あらすじ
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いまいちばんのっているノンフィクション作家、石井光太氏がアジアの貧困地域を歩き撮りためた衝撃的な写真たち。秘蔵の数千点の中から厳選し、短めの物語を添えた著者初のフォトエッセイ集です。これまで著者がノンフィクション作品で書いてきた様々な地域の真実の姿が、ついにあらわに。写真だけでは伝わらない、貧困地域のむき出しの物語はショートエッセイで。
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Posted by ブクログ
日本に産まれ育ったことによって練り上げられた自分の価値観を揺さぶり、再考させる書籍であったと思う。この書籍を読んでの率直な感想としては「私自身は著者と同じような体験をここまでできない」ということだった。吐き気や恐怖すら感じる。自分は国際協力の分野に興味があり、大学院の専攻にもかかわらず。
事実をありのまま伝えていると実感でき、目を逸らしたくなるような記事もある、しかし。なぜか、ページをめくる手は止まらなかった。それは、著者による読みやすい文体での構成とともに、ありのままを写している写真が目に飛び込んでくるからである。
日本人として産まれ育った自分としては想像もつかない生活が他の場所にはあり、それが望んでいない生活と思えると同時に普通の光景となっている。その普通が異常なレベルであるにもかかわらず。
私自身「経済的な貧困はなくならず、その存在が必要悪ではないか。しかし、その存在を極力減らすことは絶対にできる」と考えているが、その必要悪を背負っている人も必ず存在する。
その人々に対し、「ひとりの人間として何ができるのか?」の問いを絶えず投げかける書籍として、私は日本人全員に一度は読んでいただきたいものだと思っている。
Posted by ブクログ
貧困地帯を渡り歩き、一般的に忌避される人々への取材を続けている著者のエッセイ&写真集。
日本では想像もつかないような世界の最貧困層の実態を、余計な感傷を交えることなく捉えた内容。
より多くの銭を稼ぐために病や怪我や死でさえも利用する物乞いたちの姿に始まり、生きるために性を売りながら果ては路上死を迎えた女性の写真、さらにはシンナーを片手に新聞紙を貪る少年の話まで、読み進めるほどに苦しさが募った。
時折挿まれる人々の笑顔の写真は、麻痺し始めた現実感をそのつど揺さぶり起こしてきた。
思いがまとまりきらず、言葉に詰まる。