【感想・ネタバレ】水族館の歴史:海が室内にやってきたのレビュー

あらすじ

「アクアリウムaquarium」という語が一般に用いられるようになったのは、19世紀半ばのヨーロッパでのこと。鑑賞用に魚を囲いの中で飼う試みには古代ローマに遡る長い歴史があるが、アクアリウムはもともと、水生生物を飼育する容器や装置を意味していた。
海草も含めたひとつの「生態系」として、観察や鑑賞を目的に水生生物が飼育されるようになり、アクアリウムの歴史は始まった。それまで未知の世界だった深海の様子が知られてくるにつれ、人々は海に対する恐怖を克服した。19世紀は蒐集そのものが流行した時代であり、海洋生物の採集がさかんになった。こうした複数の要因が重なり、アクアリウムという装置が発明されたのだ。
海の生き物の生態を知りたいという人々の願望が、いかにしてアクアリウムの発展に寄与し、水族館の創設につながったのか。環境問題と切っても切り離せない、未来の水族館のはらむ問題とは何か。ユニークな文化史の書き手である著者は、豊富な資料をもとに、人々の夢や欲望の投影としてアクアリウム=水族館のなりたちを考察する。人口あたりの水族館の数が世界一とされる「水族館大国」日本で、水族館の過去と未来に思いを馳せる一冊。図版多数。

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Posted by ブクログ

邦題で想像される水族館の歴史ではなく、アクアリウム、研究·鑑賞のための環境再現を行っている水槽の歴史の一冊と言って良いが、しかしそれは水族館の歴史でもあるので間違いではない。
本書で一番驚いたのはすでに1860年代後半に、現代のような水槽の中だけに留まらない海の再現をしのうとした水族館が生まれていたということ。その件の水族館はネズミにより壊滅するので技術的に対し早すぎたのだろうと思うが、思えばアクアリウムという形で再現を試み続けてきた人類が早々にそれにたどり着くのは自然な流れではあろうか。歴史としてはかなり浅い分野ではあるが、なかなか濃密な内容だった。
ただ博物学関連の歴史は、それによって今の我々が知ることができている内容が解明されていたとしても、蒐集とそれに起因する破壊の歴史でもあること自体を忘れてはならない。

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2024年08月13日

Posted by ブクログ

本屋さんをぶらぶらしてて読みたい!と思って購入。小説ばっかり読んでたので新鮮でした。水族館好きなのでほう…!ってなりました。

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2024年08月25日

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