和感。
事件の真相も地方競馬の関係者には寝覚めが悪いような気がするな。
かつては北関東にも競馬場があったのだよ。
2003年から2005年にかけて足利、高崎、宇都宮と順に廃止されていったのだが、高崎の最終日など雪に祟られて終わったのが涙を誘うな。
足利だけは行ったことがなく、渡良瀬川沿いの風情含めて、もはや残念に思う。