あらすじ
新幹線で「この中にお医者さんはいますか?」と呼ばれ、皮膚科医がとった行動は? なぜ大学病院は順番待ちが多いのか、がん免疫療法の解説など、京大医師によるAERAdot.連載をまとめた一冊。『神様のカルテ』の夏川草介氏が推薦。
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Posted by ブクログ
著者は皮膚科医の大塚篤司氏(1976ー)です。
本書は同氏の日々の臨床をベースにしたエッセイです。
大塚氏は一般家庭の長男として生まれます。
教育熱心な母の元で勉強を続け、中学まではトップクラスの成績を収めました。
高校は理数系に強い進学校を選んだところ、レベルの高さについていけず落ちこぼれてしまいます。
しかし両親の励ましを受けて一念発起して猛勉強し、二浪を経て信州大学の医学部へ進学しました。
医学は性に合ったことから学生時代は優等生で過ごし、卒業後は京大の皮膚科に所属して基礎研究に取り組みます。
研究は当初は成果をあげ、スイスにも留学して順調に出世コースを歩みます。
「人間やればできるし、できない奴はやらないからだ」
という強者の理論を振りかざし、傲りのような気持ちを抱いていました。
ところが激務が続き、それにも関わらず結果が伴わなくなると、燃え尽き症候群となってうつ病になってしまいました。
当時の上司は人格者で、その人の指示で休息をとり、数年がかりでようやく回復に至りました。
遠回りしましたが鬱の苦しみは心の宝となり、以前とは違った境地で仕事に従事するようになりました。
本書はそうした医師としての16年の経験から紡いだ一般向けの医療エッセイです。
2018年からの「AERA dot」の連載記事を加筆修正したものが元となっています。
「皮膚科医が飛行機の中で【お医者さんいますか?】と問われたら?」
「病院の待ち時間が長いのはなぜ?」
「ホクロと皮膚癌の見分け方」
「皮膚科医の初恋」
「患者さんとの死別」
などについて短いエッセイが描かれていました。
本書はこのように一般の人が抱く医療への疑問、日々の臨床、若かりし頃の思い出などがまとめられていました。
合間には皮膚疾患の機序や最新のウンチクもわかりやすく示されていていました。
色々な思いが込められていて味わい深く、初めの印象を超える良書で嬉しい誤算でした。
Posted by ブクログ
優しい皮膚科の先生。
皮膚のお話の後に先生のエピソードが書かれているが、彼女さんが体調を壊していたときに
自分が彼女を心配するあまり、自分の不安を解消するすることばかりを考えていた、と。
相手に解決を求めてしまう
そんな態度を見て 相手は心を閉ざしてしまう、と。
「こんなにやってあげてる」という気持ちは間違っていると気づく。
弱ってる相手に「大丈夫?」と聞くのは、相手から「大丈夫」と聞き出して安心したいんだけなんだなぁと感じたことがある